私はおたく娘が好きだというのは以前からいってきましたとおり。例えば、駅のホームにじゃれあっている中学生男子を見て転げ回らんばかりになっている(この感覚をもにょると表現するみたいですね)人を見たことがありますが、心がほのかに温まる素敵な瞬間でありました。って、大概私も変態的ですね……。
さて、おたく娘はだいたい二種類くらいに大別されるのではないかと私は思っています。漫画やアニメに没頭するがゆえか、現実のことに関しては妙に純粋培養的に育って、そしてその様が傍目にもわかる純情系。そしてもうひとつは、過激な漫画に踏み込んでしまったがゆえか、どんな過激な漫画だろうがなんだろうがどんとこいと豪語して見せる、こっちはなんっていったらいいんだろう、とにかくそういう系。『妄想少女オタク系』のヒロイン浅井留美は前者に分類されるタイプのおたく娘であろうかと思われます。
私はこの本を書店で見かけて、一冊だけ立ち読み可能にされていたものだから、読んで見て、そしてその場でざあっと読み切って、しかも買って帰る電車内でまた読み切って、うちに帰ってからもまた読んでと、こんな具合にヘビーローテーションしてしまって、つまり気に入ってしまったということなのでしょう。筋金入りの腐女子に関わりを持ってしまい、いつしか恋に落ちてしまったという少年の物語でもあるのですが、ちょっと夢見がちではあるものの、よく描けていて面白いんですよ。浅井がはまっているのが『鋼の王子様』、略して『ハガプリ』。わお、どっかで聞いたような名前だな。こういう端々にも小ネタが転がっていて笑えるし、まあ私も多少はおたくでありますから、突っ込みたいところも少しばかりあったりするのですが、けどそうした瑣末なことなど意に介させないくらいに本編がおかしい。これはなかなかのヒットなのであります。
掲載誌は『コミックハイ!』です。私の記憶が確かならば、この雑誌は女子高生縛りをかけていたはず。つまり掲載漫画のすべてが学園ものであるということなのですが、しかし最近は見かけなくなりました……。最初の二号くらいまではコンビニで見た覚えがあるんですが、本当に見かけなくなりました……。
でも、そうしたマイナー系であるためか、掲載されている漫画はなかなかに一般メジャー系では見受けられないようなのも多そうで、だから結構な穴場なのではないかなというように思っています。確か『委員長お手をどうぞ』も『コミックハイ!』掲載だったはず。コアといえばコアかも知れないけれど、なかなかに見過ごせない漫画がありそうな気がします。
蛇足
男子浅井がどうにも好きな模様。一番好きなコマは、お願いしますよダンナ!
ってやつです。
- 紺条夏生『妄想少女オタク系』第1巻 (アクションコミックス) 東京:双葉社,2006年。
- 以下続刊
引用
- 紺条夏生『妄想少女オタク系』第1巻 (東京:双葉社,2006年),19頁。
0 件のコメント:
コメントを投稿