基本的に、ことゲームに関しては、プレイしていないものに関しては書かないという姿勢を貫いてきたのですが、ここでちょっと方向性を変えて、やったこともないゲームで書いてみようと思います。というか、持ってはいるんですけどね。初回限定版。これにはCDがついてきましてね、ミニアルバムなんですが、ちょっとしたサントラみたいなもんですね。私はこれを先行してiPodにつめて聴いて、そしたらこれがまあいい感じなんですよ。魔法の塔というちょっと古風なファンタジーめいた世界を彩るのに、これまたしっかりと中世臭さのする音楽を持ってきたよなあというのが最初の驚きで、最初の曲Magician's Towerなんか、まさに中世、まさに土俗的な臭さを混ぜ込んであって、いやあ、なんだろうね。ショーム? ちょっと粗野なリード楽器のドローン(保続低音)が気持ちいい。しかし、まさかゲームの音楽聴いて、こんなに嬉しくなるということも珍しいと思います。いや、実際、ポイント高いと思います。
けど、ただ音楽が古い感じだったらいいってわけでもないんですよ。問題はゲームにて描かれる世界と音楽がいかに調和するかというそこなのですから、まだゲームをプレイどころかインストールさえしていない私にはそのあたりを評価することなど到底できないわけで、けどこのサントラを聴くかぎりにおいては、かなり期待できそうだと思うのです。
なにがはたして期待させるのかというと、やっぱり様式感が感じられるというそこですよ。ゲームでもテレビでもなんでもいいんですが、中世っぽい世界を描こうとしているわりに音楽が妙に様式外れで、中世なのにバロックかよ! みたいなこともままあるから油断できなくてですね、そりゃね、昔なんかは、音楽は美術や建築といった視覚芸術よりも遅れて発達したために、ゴシックにはルネサンス音楽が、ルネサンスにはバロック音楽が似合うのだみたいなこといってる人もいましたけど、でもそりゃいくらなんでも駄目ですよ。様式音痴を自ら暴露しているに等しい発言で、ほんと、美術に遅れて云々だなんて、レオニーヌスあるいはペロティーヌスあたりを百回聴いて出直していただきたい。三度を欠いた空五度のストイックにして分厚い響きのこだまするかのような多声音楽の世界。ものすごく高度の音楽世界が十二十三世紀には存在していたということがわかりますから。そして、そうした音楽を聴いて思うことといえば、音楽は美術建築などに劣ってなどはいないというまさにそこで、尖塔の天を衝かんとそびえるゴシックの聖堂の精神は、テノール声部上に積み上げられる重層の声の絢爛に重なり合っている。人間の感覚、精神は視覚も聴覚もともに同じ時代の潮流に揉まれ、より高みを目指してきたと知れる瞬間があります。
閑話休題。『リトルウィッチロマネスク』の音楽は、むしろ世俗の音楽に接近して、例えばそれは『カルミナ・ブラーナ』。ちょっと粗野、ちょっと猥雑で、けれど人間の臭さというものを濃厚にまとったそうした時代の空気というものを音楽から感じさせて、けれどその音楽には間違いなくいまの感覚があって、ただ古さを装っているだけではないという、そこが一番に私を嬉しくさせたところであるといってよいかと思います。古い雰囲気も、新しい感覚も、いろいろが角突き合わせることなく調和的に共存している面白さ。どうやらこれは期待できそうだぞと、やっぱり思ってしまうのです。
そんなわけで、PS2版も買いました。多分、明明後日でしたっけ? まあ、順当にうちに届くことでしょう。もう、どうしようもねーなー。
あ、そうだ。メーカー在庫が切れないうちにサントラ買っとかないとなあ。これはこれは、まあ、なんという散財でしょう。ほんと、もう、どうしようもねーなー。
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