2005年9月9日金曜日

かみさまのいうとおり!

  最初は、それほど意識することなく読んでいた漫画で、けれど第一回からしっかり記憶には残っているのですから、やはりそれだけの力がある漫画だったんだろうなと、今振り返ってみて思います。それぞれに異なった宗教的バックグラウンドを持つ女校生のコメディなのですが、そうしたちょっと特殊な設定が無駄にされることなく、よくよく効果的に使われているのだから好感もてます。それになにより、個々のキャラクターもうまく機能していて、この人の漫画はうまいなあと、ほんと、うまいなあと思います。

なにがうまいかといっても、定番ギャグの使いどころなんかは実にそうで、それは例えばエロ妄想して鼻血を出すという古典的なものであったりするのですが、そうした定番を使いながら定番を感じさせず、マンネリもうまく回避しているところは、やっぱりうまい。毎回決まったギャグがあるけれど、そこにたどり着かせるまでを工夫しているから、むしろその手腕を楽しみにしてしまう。ギャグは定番を持つと強いといいますが、本当にそうだと思いました。そして、ギャグのベタさを克服する練り上げには毎回毎回感心します。

お決まりのギャグというのはほかにもあって、虚弱僧侶(もちろん女学生)の死亡系ネタであるとか、担任教師(この人は男)のアレげなネタとか、これらもやはり定番系で、けれど定番ならではの安定をうまくひきだしながら、その安定に安住していないところがさすがです。ぱっと見には地味で目立たない作風と思うかも知れませんが、長く読んでいるとじわじわと効いているのだなあと、いや、本当にそういう感じの漫画です。

ところで、第一回から読み返してみると、上に挙げたような定番ネタというのはむしろ出てこなくて、おとなし目のネタが続くのですが、そのネタもうまいなあと思わせるものが多くて、例えばそれは主よ、この者の傲慢をお許しください…とかトラピスチヌ教会クッキーとか…うわ罪悪感とか、学生の宗教上の理由は最大限これを尊重するとか。どれも今読んでもしっかり面白いし、そのはじめて読んだときの印象もちゃんと覚えているものなあ。

覚えているといえば、1巻2巻の巻頭描き下ろしのカラー漫画が、ちゃんと伏線を張って、それを生かしているのもうまいなあと思いまして、ところで、このカラー漫画ってちょっと凶悪だとは思いませんか。

蛇足:

今までのパターンを踏襲すると、山伏実希代といきたいところなのですが、ここにいたっては鳥居くり子なのであります。

2巻の表紙は凶悪です。

引用

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