2005年5月7日土曜日

ふたご最前線

 ふたごが可愛い! 『ふたご最前線』はそのタイトルの示すように双子が主人公の漫画なのですが、その子供らがませてて可愛いんですよね。家では絶大な権力を誇る南帆と女の子にマメな北斗の兄妹、けどなんだか南帆のほうが姉みたいな感じですね。これ、勝手に私が思ってるだけなんですが、作者の育ってきた関係が反映されているのではないかと思うんです。つまり、作者は弟のいる姉なのではないかと思っています。男女の力関係なんかを見てみれば、どうもそんな感じがするんですね。

そういえば、『ただいま勤務中』にもそういう雰囲気が漂っていたな。道理で私が辻灯子の漫画を好きだというわけですよ。

南帆さんの造形が、なんだかリアルだなあって思うんですよ。北斗にいうことをきかせるときの押しの強さとか、気の強さ、剣呑さ。それでいて、人見知りするたちでちょっとあかんたれのところとか、うちの姉の小さい頃を思い出します。ええ、そうなんですよね。よそのお家にお邪魔するときとかに挨拶とかするようしつけられますが、姉は私を鉄砲玉に使って、後から挨拶するんです。私は小さい頃は活発であんまり人見知りしない子だったのですが、そうした性質は姉に鍛えられたところもあったのかも知れないと思います。

それと、北斗。私には従姉妹がありまして、それでまあなんというか、姉と従姉妹という年上の女性に囲まれて育ったわけで、だから北斗の性格というのはなんとなくわかる気がします。そういえば、私は子供時分ものすごくもてましてね、通っていた幼稚園が女子校と同じ敷地にあったのですが、お姉さま方にはよく可愛がっていただきまして、— まあ、今はそんなこと全くないのでありますが、だから北斗の要領のよさもなんとなくわかるんですね。ええ、私も根っこには北斗的なところがあるんです。

で、この漫画はですね、もちろんこましゃくれたふたごの言動挙動を楽しむというものではあるのですが、実はふたごのママ — 薫さんもいい味出していて、第三の主人公といっていいくらいの存在感を持っています(ま、育児漫画だから当たり前なんだけどー!)。

横着でずぼらなんですよ。それでもって乱暴。身も蓋もなくて、けどそれが素敵じゃないですか。身も蓋もないっていったら悪い感じがしますが、言い換えれば、裏表がなくってさばさばしててってことなんですから、これは美徳ですよ。私は、上っ面だけ繕って可愛い声出してみたいなのは嫌いなんです。おかしな虚像を振りまかれるくらいなら、一緒に給湯室でぎははと笑ってるほうがずっといいですよ。

というわけで、私には英田家の風景というのは、すごく居心地がよさそうに思えるのでありました。あ、私は主夫志望でありますから。薫さんの位置が私の理想のポジションでありますから。

  • 辻灯子『ふたご最前線』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2003年。
  • 辻灯子『ふたご最前線』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2004年。

引用

  • 辻灯子『ふたご最前線』第1巻 (東京:芳文社,2003年),7頁。
  • 佐藤両々『天使のお仕事』第1巻 (東京:竹書房,2005年),117頁。

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