この間、表紙のイラストのために本を買う、というようなことをいっていました。いわゆるジャケ買いみたいなもの? といえば似ているようでちょっと違って、というのもですね、ジャケ買いっていうのはジャケットでもって中身をはかり購入するということでしょう。ところが私の場合は、ジャケのみで買ってるといった有り様なのです。
まさしく表紙のイラストが目的で買った本。そういうものは過去にもやっぱり数冊あって、その中でももっとも表紙依存率が高かった本といえば、『つかぬことをうかがいますが…』であろうかと思います。
表紙の、表紙の女の子がかわいかった。眼鏡、ロングヘア、白衣、完璧だ……。いや、別にそういうフェティシストというわけではないんです。ただどうしてもこの表紙にはあらがえず買ってしまった。
表紙依存性が高いといいましたが、それでも内容に興味があまりにもないような場合、購入にいたらないのが私の中途半端といわれるゆえんです。だから、この本を購入した私にとって、書かれた内容は少なからず興味があったということに他なりません。内容は、身近にあるような疑問とそれについての回答。なのですが、答えている側というのはどういう人なんでしょう? それは一般有志なんです。イギリスの科学雑誌『ニュー・サイエンティスト』のコーナーで読者からの質問を掲載し、そしてその回答も読者からつのるというものがあるのだそうで、その成果がこの本なんですね。
読んでたら、思いがけない質問があって、また驚くような答えが返ってきます。この本の一番最初に掲載された質問、体が冷えることと風邪をひくことって、関係あるんですか? ないのなら、上掛けなしで寝たり、隙間風の吹きこむところで寝ると風邪をひく、とよくいうのはどうして?
このまさしくのっけから驚きでした。だって冷やすと風邪を引くのは当たり前じゃんと思ってたら、その回答がまったく関係ありません
。ええーっ! 私はてっきり後の回答者が否定してくれるものと思い込んでいたんですが、とんでもない。皆同じように答えるのです。そうかあ、身体を冷やすことと風邪を引くことは関係ないんだ……。まあ、身体を冷やすと体調を崩すというのは別のメカニズムだからのけるとして、確かに風邪に関しては冷えとは関係ない。納得したのでした。
こうした衝撃の質問と回答の連続で、わくわくしながら読み進めてしまう、そういう類いの本です。素朴な質問に親しみやすい回答。回答者によって見解が異なり、異論反論が提出されるのも面白く、こういう皆で和気藹藹としているその雰囲気からが楽しくてまた釣り込まれてしまいます。
私は気付いていなかったのですが、この本の続編が出ていたのですね。幸い同じイラストレーター(水玉螢之丞)、そしてまだ絶版にはなっていない模様。これは買わなくっちゃだわ。
- ニュー・サイエンティスト編集部編『つかぬことをうかがいますが… — 科学者も思わず苦笑した102の質問』金子浩訳 (ハヤカワ文庫NF) 東京:早川書房,1999年。
- ニュー・サイエンティスト編集部編『また、つかぬことをうかがいますが… — 科学者も居留守を使う98の質問』金子浩訳 (ハヤカワ文庫NF) 東京:早川書房,2001年。
引用
- ニュー・サイエンティスト編集部編『つかぬことをうかがいますが… — 科学者も思わず苦笑した102の質問』金子浩訳 (東京:早川書房,1999年),19頁。
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