2005年2月23日水曜日

Bye Bye Blackbird

 知らない人にとってはクラシックの敷居の高さは並大抵ではないのだと思います。聴く前には時代背景やら作曲家、演奏者についてなど、なんだかいろいろ勉強しなきゃいけないような感じだし、それにうかつなことをいえば袋だたきにされそうな気がする。

なんでこんなこというかといいますと、実は私にとってジャズがそうなんですね。私は昔サックスを吹いていたものだから当然(なのか?)ジャズも聴くんですが、けどジャズについてはどうも口ごもってしまいます。うかつなことをいうと袋だたきにされそうな気がする。いや、そんなことないっていうのはわかってるんですよ。けど、なんだかそんな気がしてしまうんです。被害妄想ですかね。

けれど、私がいつもクラシックについて、なにも知らずとも曲を聴いて、それが好きだ、よいと思うんだったらそれでいいというように、ジャズもそれでいいのだと思うんです。聴けばビートは心地よいし、流れるように沸いてくるフレーズもすごくビビッド。乗りのよい曲では心から嬉しくなってくるし、メロウな曲はすごく素敵でうっとりする。ああ、もっと真面目に勉強(おお、この考え方は間違っているぞ)すればよかったな。オムニブック(教則本)とかも買ったんですけどね。とか思うんです。

マイルス・デイヴィスは、ジャズトランペットの第一人者で、ハードバップ、クール・ジャズというジャンルを切り開いたひとりとしても知られています。この人の演奏は、聴いていただければもう瞭然ですが、すごくおしゃれで洗練されているんですよ。熱い演奏ですよ。けれど、じかにその熱さを表に出してくるんじゃない。少し遠くに熱さを置いて、その最も美しく輝くところを見せるような粋があります。

彼らのジャズの特徴は、少人数でのコンボ・スタイルであるのですが、そのせいか、音楽がすごく身近にせまって感じられるのです。もう、肌に直接触れるような生々しさがあって、けれどべたつく感じなんてまったくない。仲のよい友人とあってるみたいな親しみが感じられるから、私にはとても嬉しくなってくるんです。

『バイ・バイ・ブラックバード』は、メロウなジャズであると思います。スロウテンポでそれがすごく気持ちよく、そしてセンチメンタル。聴いていれば芯から落ち着いた気分になれる、それが人気の理由でもあるのかも知れません。

マイルス・デイヴィスは、『バイ・バイ・ブラックバード』を複数録音しています。この時代のジャズは、今かなり安く手に入りますので、いろいろ聴き比べてみるのもきっと楽しいかと思います。コルトレーンを始め、様々なミュージシャンが取り上げるジャズ・スタンダードの名演でもあるので、そういうのを聴いてみるのもすごく楽しいんですよね。

ジャズ好きの友達とか、ひとり欲しいなあ。

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