2007年10月7日日曜日

みそララ

 芳文社はなんだかやる気なのかも知れません。まんがタイムコミックス初のオールカラーコミックス。過去にカラーページをそのまま収録したものはありましたが、オールカラーとは本当に前代未聞なんじゃないでしょうか。しかし、もともとの連載がオールカラーならともかく、そうでないページももちろんあるわけで、塗り直したの? いや、この作者ならやりそうな気がする、なんて恐る恐るページを開いてみたら、ああ二色のページはそのままなんですね。ちょっと安心しました。そして、このスタイルもわりといいなあと思って、だってね、ほら、他の漫画でもカラーのきれいな人とかいますからね。そういう人の漫画もオールカラー、せめてパートカラーになったら嬉しいなあなんて思ったりしたんです。けど、いくらオールカラーが売りとはいえ、表紙にオールカラーとでっかく書くのは勘弁してください。これじゃまるで作者名がオール カラーみたいじゃないですか。デザイン会社を舞台とする漫画なのに、これじゃちょっと悲しすぎます。

さて、『みそララ』、デザイン会社を舞台とする四コマ漫画です。会社倒産を機に、事務職からデザイン会社へと転職をした麦田美苑が出会う新しい日常がつづられるのですが、その風景がすごくほほ笑ましくって楽しくて、この漫画のサブタイトル、今日も明日もタノシゴト、本当に仕事に取り組むということの楽しさが伝わってくるような、そんな漫画であります。

麦田は経理から時々コピーライターに、そしてライターへと、少しずつステップアップしていくのですが、そのたびたびに戸惑って、あちこちに頭を打ちながら七転八倒四苦八苦して、けれどその度に少しずつ仕事に対する気持ち、態度がしっかりしていくんです。仕事の大変さにいっぱいいっぱいになってやってしまう失敗なんかは、見ていておかしく楽しいけれど、それが不快に感じないのは、麦田が一生懸命に取り組んでいるってことがしっかり表現されているからだと思います。ほのかな憧れで入社したデザイン会社。そのほのかだった気持ちが、だんだんプロの現場で磨かれていく過程が素晴らしい。未熟だから緊張するし、余裕なんて全然だし、そんな麦田の一生懸命につきあって、伴走するかのような同僚たちも気持ちいいじゃん。最初こそはいけずで意固地で意地悪で、なんだよ、不快な漫画だなあと思わせる原因にもなっていた米原梨絵も、1巻読み終わる頃には、なんだ素直じゃないだけのツンデレなお嬢さんなんじゃないか、キャラクターがわかってきましてね、麦田、米原、そして営業の粟屋の三人の、助け合いながらのちょっとずつステップアップストーリー、すごく温かいと思える。実に気持ちのいい漫画に仕上がっていると思います。

さっきも少しいってましたけど、私、最初、この漫画読んで、不快だなあと思うことがしばしばあって、だからちょっと嫌いでした。米原があまりに険がありすぎたせいなんですが、それがだんだんと和らいできて、そして女祭り。これが私にとっての転換点でした。いや、麦田、米原、粟屋にとってもそうなんだと思います。それまでのちょっとずつ歩み寄りながらも、踏み込むにはまだ距離のあったという関係を、一気に進展させた出来事。三人が本当に仲間になった、そしてその打ち解ける様にほだされて、私も一気にこの漫画を好きになって — 、目からうろこが落ちるなんていいますけど、本当にそんな風に急速に好きになるってことあるんですね。私は単行本で頭から読み直しても、米原のことを嫌いだなんて思いませんでした。むしろ今では米原が一番好きなキャラクターであるというくらいなもので、ほんと、最初にちょっと嫌だと思っていたなんてまったく嘘みたいです。ああ、これ、米原ってわけじゃなくて、『みそララ』って漫画に関しても同じ。今では、心から好きといえる、そんな風になっているんです。

  • 宮原るり『みそララ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 以下続刊

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