2006年6月15日木曜日

ウルティマ — 恐怖のエクソダス

『ウィ・ラブ・ウィザードリィ』で思い出したのだけど、Wizardryがファミコンで登場したころは『ドラゴンクエスト』が引き起こしたRPG大ブームの真っ直中で、それは粗製乱造期であったということもできると思うのですが、とにかくやたらRPGが出たのですよ。新作もあれば、PCにおける名作の移植なんてのも盛んで、まあPCからの移植で成功したものが少なかったというのはなんか皮肉であるなあ。PCユーザーからすれば、あるいはPCに憧れを持ちながら手を出せずにいたユーザーからすれば、中途半端な移植、中途半端な改変がやる気を減退させたものだし、また一般のライトユーザーからすればシビアなバランスがまたやる気を減退させた。

Wizardryが成功したのは奇跡的だったと思います。そしてWizの成功の影に『ウルティマ』がありました。『ウルティマ』はWizと並ぶRPGの始祖として知られたゲームでした。最近の人だとMMO化した『ウルティマ』で知っているという人の方が多いんじゃないかと思います。

『ウルティマ』は中途半端移植の典型例だったのかも知れません。私は、実は発売日にこのゲームを買うほどに期待していた口で、けれど発売日を待つ日々のこと、ご存じ『ファミコン必勝本』にて移植の度合い、状況を負うごとに不安はつのるばかり。だってね、種族の概念、エルフとかドワーフとかホビットとか、確かこのホビットが問題になったのだと記憶しているのですが、著作権の絡みからこの名称を使用できなくなって、妖精族だとかそういう名称に変わってしまったのでした。ホビットはJ. R. R. トールキンの創作した種族で、トールキンの没年は1973年ですから、ばっちり著作権は有効です。とこういった風な変更点が何度か伝えられて、そのせいなのかどうかはわかりませんが、なんとも中途半端な有り様になりましたという話です。

『ドラゴンクエスト』という優秀な国産RPGに触れていた私たちには、『ウルティマ』はやっぱり大味だったのですよ。キャラクターのデザインもそうなら、町の住人の台詞も、全体に詰めが甘いという印象で、やっぱり『ドラゴンクエスト』はその辺の処理がうまかった。鳥山明という当時絶大な人気を誇った漫画家をキャラクターデザインに起用し、世界観をひといろにまとめるのに成功していた。その点、『ウルティマ』はやっぱり甘かったなあと、そんな風に思います。

ベースが洋ゲーだから、難度もちょっと高かったかも知れません。『ウルティマ』の世界には月がふたつあって、そのふたつの月の満ち欠けによって開くムーンゲートを利用して移動する必要があるのですが、開くタイミング、そして行き先は月の満ちかけ次第。法則は何度もチャレンジしているうちにわかるのですが、月齢待ちをしているうちに食料がつきて体力が落ちはじめる。いやあ、笑った。山の中に取り残されて、町に帰りたいのに帰れないのよ。でも、こういう困難が今から思えば面白かったなあと思います。地下迷宮も、地上では見下ろし型のビューをとってるのに、一旦潜ればワイヤーフレームの地下迷宮になって、わお、Wizardryかよ! けど、最終的には慣れましたね。ノート一冊を『ウルティマ』迷宮マッピング用に用意していて、アイテムだったか魔法だったかでもってざっと迷宮の地形を表示して、それを写して、宝箱とかそういうのは手でチェックしていって、山ほど宝箱が落ちているフロアがあるから、そこでもって荒稼ぎしたのも懐かしい。

アンブロシアには、どうやっていったんだろう。そうだ、渦に巻き込まれたんだ。船をとって、船ごと渦に巻き込まれたらアンブロシアに漂着して、その神殿でレベルをあげるんだったっけ(いや違う、パラメータをあげるんだ)。こうしたルールの分かりにくさ、そしてトライ&エラーを要求する仕組みがハードだったかも知れない。けど、やってればわかるんだけど、これはこれで楽しかったんですよ。Wizardryの時にもそうだったっていってたけど、Wizardry以上に多様な職業が用意されている『ウルティマ』を楽しむべく、またもやキャラクター表なんてのを作ってたりして、けど一番強かったのは基本職業だったなあ。

と、こんな感じで『ウルティマ』で懐かしんでみたのですが、実はサントラについて書きたかったのでした。『ウルティマ』は後藤次利が音楽を付けていて、私はこれも牧野にダビングしてもらって、面白いことに声優の日高のり子が歌を歌っていて、『瞳のナイフ』となんだっけ? そうそう『ハートの磁石』だ。懐かしいなあ。これもまた私は何度も何度も聴いたのですよ。

『ウィ・ラブ・ウィザードリィ』が復刻されるのだったら、『ウルティマ 恐怖のエクソダス』も復刻して欲しいなあと思います。できたら、復刻の暁には、テーマソングはUltima Mix Versionとノーマル・バージョンのそれぞれを収録して欲しい。復刻が無理なら、iTMSあたりでリリースされたら喜んで買うのに。だって、ウルティマの愛は瞳のナイフ、なんですよ。今再び聴くことができたらば、どんなに嬉しいだろうって思います。

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