2013年10月11日金曜日

ゲキカラ文化交流

 これ、めちゃくちゃ面白い。人を食った漫画、めちゃくちゃ面白い。人を食ってるっていいましたけど、見ればおわかりのように、みゆきがカレーを食べる、そういう漫画です。ええ、タイトルからもわかりますよね。カレーがテーマなんですね。けど、表紙、よくよく見るとなんかおかしい。オリエンタルなお嬢さん、右手にカレー、左手には……!? ええ、人を食った漫画なのです。

しかし面白いですよ。なんかおかしいんですよ。やりとりがおかしい。メインヒロインのみゆきからして、カレーが大好き、それはいいんだけど、どうにもこうにも一筋縄ではいかなくて、コミュニケーションが成立してるんだかしてないんだか、よくわからん感じのナンセンス。みゆきのことが好きな男の子、林くんともまともにコミュニケーションらしいコミュニケーションが成立していなくって、いや、これは林くんも悪いか。ともあれ、いろいろ酷い感じで、けれどそれが実にいいんです。

みゆきがたまたま辿りついたカレー屋は、インド人アイシャがきりもりしているカレー専門店。専門店? 多芸多才なアイシャに、常連のイギリス人キャサリン、そこにみゆきが加わって、実にはなやか、実にエレガントな、カレートークが魅力です。まあ、だいたいみゆきとアイシャが、なんか変なこといってて、そこにキャサリンがつっこみいれている、そんな感じのトークですけどね。みゆきはおかしなことをいうタイプ。アイシャはというと、加えて行動もおかしなタイプ。見ていて飽きない、なんて素敵なお嬢さんたちなんだろう! ええ、すっかり惚れ込んでいるんですね。

しかし、この漫画、まともな人、出てるんだろうか。多分、まともな人はモブとして出てくる人くらいだと思うんです。あ、みゆきのお母さんは普通っぽかったな。みゆきを軸とした、おかしな人間関係。カレー屋ではアイシャとキャサリン。学校ではアヤコとナオ。男子ふたり、林くんと吉田くんもいるな。みんなが少しずつ、微妙におかしくて、最初はそのおかしさに、なんじゃこりゃ、そんな風にもおもったりするんですが、読んでいるうちにじわじわ侵食されてくるのか、馴染んでしまうというのか、妙に面白く思えてきて、ええ、私はもう駄目です。すっかりやられてしまって、この作者の持ち味なんでしょう、ちょっとした小ネタにすっかり踊らされている次第です。

そうそう、漫画が面白いのもいいんですが、みゆきはじめ、登場人物が皆チャーミング、そういうところもいいんですね。ほんと、じわじわきますよ。読み終えるころには、すっかり魅了されてるんじゃないかと思います。

  • 沼江蛙『ゲキカラ文化交流』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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