2007年2月26日月曜日

電脳やおい少女

  私はこないだこんなこといっていました。

以前つとめていた職場にいた人もそんなだった。仮面ライダーの変身前の写真集を買ってらして、やっぱり萌えるらしい。旦那には内緒らしい。昔の集めた同人誌は実家に隠してあるらしい。そして私はそういうところに萌えるのです。

そんなというのはどんなかといいますと、ひとえにいえばおたく的傾向を持っているということなんですが、この以前同じ職場にて出会った方というのは、既婚者で子供もいるんだけれども、子供に仮面ライダーを見せていたら思わず昔の血が騒いでしまったらしく、写真集が欲しい、けど旦那には知られたくない、そうだネット書店で買って職場に送ってもらおう! そんなこんなで、私にネット書店での本の買い方を指南してくれなどとおっしゃったものだから、その趣味がばれたのです。余談ながらその本というのは、私の記憶が確かならば『MASK OFF』といったはずで、その後どうしてらっしゃるんだろう。年賀状のやり取りだけは続けているのですが。

変身ヒーロー系にはまってしまうお母さんにはだいたい二種類あるようで、ひとつはそれまでまったくそういうものには興味がなかったのに、という新たに目覚めるパターン。そしてもうひとつというのは、私の先ほど紹介しました方の例のように、昔からそうした方面に接近していたというパターン。後者に関しては、独身時代から綿々と趣味を続けているというのと、いったん離れてたんだけど再燃という二種類の型があるみたいです。

さて、その再燃型のあの人に、こんな漫画が出ましたよ、なかなかお身につまされるのではないですかといって、当時出たところの『電脳やおい少女』をお貸ししまして、その頃すでに四コマ漫画を読んでいた私は、書店の新刊平積みにこの本を見つけて、タイトルを見た瞬間に購入を決定したのです。今でこそやおい少女本というのも珍しくもないですが、『となりの801ちゃん』とか『妄想少女オタク系』とか、また本なんかでは『オタク女子研究』というのもあって、それこそ一般におたくであること腐女子であることを告白するのに、昔ほどのハードルの高さはなくなったんじゃないかと思うのですが、いや、そうでもないか。けど、世間一般におけるおたく少女の認知度は、誤解毀誉褒貶いろいろあれど、著しく進んだなと、そんな風に思うのです。

『電脳やおい少女』は、女おたくであることをひた隠しにしている女の子が主人公で、インターネットに乗り出したことがきっかけで少しずつその状況が変わっていくという、そうした設定がちょっと件の人に似ているんじゃないかと思ったんですね。今から思えば、ネタにしても表現にしてもずいぶんとマイルドで、そういうところに移行期ののりというものを感じたりもするのですが、けれどこうした一般人の顔と趣味人の顔を二枚重ねに生きているという暮らしぶりはなかなかに読者の共感を呼んだようで、私にしても面白いと思いましたし、そして件の人もずいぶんと気に入られたようで、お金はちゃんと払うからこの本をゆずって欲しいとおっしゃって、問うてみれば、一般人の顔に趣味人の顔を隠して暮らしている友人にこの本を贈ってやるんだといった話で、こんな具合に、おたくの顔を隠している人には訴えるところが大きい漫画であったのではないかと思います。

以上のような経緯で私はこの漫画を手放してしまって、その後買い直すつもりでいたのですが、後で後でと思っていたら、ついつい今の今までそのまんまにしてしまっていました。気付けば知らないうちに2巻も出ていたようで、思い出したのを機にまとめて買っちゃおうかなあ。久しぶりに表紙を見たらば、なんだか先が気になるところもあるものだから、ちょっと余裕が出たら買ってみようと思います。

  • 中島沙帆子『電脳やおい少女』第1巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2002年。
  • 中島沙帆子『電脳やおい少女』第2巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2003年。
  • 以下続刊

引用

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