2012年3月20日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年5月号

『まんがタイムきららMAX』2012年5月号、昨日の続きです。

『▲コンプレックス』は、鋼音と円、ふたりの思いのすれちがいでありますね。鋼音さん、すごいお嬢様だった。なのに私は庶民で、住んでるアパートだってオンボロで、いろいろ引け目を感じて、それでちょっと落ち込んで。鋼音は鋼音で、そんな円を見て、元気がないな、どうしたのだろう、思い悩んでしまって。ほんと、互いに相手のこと思っているのに、それが伝わらなくって、どうしたんだろう。負い目を感じてしまった、自信をなくしてしまった、ってことなんでしょうね。そのせいで相手の気持ちに飛び込むことができなくなってしまって、けれどそんなふたりをまわりの皆が支えてくれる。それがすごく嬉しいじゃありませんか。友達のひのり、凛子がそうなら、円を恋のライバルと見ている鋼太、彼にしても同様で、感謝している、だから助けたかったなんていうんですね。ふたりはいい友達に恵まれてるなあ。そうしたことがしみじみと感じられる今回。あのひのりと凛子が円に送ったメール。ああ、ふたりともわかってるよね。そうしたところも実にしみたのでした。

放課後せんせーしょん!』。扉には着物に袴をつけた葵、キエですよ。その格好からは、ちょっと卒業なんて思わされて、ああ確かに卒業のシーズンでありますよね。散る花びらの中、ちょっと色っぽいふたり、もたれかかる葵、ふたりの口元の桜の花、どきどきさせられるイラストです。さて、本編は桜満開、お花見です。冒頭は変則のコマ割りですが、あの2コマだけで落とすシンプルなネタ、あれ面白かったです。ジョージ・ワシントンです。ゆかり先輩の通常営業からはじまって、皆の持ち寄り、キエのおにぎりがおいしそう! って、酷いいわれようだ! と思ったら、ああ、アニキが……。けど、なんのかんのいってキエさん、アニキさんのこと頼ってるというか、受け入れてるというか、結構いい関係っぽいですよね。ところで、桜餅は2種類あるっていうの、知ってはいたんですが、実はどっちが道明寺かわかってませんでした。なるほど、自分に馴染みのある方が道明寺、ですね。長命寺は食べたことがないんじゃないかな。一度食べてみたいです。さてさて、先生ですよ。酔っぱらって登場。ろくでもないなあ。というか、なにを仕込んできてるっていうのだろう。ほんと自由な人。大人になれば女らしくなるものよというアドバイス、これを言外に否定する皆の態度、表情、あれはおかしかったです。しかし、今回はキエさんの魅力全開でした。扉、赤面、髪型もちょっと違って可愛くて、そして歌。ああ、歌うまいのはいいなあ。あの歌っている姿、実に楽しそうで、ほんとよかった。そして最後に皆でおそろいの花の髪飾り。この仲良さが実にいいです。言外に否定のコマに見られた緊張の一致団結、それがほころんでやわらかに華やいだ。ページをまたいでいい対比になっていました。

『スイーツどんぶり』は、こりゃいったいなんじゃあ! ものすごい扉絵のインパクト。しびれる! そう思ったら中身もかなりのもので、ケーキの実演販売に夢中の酒井さん、彼女の生返事が原因で、酒井暁美FCの面々と神の舌栗原静香が料理で対決だぁっ! ていうんですね。いや、もう、しかしなんだろうFCの連中の面白さ。堂々とした岩のような男たち、かと思ったら、ちょっとのことで動揺するむしろ気の小さな、それこそ純情青年たちっていうんですね。というか、仲違いがもうね、おもしろくてしかたありませんでした。そして、対決の時きたる、って、なんだあの人間ボウリング。絵のインパクトものすごく、しびれまくりでした。ジャッカル柿崎もいい味出してますよね。あのノリノリ、だけどいいかげんなアナウンス。どんだけ大雑把なんだ。いや、もう、決着から最後の落ちまで面白かった。勢いあって、インパクトもしっかりで、読ませます、見せます、笑わせてくれました。

『ごーすとっぷ!』、扉に見えるゆき、あのポーズ、いいですね。動きがあって、あのちょっと挑戦的な表情も魅力的。とはいえ、その直前に出てきてたのが乳力倍増魔法だものなあ。この落差、実にいいです。さてさて、守護霊の使える魔法についてのおさらいがあって、そして巫女西新とまりとの対決っていうんですが、霊が見えるという眼鏡を装備して、って、おい、なんか懐かしい人が出てきたぞ。『グラッチェ!』、好きだった! 今回の対決を通して、とまりは弘也とゆきの仲間というか理解者というか、味方になるのかな? あの眼鏡とられて泣いちゃったりして、弘也うろたえちゃったりして、ふたりともいいキャラクターしてるよなって思うんですね。この、ちゃんとしてるのかしてないのか、その合間あたりをゆらゆらしてる、そこがいいと思います。なんというんだろう、作風なんだと思う、そのテイスト、好きなんですよね。登場人物も、見た目にもその個性も可愛くて、こういう表現が定番的に読めると嬉しい、そう思うところがあるんですね。

『あわーちゅーぶ』は、おおおお、びっくりした。ものすごいインパクト。なんだこれ、ほんと、見開きは以前にもあったけど、こういうのははじめてのような気がします。思えば、けれん味の強い、ばっと目をひく見せ方に長けた漫画だった、そんなことをありありと思い出して、派手なキャラクターが派手に動いて、その派手さが絢爛で、幻惑させられた、そういっていいのかなあ。間違いなく、他にはない、そんな味をもった漫画でした。ちょっと変なこといいますが、安心してたんですよ。きっと大人気だろう、そう思ってた。いや、だってあんなに派手で、絵も見事に読む人間を引っ張って、そう思って、安心していたんですね。あの、冒頭の旗竿、ポールの天辺に向かって駆け上がっていく、あの時の印象、今も忘れていません。かっこよいよね。すごいよね。そう思ったものだったなあ。なんか湿っぽい、そんな感想になってしまって申し訳ありません。けど、最終回、最後までびっくりを仕込んでくれて、そしてラストのあの演出は粋でした。ちょっと昔の洋画思い出させてくれる、そんなラストでありました。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第5号(2012年5月号)

引用

  • 庄名泉石「放課後せんせーしょん!」,『まんがタイムきららMAX』第9巻第5号(2012年5月号),134頁。

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