ラジオで聴いて耳を疑ったというか、なんじゃこの曲はというか、いや曲がどうとかというのではなくて、問題は編曲だったのです。なんというのでしょう。銃声が使われてるのですよ。フレーズの終わろうとする小節の最終拍に拳銃の発射音が毎回響いて、私はこのむちゃなアイデアに腰も砕けんばかりに驚いてしまいました。銃声の使われている曲というのは意外と多いのですが、たいていはここぞというところを見計らって一発(ないし数発)使うから効果的なのであって、例えば久石譲の『Thank You,…for Everything』の最後に響く乾いた銃声などは、その異質さでもって曲を青白く引き締めるという、とんでもない力を秘めた一発であります。ところが私の聴いた曲では、いかにも効果音という安っぽい銃声が一曲を通してひっきりなしに鳴らされていて、その異様さはもうなんといったらいいかさえわからないほどです。
けど、その銃声をバンバン使うという、おそらく普通は思いついてもやらないことが功を奏したというか、私は俄然この曲に対する興味が湧いてきましてね、歌詞の断片を覚えて(それも同じ歌詞が繰り返されるから覚えやすいんだ)、Googleで調べて、そしてようやく見つけ出したら、なんと和田アキ子の歌う曲というではありませんか。私は、あれだけ食い入るように聴いて、ついぞ気がつきませんでした。そうですか、和田アキ子さんでしたか。道理で安定していた訳ですよ。
この歌は、ドラマの主題歌だったんですね。というのもですね、私が歌詞を頼りに見つけたというのが、かの有名な匿名掲示板(2ちゃんねるですね)のスレッドに、歌詞が引用されていたからなんですね(ありがたい!)。それで、歌詞の周辺にはバキューン、バキューンって、銃声のこだまするがごときの書き込みが連続してなされていて、いやあ、この効果音を異様と感じたのは私だけではないというのがわかって安心いたしました。
けど、編曲者(小西康陽リミックス)はこの異様さを出そうとしたんでしょうから、こうして拳銃乱射に心奪われてしまった私たちは、してやられたのだと思います。
実際、曲は重厚な昭和歌謡という趣で、作曲はシャルル・アズナブール、歌うは和田アキ子ですから、実力者ぞろいでありますわな。と、そこへ、あえて銃声でもって引き込むという力技も素晴らしいといわざるを得ません。
テイチクエンターテイメントの紹介ページでは試聴も可能です。もちろん銃声もきっちり(というか申し分なく)収録されてますので、そのすさまじい効果を堪能ください。
いや、けれど、この短い試聴では、本当に一曲を通して繰り返される銃声の効果を堪能するには不充分かも知れません。いや、本当にすごいんですからってば。
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