2007年2月28日水曜日

メイドアンソロジーコミック — Maid in Wonderland

 正直、こういう売り方は勘弁していただきたい。いや、ほんま。『観用少女』を買いにいったときの話なんですが、朝日ソノラマの平積みをざっと見回したその時、おおっと、気になる表紙を発見。『ロンド・リーフレット』じゃないか。『ロンド・リーフレット』というのはLittlewitchからつい先達てにリリースされた18歳未満はプレイできない呪いのかけられたゲームで、もちろん持ってるんだけど(持ってるんだ……)、その『ロンド・リーフレット』の漫画が出てたんですね、 — と思ってよく見たら、アンソロジーコミックと銘打たれていて、そうかあ、公式アンソロジーの類いかあと思ってよくよく見たら、ん? なんか変だぞ。だって、タイトルは『メイドアンソロジーコミック』。『ロンド・リーフレット』のロの字もないのです。じゃあ、一体これはどういった類いの漫画なんだろう。

答えは帯にありました。

巻頭カラー
リトルウィッチ『RONDO LEAFLET』
メイド・イラストギャラリー

そう、これはただのタイアップ、企画ものなんですよ。さらには少女マンガ家が織り成す7つのメイド譚とのこと、少女マンガ家と謳って表紙巻頭にアダルトゲームを持ってくるあたり、チャレンジャブルというかそも乱暴というか、混乱ぶりがかいま見えるような気がします。

収録作はメイド縛りで、今どきメイドというのもなんだかなあという気もしますが、だって有り体にいえば過ぎ去ったブームじゃないですか。そこにあえてメイドアンソロを『メイドアンソロジーコミック』というひねりもなにもあったもんじゃないタイトルで出してきて、ほんま、売る気あるのか、と問いたい私は結局この本買っています(買ったんだ……)。

でも、作家は豪華ですよ。せっかくだから、収録作品を書きだしてみましょう。

  • 三原ミツカズ『天国と地獄』
  • 秋乃茉莉『Bitter or Sweet』
  • 川原由美子『観用少女・御喋りな墓標』
  • 柴田昌弘『さえらの付き人』
  • 吉田ふらわ『影を慕いて』
  • 時友美如『Do!!? Doll! Doll!?』
  • 島本麻衣子『カエルのメイドさん』

このうち、川原由美子と柴田昌弘以外は全て単行本未収録作で、未収録と聞くとちょっと得した気分になるのは正直なところ。けれど、本文184ページ中『観用少女』が76ページを占めていて、しかもその話というのが同日購入の『観用少女』〈夜香〉収録だから、この辺はすごく損をした気分……。まあ、どっこいどっこいかなあ。

読んでみて、知っていた作家も知らなかった作家も、結構面白かったり、それなりに面白かったり、読み物としてはそんなに悪いばかりでもないというのは実際のところです。ただ、短い話は8ページで終わったりして、正直物足りなさ、食い足りなさというのが強く感じられたり、こういうバランスの悪さというのはどうしたものかな……。短いから悪いとはいわないんですが、短い中できちんと話を構成して読ませてくれるのもあるから別にいいといえばいいんだけど、けど柴田昌弘のは続きを期待させるような振りして終わりという、ああ、なんてつれない、すごく殺生な気がします。正直、なにかの前日談的エピソードを思わせるような内容だから、ほんと、本編があるようなら買おうと思ったんだけどなあ。

という感じ。気に入った感じの漫画もありましたし、これまで知らなかった作家に出会うこともできたなど、漫画に対する視野も少し広がったように感じるのですが、この本を一冊きりで評価するならすごく微妙であると思います。人には勧めません。でも買って後悔もしていません。こういうところも実に微妙です。

引用

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