2005年5月6日金曜日

天使のお仕事

 実は今日は『射雕英雄伝』のDVD-BOXを肴に、中国ドラマ事情などを一席語ろうかと思ってたのですが、ところが思わず買っちゃった佐藤両々『天使のお仕事』にやられちまいましてね、いやあ、この漫画面白いわ。ちょっと佐藤さんにはまっちゃうかもー!

思わずなんていっちゃうと、あたかも偶然たまたま買ったみたいですが、私、佐藤両々の漫画は結構いいなと前から思っていまして、といっても私は基本的に芳文社系と双葉社の四コマ誌だけ読んでるもんですから(この上購読数を増やしたら死にます)、竹書房での仕事を存じ上げなかったんですね。なので私は『まんがタイム』に連載されてる『保育士のススメ』を見て、ああこの人の漫画おもしろくっていいなあ、って思っていたと、そういうわけなのです。

『天使のお仕事』読みましてね、私気付いたんですよ。私の好きな漫画の傾向ってのが。まず女の子中心で、絵が可愛くって、そして身も蓋もない。この身も蓋もないというのがポイントだと思います。可愛いという美点を台無しにするくらいに明け透けで、夢も希望もないくらいが理想といえます。

で、それでですね、男キャラが罵倒されたりひどい目に遭わされたりするとなおよいかと思うんですね。ええ、最初にいいました女の子中心ってのはそういう意味でして、道理でたかの宗美とか松山花子とか真田ぽーりんとか好きなわけだよ。と、この漫画読んで合点が行きました。超納得です。

私、弟なんですよ。姉が一人おるんです。姉ってやつはひどいやつでしてね、まあこれはうちの姉に限った話ではなくて全世界的に見られる傾向だと思うんですが、ともかく姉ってやつはひどい。人類の敵であるといっても過言でない。それくらいひどい。弟をしもべみたいに思ってるところがある。なんか命令するんだ、いろいろ。それでなんか偉そうなんだ、いろいろ。こういうのってうちの姉だけに備わった性質かと思っていたらどうも違うようで、姉として育った人はおおむね同傾向を持っており、とりわけ下が弟の場合に顕著(独自聞き取り調査に基づく)。ええ、姉とはみなこうしたもの……。けどなにが弟の悲しさかといいますと、相性でいいますと、こうした姉タイプの方が馬が合うのですね。そのためなのか、私の友人って圧倒的に姉であることが多い。いや、もしかしたらほぼ全員そうじゃないのか。妹だって人、一人でもいたっけかなあ(いなかった気がする……)。

佐藤両々は多分姉として育った人なのだと思います。というのもですね、この漫画の中にちょうど姉と弟の話というのが出てきてましてね、そのせりふというか描写というかが異様にリアルなんです。お姉さまに対して「口が悪い」とか言うし —、足で物渡すと嫌がるし —。いや、私、お姉さまに「口が悪い」なんていったことないですよ。足でもの渡されても、なんとも思いませんよ。ええ、もう平ちゃらになっています。

というか、へっちゃらなんてもんじゃないですね。むしろそうでないと物足りないというか、無意識にそうした言動を求めているというか、私はすっかり女性が居丈高でないと満足しないようになってしまっているようです。それで、やることなすこと目茶苦茶でないと駄目なようです。— 職場に兄のいる妹である人がいたのですが、なんというか、この人とどうも相性が悪かったんですね。なんというか、噛み合わない。すごく仕事がやりにくい。その人自身は有能だったのですが、私はその人の下で働きながら、この人は上司に向いていないといつも思っていました。いっそ個人商店でもやればいいのにみたいに、ずっと思っていました。ええ、これはもちろんその人が悪いのではなくて、ただ単に相性が悪かっただけなのです — その人が妹であったからというのが、私らにとっての不幸であったというのです。

さて、話を佐藤両々に戻しますと、私がこの人の漫画を強烈に面白いっ、って思うのは、きっとこの人の漫画に姉的テイストがあふれているからだと思うのです。身も蓋もなく、ぞんざいで、乱暴で、けれど悪意はない —。

佐藤両々の漫画は、実に私向けであるという話でございました。

  • 佐藤両々『天使のお仕事』第1巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2005年。

引用

  • 佐藤両々『天使のお仕事』第1巻 (東京:竹書房,2005年),70頁。

0 件のコメント: