2007年10月19日金曜日

しすこれ — うんっやっぱりコレしかっ!!

  実に私という人間は趣を解さない男でありまして、巷にいうブルマやスクール水着、それらの価値であるとか魅力であるとか、まったくもってわからないのです。ほんと、あれらのどこがいいのだろう、おおっぴらに口にはしないものの、ずっとそんな風に思ってきたのです。けれど、今月の『まん研』読みまして、少しわかったように思います。そう、これはいうならば、ナボコフの小説に表された感情に似ています。アナベルという名の少女、彼女と関係を持とうとするも不首尾に終わった少年時代の記憶に、自分が海岸線のようにまっすぐにのびた四肢と熱い舌をもつあの少女にとりつかれてしまったきっかけを思う — 。ブルマやスクール水着に言い知れぬ魅惑を感じる人たちは、果たされることなく永遠に失われてしまった日々を思い、いわば郷愁に似た感傷を得ているのかも知れないと気付いた思いがしたのでした。

けど、まあ、そんな風に、それこそ他人事みたくいっている私にしても、実際のところ同類です。今月はブルマを中心に展開した『まん研』、フェティッシュへの傾倒を多分に感じさせる漫画でありますが、これとほぼ同一ののりで展開する『しすこれ』を私は所有しているのです。表紙買いでした。ということは、レオタード好き? いえいえそうではなくて、むしろ裏表紙ですね。チャイナ服を手にする体操着姿の真名のかたわらに立つ綾瀬はメイドの衣装を着込んで、ってことはあんたメイド好きか! いやそれも違います。 — 眼鏡ですね。この本の出た当時、まだ更生をしていなかった私は、綾瀬の眼鏡に魅了されたのです。まるで吸い寄せられるように1巻を手に取って私は、躊躇なくレジへと向かったのです。

けど、実際に漫画を読んでみてですよ、最初はちょっと微妙だなあと思ったものでしたよ。コスプレ大好きの真名が、あの手この手で姉、綾瀬にコスプレをさせる、基本これだけの漫画です。ストーリーといえるようなものがあるわけでなく、事件が起こるわけでもなく、妙に淡々としたコメディに参ったなあと思うんだけど、読んでるうちに病みつきになってしまいました。いや、なにね、最初の頃は微妙だなんていってたけど、ぬるいコメディが妙に効いてくるんです。当初姉妹だけだった登場人物が、友人が増え、ライバルが登場し、混沌の度合いが増すにしたがって、面白さも加味されていったといったらいいでしょうか。ちょっとアホのりで、コスプレ対決みたいな方向に向かったかと思うと、あんまりエロさを感じないエロもあって、実に混沌としたバカっぽさ。けどそれがいいんです。

そんな具合にいつしか気に入ってしまっていたうおなてれぴんですから、『まんがタイムきららMAX』にて再会したときには嬉しかったです。ストーリー形式の漫画から四コマに変わって、ちょっと風合いは違うけれど、混沌とした感じ、暴走する人たちがあの手この手でコスプレを強いるみたいな、そういう味わいは変わらずあって、やあ面白いなあと。やってることからしたらもっと派手な印象になってもよさそうなのに、割合地味目に落ち着いてしまっているそのギャップもたまらない感じで、微妙ではあるんですよ、けどその微妙さも含めた不思議具合のマイペースが引きつけるのです。

引用

  • ナボコフ,ウラジミール『ロリータ』大久保康雄訳 (東京:新潮社,1984年),23頁。

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