2014年11月23日日曜日

『まんがタイムきららフォワード』2015年1月号

 『まんがタイムきららフォワード』2015年1月号、発売されました。『夢喰いメリー』、メリーが手に赤く紅葉したもみじの葉をのせて微笑んでいる、そんな様子がいつになく穏やかで、ああ、いつも元気なこの人のこうした表情はちょっと珍しいかもなんて思いました。静かに、語りかけるかのような眼差し、線も色も柔らかで、実に素敵です。そして『ハナヤマタ』、『魔法少女すずね☆マギカ』、『あんハピ♪』のカットもございます。

『鬼が出るか蛇が出るか』。自身も妖怪? の血を引くといわれた優だけれど、美少女3人あてがわれても、どうにも気持ちは動かない。やたら乗り気の鈴、クールながらも前向きな美来に、多少気持ちが揺れながらもがんとして抵抗の姿勢を貫く優。ほんと、この状況を変化させるきっかけってなんだろう。ああ、霞がその役割を担うんですね。婆様の謀略にはまり、蔵に閉じ込められた霞と優。霞が縛られていて、えらいこと優のこと警戒してるわけですけれど、喧嘩しながらも一旦休戦。そこで、ふたりの境遇が似ているということがわかるんですね。霞にとっては優がはじめての理解者となるのかも知れない。優にとっても、ようやくわかりあえそうな相手が出てきたのかも知れない。それで互いに意識しあって、近付く手と手、そして! ってところで、決して簡単には進展させないというところ。さすがでありますよ。

夢喰いメリー』は、ついに夢路の手に残った傷跡、そこに話が届きました。メリーが見せられた、白儀の手の傷跡。同じ傷が夢路にもあり、そしてメリーにもあるというんですね。これがなにを意味するのか。メリーの見たビジョンは、子供の夢路。しかしメリーは現界で子供の頃の夢路にあったことはないという。ということは……。白儀の知っていること。メリーと夢路の忘れてしまっていること。そこに鍵がある。少なくとも白儀の目的はそこにあるんですね。さて、他に目を向けると、夢魔として現界に存在する夢魔に善戦ながらも苦戦するエンギたち。そうした現象を前にジョンはなにを見ようとしているのか。そして、そして、うおおお、イチマだ! イチマが出た! ということは、もしかして、今までメリーがぶん殴って幻界に送り返してきた連中が加勢にきてくれる!? だったらすごいな。どうなるかわからんけど。これはちょっと、ジョン召喚を彷彿とさせる展開が期待させるかも知れませんよ。

『手のひらの夢』、ゲストです。三嶋くるみですよ。なんかこの人の漫画が載ってると、なんかフォワードだなあって感じがする。恋愛ものでありますよ。主人公今野大地の隣の席のお嬢さん。辻村あいりは手相を見られるっていうんですね。それで今野くんのことも占ってあげようか。手をとられちゃって、そしてホロスコープなんかも頼りに読んだ運勢。それが見事に当たりましたっていうんですね。それがきっかけで近しくなったふたり。いや、うまいなって思いましたよ。ストーリーはシンプルで、けれどそこにはあいりの恋の駆け引き、策略があり、そして大地の戸惑いと、これまでわかっていなかった恋心、そして勇気を目の当たりにさせられて、この積極的と見せず、けれど積極的な女の子の真っ直ぐさと、その勢いに圧倒されてすっかりやられちゃう男子の恋物語。やっぱ、これは得意ってやつだな。ほんと、これ、すごくよかったですよ。

『魔法図書館クレーネ』、ゲストです。好評だったら、このまま連載に昇格したりするのかな? 魔法や魔導書のある世界。魔導書を管理する部署、図書部の試験を突破すれば図書官になることができる。なるほど、冒頭で図書部と図書官の役割を明確にして、またこの試験の困難さも伝える。悪くないんじゃないでしょうか。ヒロインは、優等生なのかな? アリス・スプレッドと、対して魔法がからっきし駄目のカンザシ・ショウジョウヒ。ふたりがペアとなって、課題の秘匿書籍の廃棄に挑むという展開。廃棄そのものの困難さに集中するために、ライバルとなる他の受験生たちとの争奪戦は描かないという割り切り。そして廃棄のクライマックスにおける、ヒントをもとに、ふたりの役割がしっかり見せ場に活かされるところなど、悪くなかったんじゃないでしょうか。ええ、最初は荒削りかな? みたいに思ったけど、多分これは独特の画風、タッチにこちらが慣れてないからだと思う。これ、この先の構想とかあったりするのかな。あったらちょっと見てみたいですね。

『怪獣の飼育委員』、やっぱり、これ、面白いです。怪獣に好かれないことを気にしている委員長、宮山月子が今回のメイン。そんな彼女をどう気にいったのか、街にいく時にバスにくっついてついてきた怪獣がいたっていうんですね。出会って、好かれて、嬉しそうな様子。怪獣個人で飼うわけにはいかないし。施設に残していくんだけど、またそいつがやってくれるっていうのね。別れの寂しさ。そして最後のにゃー。ほんと、このくすぐるかのような面白み。こいつはよかったですよ。

『描けない私のびだいじゅけん』、いい展開を見せてきましたね。美大を目指すも、絵を完成させられないりの。彼女に新しい可能性が示されて、おお、なるほど、写真か。美大は絵画だけじゃない。写真もある、映像もある。できないこと、難しいことを避け、できるところで頑張るのもいいんじゃないか? そこからの写真撮影、そしてりのの自分の前に広がる可能性、その広さに思いいたるラストなど、これはいいよ。目が開けた、そんな感じがしたのでした。けど、これ、新たな可能性に挑戦していく展開と、それでもあえて絵画にいく、そんな展開と、どちらにも向かい得ますね。ええ、りのの最終選択。それが大いに気になるところでありますね。

トリガーハッピーウィッチ!』、これからの展開、魔女の炎争奪の前提がきっちり提示されていきますよ。魔女の炎は魔女にとっての精神、命そのものともいえる。それをメイの妹、アンが盗もうというんですね。八路地と魔女のギルドとの因縁が語られ、そしてアンがチーの周囲に策を巡らせている証拠も示されて、さあどう守る。アンを避けることは不可能という前提が示され、しかしどこで狙ってくるだろう。最も狙われやすいのは学校と、その舞台が示されて、けれどそうした提示と同時に、チーを巻き込んだことに責任を感じるメイ、それをおおらかに許し包みこみながらも、実はちょっと怖いチーなど、ええ、ふたりの関係や、置かれた状況に対するそれぞれの気持ち、よく伝わってきましたよ。五十鈴、彼女も関わってきそうな感じでしょうか。そしてまさかのマサムネ。ええ、いよいよ動くぞ。そんな緊迫感、じわじわ上がってきています。

愛しの花凛』、クライマックス直前? 花凛が選んだ進路、その意図するところなど示されて、おおう、花凛、思い切ったじゃないですか。そして花凛に頼まれていた花を見事に咲かせた豊。あのメモからのくだりね、丁寧に描かれたふたりの会話、そこにこれまでのふたりの歴史、関係、それがうかがえて、ほんと、ふたりの気持ちが通じない、交わらないなんてありえないよな。そう思わせるものありました。そしてあの花凛のすっきりとして素直そのものといった笑顔。あれはいい表情でした。ほんと、これはハッピーエンドの予感がしますよ。

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