2008年10月8日水曜日

みそララ

 みそララ』の第2巻が出ましたね。これを書くために、第1巻が出たときの記事を探してみたら、ああそうでした、1巻はオールカラー版でしたね。すっかり忘れていましたが、こうしたところを見ても、『みそララ』が期待されていること、あるいは人気があることがうかがえるように思います。ですが2巻は通常通りの印刷で、でもあんまり問題とは感じません。『みそララ』は絵の魅力もさることながら、その描かれている内容の魅力もかなりのものですから。でも、カラーはカラーで印刷してもらえるほうが嬉しいのは間違いないから、ちょっと残念だったかも知れません。

『みそララ』は、麦田美苑を筆頭とするマース企画の若きクリエイターたちが、仕事を通して成長していく、その姿、そのプロセスがまぶしい漫画であります。第1巻では、経理として入社した美苑が、ライターとして頭角を現していく? いや、ちょっと違うか。この漫画のいいところは、美苑はもちろん、デザイナーの米原梨絵も、営業の粟屋真琴も、皆、天才でない普通の人であるところだと思っています。仕事を前に悩み、迷う。そして、なにかをつかんで、少し成長する。その四苦八苦する様子が、この漫画の面白さ、笑いをもよおさせる要素であり、同時に、深く思わせもする、その根拠であると思うのですね。私は彼女らのもがく様に、正直少し嫉妬しています。ああ、楽しそうだなって、そして自分が楽しくないのはなんでだろうと。でも、この漫画は私のこの問いにもきちんとひとつの答えを示してくれて、今を価値のないものにしているのは、ほかならぬ自分であるのだなと、きちんと理解しました。

第1巻があっての第2巻であると思います。美苑をはじめ、登場人物の個性を把握するしないで、面白さはきっと違ってくる。だから『みそララ』未体験の人には、まず第1巻をおすすめします。ですが、私には第2巻からが格段に面白いと思われて、それはあのコンペ編の印象が大きい。美苑、梨絵、粟屋の三人が、コンペに挑戦する。もちろん、四苦八苦ですよ。けど、若手三人の結束がこのコンペを通して確実に固まったんじゃないか、そう思われて — 、本当にいいシリーズでしたよ。三人が友人になったのは、1巻収録の飲酒回がきっかけだったと思うけど、三人が信頼しあえる仲間になったのは、このコンペからだったのではないか。そんな風に思っています。苦楽を共にし、仲間になる。なんかうらやましいな。

この漫画の最大の価値は、かっこいい職種、かっこいい業界で仕事しているからかっこいいのではなくて、真剣に仕事に取り組むという姿勢、それこそがかっこいいのだということを、前面に打ち出しているところにあると思っています。実際、三人娘、特に美苑の仕事ぶりは、七転八倒、スマートさからはほど遠い。仕様なので直らないそうです。かわいそうに……。けれど、ヘッポコ? そんなのは関係ない。彼女らは、かっこいいし、魅力的です。それはやっぱり、仕事に取り組む熱意がゆえなのでしょうね。頑張って仕事している人は、皆かっこいいんだ。そうした手応えが残る読後感には、心から素晴らしいといえる。そして、この漫画が好きだと、心の底から思える理由はそこにあるのだと思います。

しかし、今一巻を読み直してみたら、冒頭はつらいね。米原さんがきつい……。いけずすぎる……。けど、今は米原さんが一番好きです。理由はあるけど、いわないでおきます。

  • 宮原るり『みそララ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 宮原るり『みそララ』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

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