2005年9月3日土曜日

からだのひみつ

 恐竜研究が進んで恐竜観も様変わりしてしまったという話をしましたが、さすが人体となればそれほど見方の違いもないらしく、新訂版にも旧版の漫画がそのまま収録されているようです。こうしたところはオールドファンには嬉しいのですが、けれどさすがに二十年の違いは大きかったようで、新ひみつシリーズでは刷新されてしまいました。歳月流るる如し。私は自分の子供時代をまるで昨日のように振り返りますが、けれど実際にはもうずいぶん昔のことなんですね。ぞっとします。

『恐竜のひみつ』は私が最初に買ってもらったひみつシリーズでした。『からだのひみつ』は『恐竜のひみつ』と一緒に家にきたのですが、こちらはもともと姉のものでした。けれど、こうした漫画は姉弟で共有するようにして読んでいましたから、そのうちに所有がうやむやになって、今ではまるで私の漫画のようになっています。ですが、それでも私はこれは姉の本であると思っています。

漫画を通した知識の獲得や学習効果を考えると、ひみつシリーズは非常によい教材であったと思います。『からだのひみつ』は人体に関する基本的な知識を扱っているのですが、私は実際この漫画を読んで得た知識をベースに、後の学校教育をかなり有利に切り抜けました。

消化器や循環器の働きを知るというようなことも大切でしたが、においや温度に関する感覚などのあやふやさ — 慣れてしまうということ — なんかは、日常の生活の中で、自分の感覚や身体の作用を観察して評価する姿勢をはぐくむのに本当に役に立ったと思います。今の私の、状況事態を観察して、その観察をもとに結論を知ろうとするスタンスは、間違いなく子供の頃に読んだ、科学漫画から得た知識とその知識を確かめようとする過程でできあがったといえるでしょう。

しかしだよ、しかしだよ、最初に読んだひみつシリーズが『恐竜のひみつ』と『からだのひみつ』。そしてこの後に読んでいくものも、主に科学系、技術系。『発明発見のひみつ』とか『海のひみつ』、『地球のひみつ』、『動物のひみつ』、『飛行機ロケットのひみつ』、『NHKハテナゲーム魔法実験のひみつ』などなど。『忍術手品のひみつ』あたりとなると異色ですが、それでも私の好みは圧倒的に自然科学系に偏っていたということがわかります。

その偏りには子供の時点ですでに気がついていて、後に『漢字のひみつ』を偏向を正す目的で購入して、これはこれで楽しく読んだのですが、けれど科学系漫画のような面白さは感じ取れませんでした。どうも私は根っから科学の子であったみたいで、多分これは今も変わってないと思います。

  • 藤木輝美『からだのひみつ』(学研まんがひみつシリーズ) 東京:学習研究社,1972年。
  • 横田弘行,藤木輝美『からだのひみつ』(学研まんがひみつシリーズ) 東京:学習研究社,1972年;新訂版:1992年。
  • 井上大助『からだのひみつ』吉田義幸監修 (学研まんが新ひみつシリーズ) 東京:学習研究社,2005年。

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