2012年1月31日火曜日

LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす

 LSDって気持ちいいっ! いや、もう、これ素晴しい。高校生朝岡椿が陸上に打ち込むという話。最初は、練習よりも会話、おしゃべりが主体なのかな? なんて思ったものですが、いやあ、違いましたね。第2回目ですよ。勧誘活動も終わり、部活となれば、もうしっかり走るんですね。まずはタイトルにもなっているLSDから。ロングスローディスタンス。ゆっくり長距離を走る、そんなトレーニングなんだそうですよ。軽く、おしゃべりしながら、それくらいの負荷で2時間くらい走る。けど、この時点ですでに基礎体力の違いが現われて、雑談しながら楽々の先輩に同級生、けれど椿はというと、息も絶え絶え。立ち止まらずに前に進む、それだけで精一杯といった様子。まいりましたね。すごく真っ当な部活ものじゃん! スポ根じゃない、楽しい陸上。けど、決して楽々お気楽じゃない。楽しくて、時には苦い、陸上を通じ自分自身と向きあう、そんな椿の感情の描かれよう、それがもうたまらんのですよ。

いや、ほんと。これは、自身なにかに取り組んできた、挑戦してきた、そんな経験のある人にこそ、ぐっとくるものあるんじゃないかって思うんです。初心者のころ、ずっと先に進んでいる人を眺めて、あと1年2年で今のあの人の位置にまで自分はたどりつけるのだろうかと不安になったこと。結果を出したい、少しでも上達したいと、無理をして、けれど焦りすぎて空転、思うように進めない自分が情けなくて、足掻いて足掻いて、苦しんで — 。そうした時期を過ごしたことのある人なら、椿にかつての自分の姿を見付けることもあるかも知れない。また、今、まさにそうした気持ちを抱えているのなら、椿は一緒に頑張る仲間のように感じられるかも知れない。ええ、陸上に打ち込む椿が、本当に気持ちいい。ああ、頑張ってる、そんな椿を応援したくなる、そんな漫画なのですね。

とはいえ、打ち込むあまり、ストイックに生活のすべてを陸上一色に染め上げる、みたいなこともないんです。高校生だもの試験だってありますし、時には遊びたい、そんなこともありますし。安食先輩や高山優子ちゃん、ふたりはゲームが好きで、陸上は長距離を選んだ理由、安食先輩はゲームの耐久チャレンジのため? 我らが主人公椿にしても、それが主ではないといえ、ダイエットに、お腹に腰に期待するところがあったりする。不純でしょうか? いいえ、きっかけや思惑いろいろあるにしても、いざ走るとなったら、もう皆ひたむきに取り組んでいる。走る、すこしでも速く、すこしでも前に。ライバルに勝ちたいという思いがある、自分自身の記録を超えていこう、そんな思いもある。そしてなにより、走りたい。苦しかったりつらかったり苦かったりする、けれどそれ以上に楽しさが優っている。いや、つらさ苦さがあるから、楽しみ喜びもまた深いんだろうなって思うのさ。ただ走ることが気持ちよく、自分が前へ前へと進んでいく、そのことが嬉しくて、ああ、これはすごくいい部活漫画だなって、あの記録会の椿とかさ、もうね、涙を抑えられない。頑張れー。応援する — 。頑張ってるあなたを、頑張りたいあなたを応援する。そんな気持ちがとまらんのですよ。

途中に出てくるフットサル、体育の授業ですね。これは作者がフットサルやってるから、なんでしょうか? 多分そうなんじゃないかなって思うんですけど、部活を離れたサブエピソード。こうした、ちょっと寄り道っぽい話は、陸上一色にならないようバランスとって、椿たちの毎日、部活以外にもいろんなことがあるんだよって伝えてくれる。かと思ったら、ちゃんと部活にも関係してきて、浅見舞さんや高山優子ちゃん、体育のあとでも全然平気なふたりに対し、椿はまだちょっと体力が足りないんだねっていう、彼女の現在位置、それをわかりやすく示してくれたりするんです。また、お父さんや妹、家族との関係。なんかいいですよね。お父さん、もう、娘が可愛くってしかたないんだなってわかって、すごく微笑ましい。で、まあ、お父さんは運動不足なんだと思いますけど、一緒に走ってしっかりへばってくれたおかげで、走りはじめた頃よりずっと力がついてきている椿の姿なんかも見てとれて、ええ、どんなエピソードもちゃんと本線を支える力になっているんですね。ほんと、よくできてる。椿の成長と、それでもまだ足りてないところがあるよって、そのアナウンスの積み重ね、それがあの山場、椿の最初の公式記録、椿の落胆と柘植ちゃんの励まし、あの場面をより強いものにした。ほんと、短いことばに、心に訴え揺さ振る力を持たせる支えになっていました。

というわけで、私、最近走っています。いやね、ちょっと体力つけないとまずいなって思ってたところに、椿たちのあんまりに楽しそうに走る姿を見せられたもんですから、ええい、ああ、走るか。ゆっくりと長い距離を走る、LSDを、きちんとやってみようかな。背中を押してもらえたんですね。

引用

2012年1月30日月曜日

『まんがタイムきららミラク』2012年3月号

『まんがタイムきららミラク』2012年3月号、先日の続きです。

『メラン・コリー』、めちゃくちゃ面白いです。これ、ある程度方向性を決めた上で描かれているのか、それとも行き当たりばったりで描いてるのか、どっちなんだろう。後者みたく感じられるんですが、前者だったらすごいな。さて、授業受けてるスイカ、結構可愛いんだなって思いましたよ。でもって本編はサッカー、スイカはボールをする、って、いや、そういう冗談だったはずなのに、実際ボールとスイカ取り違え、またもスイカは割れてしまってという、なるほど、この漫画は爆発落ちならぬ、スイカ割り代用頭落ちでいくのか。正直、この展開のわからなさ。ナンセンスさ含め、めちゃくちゃ面白い。その回でなにがあっても次回になれば危機もリセットだろうと、そういう状況を活用して、スイカが運命に翻弄される様を描く。この割り切り、スイカも割れるっていうね。もう、大好きです。

『福33三色パンチ』はコウの一日でありますね。普段着は制服、工具とか大好き。草むらの中子供たちと遊んで、駄菓子屋で粉ジュースを買う。いや、ほんと、楽しそうですよ。で、ちゃんと絵も描いてるんですね。ああ、この人にとっては、遊びや好きなものごと、それらと同じポジションに絵が存在してるんだ。きれいなもの見付けた! 面白いものがあった! よし描こうとなったら没頭して描く。工作も一緒、落書きだってそう。すべてが楽しみを原動力にしているんですね。こういう姿勢、いつかこればかりではいかなくなるかも知れないけど、でもすごく魅力的。人生、こうした興味エンジン、楽しみドライブがなくっちゃ駄目だな。そう思わせてくれるものがあったのでした。

『虹色教室』、ゲストです。異星の女の子たち。アカとかアオとかクロとかシロとか、ちょっと戦隊もの思わせる名前の彼女ら。地球についての情報集めて、地球の食べもの取り寄せたりして、けどさ、セミ入りのアイスは御勘弁ですよ。で、これはこの先、実際に地球のある時代のある場所、学校に訪れて、活動する、そうした展開が待ってるってことなんですよね。なら、次回からが本番でありましょうね。どんなことになるのか、楽しみに待ちたく思います。

『彼女は彼女だけど彼女じゃない』、これもゲストです。学校一可愛い女の子山田愛美がヒロインで、この子に命を狙われる男の子星也、こちらが主人公っぽいですね。しかし、いったいなんでこんなことに? というと、愛美は実は死んでいて、そこに天使が乗り移っている。で、堕天使星也を始末することで人間になるという願いを叶えるのだ、っていうんですね。生きていたころの愛美は、幼なじみの星也のことが大好きで、その身体に残った記憶が天使の気持ちに働きかけて、みたいな展開が予想されるところですが、けど実際ヒロインはすでに死んでいてとか、主人公は命を狙われていてとか、まったく有効な手段じゃないから命は大丈夫そうとはいえ、ちょっと読んでて気持ちは複雑です。でも、まだ導入、物語の展開次第では大丈夫になったりするのかな。人間愛美の復活の可能性とかあったらいいなとか思います。そういう展開は折り込みずみのようにも思うんですが、もしそうなったら、人間愛美と天使との星也とりあい、みたいになったりするのか? わかんないけど、わかんないから、先を待つことにいたしましょう。

  • 『まんがタイムきららミラク』第1巻第1号(2012年3月号)

2012年1月29日日曜日

『まんがタイムきららキャラット』2012年3月号

『まんがタイムきららキャラット』2012年3月号、昨日の続きです。

『平成生まれ』、絶好調ですね。次第にできあがってきた関係性のネットワーク。佐藤は四村、中川は原田、藤井は吉村、そんなペア単位でのやりとりが基本でありながら、中川原田組に佐藤が介入するなど、で、これが非常に面白い。この漫画ではよく、イラっとさせる、みたいなこといってますが、まさにそれですよね。佐藤が中川を煽る。その煽りようが実によくできていて、中川が強がる気持ちもわかれば、悔しいと思う気持ちもよくわかるんですよ。この漫画は、よく人の気持ちを観察して、こう押せば人は嫌がるだとか、悔しい、気分を害する、そういう微妙な勘所をよく掴んで表現してるんだろうなって思います。で、やりすぎて不快にならないように抑えてる。そのバランスの取りようがうまいなって思うんですね。ところで、四村さんの兄貴ネタ、たまらんですね。よく人の気持ちの動く様、掴んでるなって思わされるわけですね。

『IQにとりりおん』、なんにゃか、新作ゲストです。いやあ、待ってました! 新作は天才少女のお話。小達みかんさんはIQ二兆ときたもんだ。いやあ、200とか300とかはちょくちょく見ますけど、二兆とかはじめてだな。ここまでくると、もはやツッコミいれる方が野暮でしょう。で、このみかんちゃんが坂名ぐりるという女の子と仲良くなる。そういうお話になりそうです。しかし、みかんとぐりるのやりとりのぎくしゃく、その時々にみかんが、ぐりるが思っていること、そのひとつひとつが可愛らしいな、そう思えるものでした。頭の回転は速くていろいろこまごま考えてしまうけれど、情緒の面ではむしろ素朴でうぶなみかん。対して、ちょっとどんくさくて要領も悪そうだけど、共感し親身になって接してくれるぐりる。まだ序盤、導入段階だから、キャラクターの動き、その他もろもろ、こなれていくのはこれからだろうけれど、より一般に受け入れられそうな設定や要素を試しつつ、なんにゃかという人の見つめる世界、そのらしさもほのぼのと感じられる。そんな印象。みかんがぐりるとともに、これから知っていく世界のありよう、それがどのようなものになるのだろうか。身近におこる出来事に発見のサーチライトを当てて、楽しく世界を彩ってくれる、そんな楽しさに溢れたものになるのだろうか。期待したいところであります。

『ぱわーおぶすまいる。』は、まゆ、環、観久をメインに描いて、ちょっと変わった娘たち、彼女らのちょっと不思議な行動と、そこに浮かびあがる可愛さ、そいつを見せようといった具合でありますね。観久の奇行が光る、といっちゃあなんですが、中途半端なユニフォーム、まゆも交えて変な体操、できると見せてルールわかってない、などなど、次々いろいろ押し出してきますね。しかし、変ながらも意外とできる観久。対してできそうに見えて意外やできない環。ベタなのかも知れないけど、いい感じ。テンポがいいんでしょうね。楽しい、面白い、微笑ましい、でした。ところで三拍子で振る話。まゆのそれ、実にやばい感じ。で、最後の落ちがこいつか。実にいい感じでした。

『スマイルショット』は雪の日でありますね。雪だよ、シャッターチャンスだよ、っていうのでカメラを持って出るはずが、えまは肝心のカメラを忘れていて、といったところ。写真もちょっとは撮るんですけど、基本は遊びだったり、ですね。遊んで、雪うさぎたくさん作って、で、力作を写真におさめる。カメラを、表現の道具として使うよりも、自分の楽しみや面白かったこと、それらを記録して思い出に残す、そういうものとして使っているみたいですね。写真やカメラというと、写真でもって表現するとか、なにかをスクープ、みたいな方向に向かいがちですが、こういう日常を記録する、そういう付き合い方を押し出してみるのもよいなって思ったんですね。実際、私とカメラの関係がそんな風だったりするもんな、なんて思わされたのですね。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第8巻第3号(2012年3月号)

2012年1月28日土曜日

『まんがタイムきららキャラット』2012年3月号

『まんがタイムきららキャラット』2012年3月号、発売されました。表紙は『キルミーベイベー』。アニメも面白いですよね。さて、表紙イラストはやすなとソーニャちゃんで、ちょっとパステル? 淡い色調で、ナイフ構えたソーニャちゃんに、同じポーズながらピースサインのやすな。なんだろう、アホの子というと悪いけど、可愛いなあ。面白いのは、プチアンソロジー小冊子『べびーきるみー』。これ、洗剤のボトル、ハンドソープ? のボトルになったふたりですよ。マトリョーシカみたいで、可愛いというか、おかしい。いや、なんかいいですよ。味わい深いイラストです。

って、あれ、シャンプーボトルか! 読者プレゼントになってるし!

冒頭にアニメ化3作! 『キルミーベイベー』壁に激突したみたいでイカす、あれは本当にイカしました。めちゃくちゃ面白い。『けいおん!』、奥田! 奥田! 直さん! 直さん! 合宿は琴吹家の協力得られて、ばっちりですな。あの、音痴だって治るんだという先生の指導、あれはナイスですわ。直さんもナイスですわ。素晴しすぎ。『Aチャンネル』、鬼頭先生、可愛すぎ。るんさん! のコマとか、ちょっとこれまで見たことのない先生で、ほんと、真面目で不器用な人。それがとても可愛い人だと思わされました。それと、婆様、いいなあ。実にいい。

『ラッキー・ブレイク』、とてもいい感じ。薄くても恥ずかしい、その薄さが愛おしい、とかじゃなくって、いや、それも魅力的なんですけど、陸とのからみですね。陸が苦手というちゃこさん。けれど、年明け一発目の社内コンペに打ち込むちゃこが、陸と協働するにいたる、その顛末。最初は事故だった。というか、打たれ弱い人だな。なんて可愛いんだろう。というのはいいとして、火傷した手のかわりをしてもらったことで、陸がどれほど自分のことを目標とし、研究しているかを知る。そして、陸のフェアネスに触れて、一気にちゃこの気持ちが開くという、その描かれ方が実によかったです。面と向かって苦手といってしまう、けれどそれはこの人のフェアネスなんだろうな。真面目なふたり。意識して、けれどちゃんと評価して、認めるべきところは認めようとする。本当、いい相棒になれそうなふたりです。

CIRCLEさーくる』、最終回でした。大学漫研を舞台にした青春。しっかり描ききったんじゃないかなあ、そんな風に思わされる漫画でありました。先輩たちのいた下級生のころ。進級するにつれて、先輩が卒業していき、自分が先輩になり、そして部を率いる最上級生になって。その時々にうまれる感覚、楽しい、嬉しいと思うことがあれば、不安や迷いもあって、そして恋愛なんかもあって……。これ、本当に充実した漫画だったなって思うのですね。たくさんの登場人物。みなそれぞれが、それぞれの思いを抱えて個性的だった。部の先輩たちが作ってきた雰囲気、それを受け継ぎながら、また自分たちで作りあげていくものもあって、そうして変わっていく場には変わらないと思えるものがあって、ああ、なんだか懐かしいな。そういった気持ちになるんですね。自分がそうした場にいた、彼らともにその雰囲気に包まれていた、そうした感覚があるんでしょうね。だから、あの扉を開いた、その向こうに広がる心象風景。ぐっときたなあ。この漫画の主人公は小金井かなたで境栄で、彼らの目や気持ちを通して、私も主人公気分を味わわせてもらえてたのかも知れないですね。本当に素敵な青春のお裾分け。すごく感慨深い最終回でした。お疲れ! みんなお疲れ様だ!

『九十九神いりませんか?』も最終回。可愛い漫画でした。九十九神、キョウの小家出の顛末。それが描かれて、わかったことは素直じゃない和紗とキョウですね。おいしいものの味は忘れられない、そういって自分を未練がましいといっているキョウですが、その未練がましさは、ただ食べものに対してのみ発揮されたわけじゃないんですよね。けど、食べ物相手だと素直にいえる気持ちが、人相手だとなかなかそうはいかない。意地っぱりですね。そんな意地っぱり同士の、自分の気持ちにちょっとだけ向きあったというエピソード。まだまだ素直じゃないけれど、それでもちょっとずつ歩み寄っていくのかな。そんなこと思わせるラスト。好きな漫画でした。可愛くて、優しくて、なにかくすぐったくて、心地よかった。終わってしまって残念。キョウや和紗をはじめとする登場人物、みなが愛らしい。好きな漫画でした。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第8巻第3号(2012年3月号)

2012年1月27日金曜日

『まんがタイムオリジナル』2012年3月号

『まんがタイムオリジナル』2012年3月号、発売されました。表紙のテーマはウィンタースポーツですね。中央に、スキーでジャンプ、といっても、モーグルですね、ジャンプしている山下ナース。はじにはスキージャンプしている榊先生もいるのですが、救急箱持った師長をしょってるんですね。なるほど、レスキューなんだ。他には、ペアフィギュアスケートの『満開!Sister』、そりの『らいか・デイズ』、そしてスノーボードの『オトメシュラン』。ヨウさまが、なんだかちょっと弱気で、ちょっと可愛らしいです。

『あねぐるみ』、楽しくって最高だな。小学生が会社見学にやってくるっていうんですが、変な小芝居から入って、社員体験をさせちゃおうという姉さんがいいですね。楽しもう、楽しませよう、あわよくば成果を出そう。そんな姉さんのバイタリティが素敵です。しかし、それでラスボス扱いにされてしまう北見さんがいいですね。それどころか、子供考案のおもちゃの効果音にされている。ほんと、あの人、しょっちゅう捨て台詞はいてるんだ。しかし、なにかと楽しい回でした。お昼のカレーとかも面白かったです。というか、カレー食べたい。

『満開!Sister』。練炭ください! ありったけ! もう最高でした。焦るおじさんと、武士の噛み合わない会話。けれど、カンナ登場ですらりと誤解が解けてしまうんですね。ああ、しかし、面白かったです。十二単のさくら。武士、めろめろじゃないか。あの尽くされて当然といった風のさくら。いいですよ。素敵です。しかし、いい話っぽい雰囲気ただよわせたかと思ったら、ちっともそんなことなかったっていうね。ああいう上げて落とすの、大好き。で、そうしたアップダウンを描きながらも、そこにはやっぱり暖かな気持ちの交流する風景があった。それがなによりよかったんですね。というわけで、おでん食べたいです。

『先生のたまご』は、数木先生をメインにして、いつもとちょっと違った雰囲気。担任として三者面談にいどむ、っていうんですが、いやほんと、無闇に真面目な人ですね。単刀直入の人。ウソが嫌い、効率が悪いのが嫌い、けど人を傷つけることも好きじゃない。善良な人なんですね。困ってる人がいたら助けてしまう。失敗に気付いたら反省する。で、反省も大げさで、和美さんの面談での失敗。いや、あれはいいですよ。和美さんの狼狽。めちゃくちゃ可愛い。基本美少女なんだろうと思うんですが、それがあの目が、口が、あんなことに。いや、もう、最高でした。しかし生真面目な数木先生。その真面目さに追い詰められた風でもありますが、その真面目さがまたよいんだっていうラスト。いい塩梅だなって思ったのでした。

『がんばれ!生徒会長さん』、ゲストです。生徒会執行部のメンバーを募集しているという女の子。145cmと小柄で、初等部と勘違いされたりするけれど、立派な、ええと、立派な、中学? 高校? 高校なんじゃないかなって思うけど、わかんないな。ともあれ、生徒会執行部とはいうけれど、正式な生徒会ではなく、そういう名前の部活だっていうんですね。ひとり部員。カゲも薄い。そんな西野をしたってやってきた東山。男、背が高い。クールで、情熱のかけらもないかのようにさっぱりと告白する。西野会長には全然気付かれてないっていうんですけどね。ちょっと変わったやつ。こういうクールで、愛の告白なんてのもさらっとしちゃって、可愛いものに弱くて、ちょっと変態的で。こういう男子が好み、そんな層は間違いなくあるよなって思いました。会長も、小動物っぽいといっていいんでしょうか、こうした女の子が好みという層も確実にあるだろう。そんな感じ。どん、とはこないけど、じわじわくるという感じかな。ゆっくり育っていくとよさそう、そんな感じです。

  • 『まんがタイムオリジナル』第31巻第3号(2012年3月号)

引用

  • 東屋めめ「満開!Sister」,『まんがタイムオリジナル』第31巻第3号(2012年3月号),39頁。

2012年1月26日木曜日

『まんがタイムきららフォワード』2012年3月号

『まんがタイムきららフォワード』2012年3月号、一昨日の続きです。

はぢがーる』、たまらんものがありますね。扉絵から強烈、顔あからめて、こちらを見る紗江。ああ、この人は、おそろしく可愛らしいな。その可愛らしさは、普段は隠されてしまっているわけですが、それゆえにたまらぬ。ああ、本田君が羨ましいよ。心の底から羨ましいよ。というわけで、新たな課題です。3日以内にツーショットの写真をとってこい。いやもう、紗江さんですよ。一緒に写真を撮る相手、本田君ともう決まっている。意識せんでも決まっている。気になっちゃってますよね。でも、慣れてるだけだよねと自分を誤魔化して、この気持ちと意識のまだ距離のあるところ。いずれ、だんだんに意識が追い付いていくんだろうな。たまりません。舞台はゲームセンター。プリクラを撮ることになって、本田君にふたりで撮ろうと誘われて、なになに? 今回楽勝じゃないの? そう思っていたら、いや、もう、素晴しいな。嫌じゃない、どころかなんだか楽しい。自分の気持ちを意識して、それでできあがったのがあの写真! 素晴しいな。なんて初々しいツーショット。いや、ほんと、素晴しかったです。

『せなかぐらし』も実にいい感じ。くもりガラス越しのほのかな恋愛。巡の菓奈に対する気持ち。もうすぐ夏休みが終わってしまう。そうしたら、ふたりのひとり暮らしも終わってしまう。菓奈とのつながりを失いたくない、その巡の思い、ああ切なくてたまらんですね。踏み切りたい、思い切りたい、そういう思いがありながらも、きっとうまくいくわけなんてないじゃんか。そんなことないよ! っていいたいほどに思い詰めてる彼、ああ、男の子の純情ですね。自分に自信がないのかもね。ガラス越しに菓奈と交流するまでの彼のこと。あの時の経験が今の彼から自信を奪ってしまっているのかも知れないね。だからといって、その結論、決意でいいのかい? ああ、切ないじゃないか。ああ、放っとけないね。そう思わずにはおられんのですね。

少女素数』、今回は男衆の気持ちに共感するやら、いえね、兄貴さんは女の子は持ちたくないなあなんていっちゃう。すみれさんに凹まされ、そしていつかあんずさんにも凹まされる日がくるんだろう。ある種の達観ともいえるのかも知れませんが、やっぱり思うところはあるんですね。兄貴として妹を、年が離れてるだけに父のように見てしまったりしてるところがあるんでしょうか。いや、兄だろうと一緒なんだろうな。自分に気持ちを向けてくれていた可愛い妹が、他の男を見つめるようになる。いつか納得するだろうけど、今は複雑なんだろうな。わかってるけど、そうなんだろうなあ。と、兄貴さんがそうなら、ぱっクンは同時に告白されたがために気持ちが定まらなくなってしまっていて、いや、でも、そりゃそうだろうなあ。女子から告白されたら、舞い上がっちゃってほいほいとりあえず付き合っちゃったんじゃないか。そういう自分を見つめてる彼。そして、そういうところが嫌なんだと思う真面目さ。この真面目さは、少年特有の美しさを求める、そんな精神性によるものなのかもなあ。いえね、若いころって、決して身綺麗ではおられない、そんな衝動や欲望を自身わかっていながら、同時に潔癖だったりするでしょう。そう思えば、ヒロミの気持ちに精一杯の誠意を持って応えたのだろう敷島も、その潔癖、自分の気持ちに対し美しくありたく思ったひとりなのだろうなあって思ったのですね。

すみれと有美の淑女協定。望んでいたものは得られなかったけれど、それでもそれをよしとしようと思ったヒロミ。彼女らのうちにも、その美しさを求める感受性があるのでしょうね。けれど、いつしか変わっていくのかも知れない。恋を自覚して、気持ちに一本芯のできたかのようなすみれの言葉に、今も移ろい変わりゆく、そんな青春の瞬間、特別な、そして短い季節の影を思ったのでした。

2012年1月25日水曜日

Hand, taken with GR DIGITAL

New Year Card月末、ということで、GR BLOGのトラックバック企画であります。2012年最初のトラックバック企画、7年目の新年ということで、温故知新というか初心忘れずといいますか、テーマは「はじまり」とのことであります。しかし、GR BLOGは7年。私がGR DIGITALを買ってからほぼ5年。5年近くの間、毎日なにかしら写真を撮ってきた、とはいっても、最近はその情熱が薄れている、そういわざるをえないような有り様です。私も心機一転、ちょっと頑張らないといけませんね! というわけで、トラックバック企画「はじまり」に参加です。

とはいうものの、最近、これというものは撮れていない。今年最初の写真は、冒頭の年賀状の写真だったわけだけれど、これは、インクジェット用紙に書いたらこんなに滲んじゃったよ! という報告写真だったりしまして、いや、こんなのいいのかな、みたいな感じです。

というわけで、過去にさかのぼって、これ。

Hand

子供の手です。子供が手をにぎっているのを指して、しあわせが手の中にあるのだ、なんていいますね。本当に子供がしあわせを握っているのか、それはともかく、子供がいると、確かにしあわせと感じられる、そうしたものはあると思います。まさに、これからの生を生きる人たち。彼らの掴みうるもの、その可能性の広さ、それが眩しいですね。

2012年1月24日火曜日

『まんがタイムきららフォワード』2012年3月号

 『まんがタイムきららフォワード』2012年3月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。メリーさんが元気に雪遊びですよ、って、おお、ちゃんとセーターっぽいの着てるよ! しましまだけど。さすがに冬となるとメリーさんでも厚着するんだ。セーターにコート、そしてマフラーが可愛いです。というか、めちゃくちゃ細いな、この人。横縞は太って見えるというけど、その分細くしてるんじゃないかと思うほど細い。というか、あの表情が素敵です。ちょっといたずらっぽくて、ものすごく楽しそう。で、背後にはジョン雪だるまとジョン猫。ジョンもいいキャラクター。大好きです。

夢喰いメリー』は、ふられる豆やんからはじまって、ちょっとコミカルな学校生活? そんな雰囲気かと思いきや、夢路がシリアス。そして夢路に迫る白儀。これ、コメディに向かってもおかしくない、そんな振りでもあろうのに、エルクレスの器が誰か、それが焦点になっている現時点では、むしろはらはらと気持ちを揺さぶるものでしかない。いや、もう、引っ張りますよね。エルクレス、誰なのか。瑞貴なのではないか、これは以前にも匂わされてましたよね。そして、由衣の説得、エンギの復調があって、ついにエルクレスの器が誰か知れる。いやあ、これはやられました。自分のなかで、この可能性、一度も浮上したことがなかった。けれど、思えば、なるほど、そうか、確かに最初から夢路の観察の対象外に置かれていた。ああ、これは本当にやられた、そんな気持ちに打たれます。しかし、 由衣を見つめるナオ。ああした視線が実に効いていますね。

『魔法少女かずみ☆マギカ』、これは、もう、すごいな。ここ数ヶ月、完全に振り切られていて、追い付くのに必死といった状況なんですが、いや、もうすごい。先月、いったいなにを突然いいだそうというのか、里美の狂気じみた台詞と表情に混乱に似た気持ちを抱いたものでしたが、それは今回一定の決着を見て、いや、しかし、狂気じみた、そう感じさせる要素はなおも強まっていくというんですね。いやあ、これはホラーですよ。まさか、そんなことになっていたとは。これまでに語られ描かれてきたこと、その根底が揺らぐ思いでいます。いや、しかし、揺さぶってくれますね。アニメ『まどか☆マギカ』とはまた違う、けれど同様あるいは以上に揺さぶりをかけ、押し込んでくる、その圧迫感がたまらんです。ほんと、これ、どうなるんだろう。しあわせな結末に辿りつけるのかしら?

『meth・e・meth』、まさかのいきなり死亡スタート。そして、なるほど、あの危険そのものといった匂いのする誓文、不明の誓文、その効果、その威力が彼の死と蘇生をもって語られるのですね。しかし面白くなってきましたよね。あの危険極まりないゴーレム。それは不明の誓文により生み出されて暴走したものという。暴走ゴーレムを追い誓文を回収するのが福祉会のエージェント。エージェントの仕事を阻み、福祉会に対立する組織ライトシーカー。もし、不明の誓文によって作られた心臓により蘇生した柚木のことが知れれば彼の身が危ない、というわけで、エージェントフラジャイルが柚木の学校に、吉原奈都菜という名で派遣される。いろいろあって、誓文部にはいることになって、しかしスムーズかつ読ませる導入だと思います。フラジャイルもまた謎めいて、この子の存在もなにかの鍵であったりするのでしょうか。先が楽しみです。

ここでまとめていっちゃうのもなんですが、他の新連載、って『私が彼女で彼女が私で』ですが、これも面白かった。まだふたりの周囲、家庭環境が見えてきた、それくらいなのでなんともつっこんだこといえない感じですが、なかなか悪くないんじゃない? これからも、どんどんよくなるんじゃない? そんな予感がしています。白浜さんがなんだかよろしいなあ。中身は御堂さんです。

『ハナヤマタ』は西御門のお嬢様、たみさんがよさこいに興味を持つ、そのプロセスですね。いろいろとやっている習い事。けど、それって本当に自分のやりたいことなのか? 父親に認められたい、その一心でやっていることなのか? 友達まちの指摘でいろいろ思っていたところに、うまいことハナのプロモーションが届いた? 届きそう? みたいな感じです。しかし、たみさん。バレエ経験者、ということで、脚がきれいにピンとあがる。って、あれ、なるさん、わざわざ見える方向に移動してますよね。だって、最初はハナの左手にいたのに、ぐるり回ってずっと右方向にいるんだもの。あらら、もう、なるさんったら! そしてターンも綺麗。いや、もう、いいですね。ハナの呼び掛けに心揺れる、その思い悩みつつも嬉しさのにじむ表情、とても素敵でした。と、あの回転から転倒をへて自己嫌悪にいたるなるさんも最高です。

2012年1月23日月曜日

『まんがタイムスペシャル』2012年3月号

『まんがタイムスペシャル』2012年3月号、一昨日の続きです。

シュガービーチ』は、まさに冬の話題! コタツからはじまる話なのに、水着で練習。そういや去年も雪の海岸で練習してましたよね。というわけで、今回も水着なんですが、なんとか水着を避けたいエミちゃんとか、けれどそれを許さない部長とか。これ、部長は厳しいんじゃなくて、可愛いのが好きで、で、この人の可愛さの必須事項が水着だという、いやまあ、大変な話です。あの水着に着替えるようエミを説得する部長の必死さ。もう、たまらんですね。しかし、倒れるなこ。SPのせめてもの心尽くし。あの役にたってなさが面白い。ほんと、最後まで楽しめました。

『ポンチョ。』、最終回とのことで、ついにカレシがななみさんとデートに漕ぎ着けましたよ。いや、これまでも漫画になってないところではデートしてたんじゃなかったの? などなど思ったり。しかし、カレシがやたら純情で、ななみさんはというと、ほう、カツカレー食べたかったのか。いや、これはポンちゃんとアキラちゃんの想像かも知れないですけどね。しかしななみさんの自然体、それはすごく好印象。だけど、ちょっと気取ったりするななみさんもいいですね。それでもって、カレシのポンちゃんやトメ吉、アキラちゃんのことよくわかってる、その仲よさがいいですよ。お姉さんへのポイント稼ぎとかじゃない、本当に仲がいいんだっていう、それがすごくいいと思うんです。というわけで最終回。楽しい漫画。優しさが感じられて、にぎやかで、そしてあたたかい。好きでした。いい漫画でした。

少女カフェ』、扉、みんな眼鏡で、お父さん、似合うな、というか、あれ? 普段眼鏡かけてなかったっけ? と錯覚するほど。眼鏡のつくしが可愛いなあ。いや、みおも可愛いですけどさ。で、なんで眼鏡かといったら、江藤さんが出てくるエピソードだからなんですね。眼鏡がいいとは、みおさんの意見です。バレンタインデーのカフェの風景。ちょっと空気よめないお父さんとか、そして同様、あるいはそれ以上の葉月さん。いや、もうしびれるわ。江藤さんの気持ち、まったく通じてない。もう、ばっさばっさと斬り捨てられるかのような状況、いや、もう、しびれました。しかし、その気持ちを汲み取って、ちゃんと伝えてあげるみおは優しい子ですね。というか、あれくらいいわんとわからんのが葉月さんなのか。いや、もう、江藤さんは苦労しそうです。お父さんはマチコさんがとにかく積極的な人でよかったんだなあ。そう思わされるエピソードでありました。

『放課後のピアニスト』は、受験の話ですね。シドは音大進学志望。同様にレミも音大目指してて、なので練習を欠かさない。雨が降ろうが風が吹こうが、ソラくんいわく地震でも台風でもレッスンは休まない、っていうんですね。いやあ、見上げた根性だ。っていうけど、風邪をひいてもピアノ弾こうとするから大変だ、という話でした。いや、でも、風邪ひいても練習するよな。というか、風邪ひいた時こそ練習したくなるよな。実際、私も昔は毎日最低2時間とか3時間とか練習していて、それこそレミみたく一日休めば三日忘れる、そう思って、盆も暮れも正月もなく練習したもんでした。で、大学入る前だったのかな、入学してからだったかな、風邪ひいた時にですよ、中世のころは音楽が病人の心身を鼓舞するとかいう理由で、病人の真上でフルートを吹くような療法があったというから、ようし自前で音楽療法だ! 練習したらですよ、めちゃめちゃ熱が上がって酷い目にあった。レミの気持ち、よくわかるんですよ。絶対合格したい、少しでも上手くなりたい、とりわけ私はおちこぼれの口だったから、少しでも周囲に追い付きたい、その一心で、必死というか視野狭窄だったんでしょうね。風邪ひいたりすると、弱気になるからか、なぜか普段以上に練習しないと、じゃないと遅れをとってしまう、気ばかり焦ってしまうんですね。

レミは私と違って才能あるんだから、そんなに焦ることはないよ。そんな風に思ったりしましたよ。それに、一度身についたものは、そうそう忘れてしまったりはしない。そうしたこと、この子に伝えたくなるような話でした。まあ、ソラくんがちゃんといってくれてるから、よかったなあ、なんですけどね。なんだかいろいろ思い出してしまいましたよ。

  • 『まんがタイムスペシャル』第21巻第3号(2012年3月号)

2012年1月22日日曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号、一昨日の続きです。

『カレーの王女さま』、これが思わぬ眼鏡ゾーン。中間考査で、思わず全教科満点なんて離れ業をやってしまった平さん。すげえな。というわけで、平さんの眼鏡を皆がかけている、フレームのデザインが素敵だなあ。さて本編は、この試験で成績が振るわなかった面々が平さんに勉強を教えてもらおうという話なんですが、 一番まずい人が権力でのうのうとしている。酷い! 酷い話なんですが、酷いのは権力だけじゃなくて、梅子とつかさの点数もそうだっていうんですね。数学、国語で追い詰められて涙ぐむ梅子は可愛いなあ。しかし、このふたりに加え王女様も、まともにテストを受ける気あるのかといった風情。けど、そんな皆も平さんのおかげで……、いや、どうにもならんところはならんっていうのがよかったです。

『スタードロップ』、ゲストです。喧嘩にあけくれていた時任めたもが、ちょっとした出会いをきっかけにお嬢様に憧れ、お嬢様学校に潜り込むように編入するっていうんですね。そこで出会ったのは、あの時のお嬢様!? と思ったら、なるほどこの子は妹なんですね。この子、星月ありす。ステレオタイプなお嬢様から脱却せんとする脱セレ部なる部活に所属している。そして、めたもにお嬢様らしからぬ要素を見出した部員たち、花寺恵実理、川合杏樹に憧れられて、入部どころか部長にされてしまうっていうんですね。しかし、めたもが入学できた理由、それも明かされて、なるほど、いろいろ仕掛けてきていて、期待できそうな出だしですよ。

『三種のジンギ!』、面白かった。お悩み相談をはじめたところ、先生から資料室の整理を頼まれて、けどその前半は旧制服のよさと乙女の兄貴のやばさが語られた、そんな感じでありますよ。その一連のどたばたというか、おかしな会話、それも面白かったんですが、隠し部屋のミツバチの、ベタベタの、落ちない!!! の、面白かったですよ。ノリがよくて、女の子たちの生きがいい、それが実によいですね。

『アキタランドゴシック』は、強烈で鮮烈だな。雪が積もって除雪車が登場。その前に飛び出して、怒られるアキタちゃんたち、っていうんですが、アサヒ、コマチはとばっちりですね。で、除雪車の危険を子供たちに教える、そんな講習会のためのアイデアを出すことになるっていうお話です。しかし、この漫画、台詞がいちいち面白い。雪で異常な興奮状態に陥った子供とか、そういう表現にしびれます。で、紅翁再び! ところで、皮剥ぎオーガってなんなんだ。ほんとにあるのん? ともあれ、のどかな雰囲気の講習会に、名状しがたき雄叫びをともに現れる除雪車「雪をむさぼるもの」。あの一連の展開、笑いが止まらんですね。もちろん操縦は紅翁。もう最高。おびえる子供たちと嬉しそうなアキタちゃんの対比とか、そして大落ちにいたるまで、もう強烈でした。もう、このうえないほど面白かったです。

『ふわふわ科学』は、回を重ねるごとに、どんどん面白くなっていきますね。今回は相転移の話ですね。寒い日、氷を導入に、氷が融けるように飴も融けるのか、そういう疑問を解消していこうという話です。しかし、 砂糖と塩の融点の違い。そして焦げやすい砂糖など、このへんはよく知らないから、興味深く読みましたね。そして沸点の話。ああ、気圧との関係は知ってます。最初、水の沸点が99.97度という方向に向かうのかなって思ったんですが、そうじゃなくて気圧でした。山に登ると気圧とともに沸点も下がるのでご飯が生煮えになるっていう話ですね。気圧が下がるなら、ほぼ0の宇宙空間じゃどうなるかなど、こうやって突き詰めて問い掛けていく感じなども素晴しい。さらには水が液体で存在する、そんな地球の環境に触れ、SFなどによく見られるコールドスリープとその問題など、ちょっとした興味から宇宙規模にまで話を膨らませて、最後に身近に使われている技術、科学の応用されている実例に立ち返る。ほんと、よく練られたエピソードの連続にまいりました。そして最後のしめがまたいい。塩にラベル貼ってなかったという、冒頭ころの小ネタを伏線にしてコメディタッチでしめる。ささやかだけど、これ、よく効いている、そう思います。

しかし、この沸騰、凝固の話は、広げようと思ったら際限なくネタを拾ってこれそうだから、このページ数に過不足なくまとめて、ひとつの流れをつくるの、取捨選択は大変だったろうと思います。これもおいしいネタなんだけど、って欲張りすぎるとバランスがおかしくなって『ぐだぐだ科学』になってしまう。うまいことふわふわにしあげてる、ええ、実にいい漫画です。というわけで、私はというといつもどおりのぐだぐだ感想文でありました。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第3号(2012年3月号)

引用

  • 器械「アキタランドゴシック」,『まんがタイムきららMAX』第9巻第3号(2012年3月号),156頁。

2012年1月21日土曜日

『まんがタイムスペシャル』2012年3月号

『まんがタイムスペシャル』2012年3月号、発売されました。ああ、表紙はバレンタイン。あの衝撃の表紙からもう1年がたったんですね。今年の表紙はマキとリコのふたり。ふたりとも顔を赤くして、こちらを見つめるその目が色っぽい。リコが、なんだか素直な感じで可愛いですね。いや、しかし、威力のある表紙ですよ。口元隠してるマキと違って、リコは口元見えてるから、余計にぐっとひきつけられます。ああ、しかし可愛い子たちです。そして他に『趣味じゃない園芸』の新連載、『野菜畑でつかまえて』のコミックス発売中の告知カットがございます。

『趣味じゃない園芸』、連載になりました。扉はこも巻き? 本編にもちょっと関係する扉。春になり花開く稲生さんの冬の努力のお話。なんというか、いいお姉さんだなあ。ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』よろしく美しさを誇示する稲生さんですが、私にとってはオフシーズンこそ本番だなあ、みたいな印象です。さて、植物園の展示・催事についての話がメインなんですけど、元気はあるがおよそ実行できそうにないことばかりいってる稲生さん、対してネガティブ一直線の植村さん。うわ、困った、植村さんみたいな人、やたら好みだわ。しかし、押しの強い稲生さん。ぐいぐい場を動かしてる、そんな感じがあって、かきまわしてるだけかも知れませんけど! 面白かったです。

『トンネルの華子さん』は、いい感じに人間関係ができあがっていて、最初は、悩みごと抱えてる人が華子さんに助けられる、それを繰り返していくばかりなのかと思っていのに、ずいぶん雰囲気が違ってきたように思います。広海が華子さんを探している。そして絵理、その兄と、華子さんと知り合った人たちが顔を揃えて、いや、なかなかに華子さんの周辺はにぎやかです。しかし、こうして華子さんについて調べようという人が出てきたり、また昔の華子さんのことが語られたりと、ちょっとずつ華子さんに近付いていく、そうした感触、すごくいいと思います。それと、やっぱり人間関係。人と人が知り合う、繋がることで、新しい情報も出れば感想、感触も出てくるわけで、実にいい感じ。こうした感触残しつつ、広がって深まる、そんな展開見せたら最高だなって思います。

『どろんきゅー』、やっぱりこれいいなあ。ヒロイン果歩の記念写真。あれ、絵面がすごい。なにか写ってるどころじゃないっていうのがおかしくって、笑って笑ってと声かけるのがいるかと思えば、フレンドリーに近寄ってくるやつもいる。悪いやつらじゃないんだろうなあ。そう思うんだけど、見た目がおどろおどろしくかつ滑稽だから、もうおかしくてしかたないんですね。しかし、ナンパにしてもエレベーターにしても、出てくる霊がことごとくおどろおどろしい。可愛げなんて皆無で、けどそいつらが不思議と善良なもんだから、妙に愛らしい、やたらと面白いんですね。これ、果歩が本気で怖がってる、って、いや、そりゃ怖いよな。その怖がってる描写がしっかりしてるのもよいのだと思います。しかし、足ツボ幽霊はなんかいいなあ。健康増進しそう。実際に足つかまれたら、そんなこといってられないと思いますけど!

エッセー企画は「私のまわりのすごい友達」、って、ほんとにすごいな。っていうか、いきなり死ぬ時のこと考えんとなとかいいだす人もすごいと思うんですが、ええと、執筆者、師走冬子、松田円、下村トモヒロ、沼江蛙、おおた綾乃、渡辺志保梨であります。冒頭の死ぬ時云々は師走冬子の発言。そのいきなりの発言に、小学生の頃、骨つぼに憧れてたとかいう答が返ってくるというのが衝撃的です。しかし、面白い。なんというんだろう、そういう友達があるのは、その本人も同じくすごい人だから、そんな気がさせられるんですね。類は友を呼ぶとかじゃなくて、常識を軽く飛び越えていく、そんな人を敬遠するのではなく、友達として受け入れてしまう。そんな包容力。松田円のエピソードがそんな感じ。しかし、面白い。下村トモヒロの描くアシスタント氏。この人も面白いんだけど、あのコマの絵面がもうすでに面白い。で、沼江蛙の話。どういう感想持ったらいいのかわからない、そう思ってたら、漫画の扉でエッセー企画への誘導コメントがあって、なにかこれは自爆ネタとかそういうのなんだろうか。時間差でやたら面白かったです。そして、おおた綾乃の描く友達という関係、これはすごくいい話だと思う。そういうことってあると思う。友達ってそういうことだと思う。ほんと、気持ちのいい漫画でした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第21巻第3号(2012年3月号)

2012年1月20日金曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号、昨日の続きです。

『ごーすとっぷ!』、ゲストです。なるほど、ゴー、ストップにゴーストをかけてるんですね。さて、ヒロインは姪浜ゆき。この人、もう死んでるのか。今日から守護霊だっていうんですね。で、守られるのは奥嶋弘也。この人、ゆきの赴任が半月遅れてしまったことが災いしたか幸いしたか、守護霊不在期間に霊障うけすぎて鍛えられ、霊が見えるようになってしまったっていうんですね。美少女ゆきちゃんと対面できてよかったじゃない、みたいなこといってるゆきですが、いや、実際、可愛い女の子だと思います。ちょっといいかげんというかおっちょこちょいというか、失敗も多く、けど感情豊かで表情がころころと変わって、それがすごく魅力的。しかし、悪霊との戦いとかね、なるほどいわゆる中二病的なそれを使って戦うんだ。なんだか派手で、そんなにシリアスでもなく、コミカル一直線って感じで、楽しかった。いい感じに展開して、面白く読みました。

『ばろめっつ』、お久しぶりゲストです。これはなんというんだろう。妖精? バロメッツという不思議キャラクターが、原田という無口の不思議人間のもとにやってきた。バロメッツというのは、原田さんの調査によると実から出た羊なのだそうで、カニ風味かまぼこ味、おいしいとのこと。しかし、原田は無感情に見えて、けれど実は情の深い人? うんと苦しまなくちゃのくだりなど、ああ、なんだかしみますね。そうだねえと、うんうんうなずいてしまう。ええ、なんだか感心感動した。で、それからの展開、なんだかちょっとおかしくて、けど、ういやつとか、すごく微笑ましい。楽しいなあ。ちょっとシュールで、面白いなあ。ええ、大変よかったです。

『Re: ナーブアップ!』、ゲストです。成熟した5歳児、リナとそのパパの話ですね。リナはパパが大好きで、パパもリナのことが大好き! けど、なんかほのぼのというより、どこか犯罪的な匂いがする、そんなパパであります。いや、だってさ、リナのオッパイ触れるのはパパだけとか、いや、それセクハラじゃなくて性虐待一歩手前だからっ! いわゆるツンデレ? アルトちゃんという友達がいたり、こちらは見た目は子供だけどちょっとませてるとか、そういう風な対照なのかな? 流れを見るに、いろいろとぎこちない、そんな印象があるんですが、リアリティはなしでもいい、それこそばりばり虚構作り事でいいから、なんだか本当にありそう、こんな人いそう、いたら面白そう! といった感じが出ると違ってくるのかも。彼女らの世界に読んでる私もうまいこと巻き込んで、なんて思いました。

ラッキーストライク!』、最終回でした。リンとレン、ふたりが残って戦う決勝戦ですよ。って、上級生組は敗退しちゃったのか。で、リリス組と対戦するんですが、ここで、また、面白い展開盛り込んで、なんと、リリスの強く変化するボールというのは、ただ曲る、派手というだけじゃないんだ。すごいな、ボウリング。奥が深いというか、レーンの状態とか、そうなのか、プレイ中にもどんどん変化していくものなのか。はっと驚かされる、感心させられる、そんな魅力、最終回にも健在です。レーンを荒らしていくリリス、その失策。ああ、なるほどと思わされることここにもあって、右で投げるプレイヤーが撃沈、強豪リリス組に付け込む隙ができるわけか。で、そこにサウスポーのレンが生きてくる。ああ、これは本当に面白い。主役が生きる瞬間ですね。ボウリングの試合、緊張しながらのプレイを通して知る、その面白さ。読んでいるだけの、自分では投げない、そんな私にもびりびりと伝わってくる面白さがありました。ボウリングは、ただピンを倒すだけのゲームではない。心理戦があり、レーンの状況など駆け引きする要素も数々あって、そして仲間と一緒に頑張り切磋琢磨する、ひとりだけで競うゲームではないんだ。そんな知らなかった世界を知ることができた。緊張、プレッシャーさえも楽しみになる、そんなレンの姿は眩しくて、わくわくと高揚させられました。

ここ数年、すごく楽しみにしてたのが『ラッキーストライク!』でした。面白かった。知らない世界を知ることができた。そして、登場人物、みんな魅力的で、心ひかれていました。皆、いろいろと課題を抱えていて、そうしたものの行方、もっと見たかったなあ、そう思う気持ちはとまらないのですが、でも、ボウリングの魅力、しっかりと伝わって、充実するものが残った、そう思います。いい漫画でした。大好きな漫画でした。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第3号(2012年3月号)

2012年1月19日木曜日

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号

『まんがタイムきららMAX』2012年3月号、発売されました。表紙は『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』。いや、これ、素晴しいですよ。なんだろう、椿がとんでもなく美少女。うわあ、あの頬とか下睫毛とか、うわー、すごいね。めちゃくちゃ可愛いじゃん。で、安食先輩、柘植ちゃん、もう最高だ。と思うのですよ。しかし、このイラストに登場するメインの5人。記念写真撮るようにしているだけというのに、皆がそれぞれにその個性を発揮してる。ああ、素晴しいね。高山さんが元気いっぱいでいいよね。ほんと、いい表紙です。

そんなわけで『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』です。冒頭から温泉、はいいとして、安食先輩が温泉回の看板かかげていて、いやもう大サービスですね。しかし、それでもいやらしさがないのがすごくいい。そして、記録会だけに現れる幽霊部員。いや、もう、大サービスですね。と、コメディタッチはここまでで、後は走る走る走るですよね。部員それぞれのペースで走るんですが、そうなると実力差が如実にあらわれてくるっていうんですね。ああ、厳しい世界ですよ。練習がはじまると、夜にゲームをする余裕もなくなる。疲れて眠くて、ご飯食べながら寝そうになるくらい。もう、ばたんきゅーですよね。回復して疲れはてて、風呂でも寝て、けどそれがつらくない。楽しいと振り返れるっていうんですね。ああ、これは素晴しい部活もの。ああ、これは魅力的な部活ものだと思います。

『ご注文はうさぎですか?』は球技大会がテーマ。大会を前に練習するっていうんですが、ココアと千夜はバレーボールの特訓で、チノはリゼにつきあってもらってバドミントンの練習。いや、しかし、チノの言い訳が可愛いです。手をブンブン振ってる、あの様子もとてもいいですね。さて、バレーボール組はまるで殺人現場、って、この異常事態、見ているだけで笑えてくるんですが、こういうシュールな絵面、面白い。それからのやりとりなんかも、もう面白くって可愛くて、ココア顔面レシーブ、シャロの私服、会話に含まれる不穏な言葉の断片。実にいい感じでした。しかし、クライマックスは必死のシャロ、そしてココアが、トスッ、千夜のささやかな頑張りひとつに負けてしまってる、その報われなさ。あの力の抜けて、なんかしあわせな3コマ目。あれでしたね。いや、ほんと、よくよく盛り上げて、すとんとテンションを下げる、その見せ方にまいりました。

『√中学生』は、月が眼鏡をかけて登校ですよ。おおう、ついに眼鏡か。ここから眼鏡ゾーンか、と思ったら、次が『くすりのマジョラム』で、本当に眼鏡ゾーンだったという。というのはいいとして、月ちゃん、眼鏡なしでも可愛いけれど、眼鏡かけてると格別のものがあるな。さて、とーさまの秘密ですよ。眼鏡がお好きなんだそうで、その趣味がいきすぎて国外追放の憂き目にあった……。月ととーさまの正体を正しく把握している鞘が、ひとりで厳しくつっこみ入れている、その様子、もはや御定まりですが、いいパターンができてきていると感じます。そして後半はパラダイス展開。ちょっと趣味性の強い回、エピソードでしたけど、いろんな出来事をきっかけに押し出されてくるキャラクター、その個性、実に楽しかった。ってゆーか、暦さん、可愛いな。そうか、あの眼鏡で時期女王の座を射止めたのでありますね。

『くすりのマジョラム』、眼鏡ゾーンの続き、こちらではラムさんが倒れてスタート。インフルエンザで高熱発して、という話。で、ラムさん、熱のせいで終始目が潤んでいて、わあ、すごく色っぽい。たまたまお店にきていた錠君と潤ちゃんが第一発見者で、ここに妹ユキさんが加わっての、少人数エピソードでした。しかし、抗インフルエンザ魔法薬を作るレシピ、その説明がいつもながら見事といいますか、実際のウイルスについての知見があり、そこにいかにもいけそうな説明がついて、ほんと、なんだろうこの説得力。魔法薬以外本編はというと、コメディとしても、当然のように面白く、よく整理されてる、だからすとんと伝わる、ちょっと座薬とか、使いようによってはいろいろ妄想広がるネタをとりあげつつも、嫌味なくさらりと見せる清潔感、毎回毎回見事なバランス感覚だと感心します。で、運んでもらえそうにないという人あらば、抱き上げられるようになりたいと思う人あり、こういうちょこっとしたところに繋がりを見せるのも得意技、という感じがします。ところで、潤がラムを抱えて立たせた、あの絵、ものすごくいいですね。あのコマだけ引き伸ばしたポスターが欲しいくらいです。ばんざい。

  • 『まんがタイムきららMAX』第9巻第3号(2012年3月号)

2012年1月18日水曜日

『まんがタイムファミリー』2012年3月号

『まんがタイムファミリー』2012年3月号、昨日の続きです。

『はなとふたば』、いい感じですね。これはユキが素直になる、いや、自信をつけるっていったらいいのかな。そうしたステップの段階を終えたって感じですね。可愛い格好してのどかちゃんのお店にいったユキ、それがものすごく好評で、けど、好評なのわかるよな。横山くんも挙動不審になってしまうくらい。しかし、タキといい、この漫画の男の子は、どこかおかし可愛い感じです。今回で、ユキがのどかちゃんに一歩踏み込めた、もしかしたらこれまでの誰よりも近付いたのかなあ。ずっと一方的にコンプレックスを抱いてたユキだけど、その彼女がのどかちゃんの不安や失望をやわらげて、そして友達になったのかなあ。正直、タキや横山は視野に入ってこない。今後はわからないですけどね。そんな、女の子の友情もの。いいですよ。

今月のエッセー企画は「大人もカゼの子!」。執筆者は木村和昭、駒倉葛尾、矢直ちなみ、おおた綾乃です。病気故障についてなんですが、職業病あり、それから骨折あり、って、おそろしいな。螺旋骨折とかあるんだ。風邪を引かない工夫なんかはありがたいですね。加湿はしてないんですが、温めるようにして、首にはタオル巻いて、自分もいろいろ工夫しています。そして最後の、筋力の話。ああ、これは私もそうなんだと思います。筋力なくて、脂肪も少ないから、もう寒いのなんのって。いけません。

『B級カメラっ娘』、高原けんじの新作ゲストです。駆け出しカメラマンの女の子、真田ひかりをヒロインにしたコメディですね。報道カメラマンになりたいっていうけど、実際どうやったらなれるんだろう。どっかの報道局に入って、その後独立とかなのかしら。というようなのは考えなくてもいい、気楽に楽しむのが一番といった漫画。実際、ひかりのキャラクター、実にいい性格してるというか、あの根が明るいというか、ほんとこの人の描く漫画のヒロイン、人物は気持ちがいいと感じます。うまいこと広がって、うまいこと展開していってくれたらいいなって思います。

『あきほ必笑宣言!』、こちらも新作ゲストです。作者は芦浦だんこ。『ともえ一本勝負!!』の人ですね。『ともえ一本勝負!!』、これ好きだったんだけどなあ。というか、めちゃくちゃ面白かったのに。さっぱりした女の子たちが、面白くって、可愛くって、最高だった。でも連載は勝ち取れなかったのかあ。残念だ。というわけで、新作。子供のころにいわれた一言が原因して、自分のこと、ブスで面白くないと思い込んじゃった女の子、生方あきほがヒロイン。まあ、それをいった森幸平、この人は友達にからかわれて照れ隠しでそんなこといったんですけど。あきほは幸平に、もう遊ばないといわれたものだから、面白い子になると宣言。その暁には結婚してくれ。子供時分のプロポーズというやつですね。しかし、ご主人様から紙を食べるにいたるボケとツッコミ、その展開、そのテンポ、面白かった。このゲスト回で、あきほの幸平を笑わせるという目的が達成されてしまうので、これが好評で連載にということになったら、リセットするか、あるいはちょっと目的を変えてでも進めるか、みたいになるんでしょうか。しかし、『ともえ一本勝負!!』、あれも掬い上げて欲しいなあ。めちゃくちゃ面白かったと思うんだけどなあ。

  • 『まんがタイムファミリー』第30巻第3号(2012年3月号)

2012年1月17日火曜日

『まんがタイムファミリー』2012年3月号

『まんがタイムファミリー』2012年3月号、発売されました。表紙、テーマは節分ですね。『ぽちゃぽちゃ水泳部』のカツ代は虎のビキニで鬼の扮装、なんですが、なぜか、ほら、遊園地にあったりする、ボールぶつける鬼の人形、あれになっております。他には、長大な太巻きにぐるぐる巻きにされてる『椿さん』、そして両手に鬼やらいを持った『教師諸君!!』西名先生。そして『めがねのキミと博物館』の単行本発売告知も載っています。

教師諸君!!』は2月のイベントであります。針供養にカーニバル、って、ちゃんと謝肉祭の後に断食がくることが話題にのぼるのがいいですよね。そもそもカーニバルというのが、さらば肉よ、を語源にしてるとか? で、今泉先生の手にしている仮面、あれはコメディア・デラルテのドットーレ? ドットーレのキャラクターをもって今泉先生の講義を云々、とかあったりするのかなあ。ないよね。いや、わかりません。さて、本編はバレンタインなんですが、あの深沢先生へのサプライズとか、ロマンチックのかけらもなくて最高です。城先生も、もしやと思わせて、やっぱりあんまりロマンチックじゃない。恋より実の人たちだなあと思わされる、けどそのバイタリティのようなもの、それがなにより、楽しそうなのがいいですね。で、最後の一本。あれがまたよいですね。変わりもの西名先生。けど、彼女のよさ、それがほのかに伝わる、そんないい話だったと思います。

『うのはな3姉妹』は湯豆腐の話。豆腐屋のご飯は毎日豆腐。三女は飽きないっていうけれど、次女はさすがに飽きたとか。で、特別な湯豆腐を作るよと長女。この、期待させてから実際の登場まで時間がかかる、そのじらしよう、見せ方がよかったです。梅乃さんが悪いんじゃない。桜の湯豆腐愛が豆腐の需要を喚起する。テーブルコンロが壊れてしまう。さらには桃子が風邪引きだ! で、魔法の豆腐なんですけど、おおう、これは試してみたい。さすがの親父さん、っていうのもいかしますが、いや、やっぱりそれよりも重曹いれると、あんなふうになるんだ。驚きと興味、食べてみたいという気持ちが盛り上がってしまいますね。

『博士の白衣女子攻略論』は健康診断の話なんですが、ちょっと特別な検診みたいですね。有機溶剤などを使う人のための検診。なので丹沢さんは無関係。あの、ちょっとしたことでうろたえるのが、この人の素直というか、魅力ですよね。しかし、今回は仕事をちょっと離れたからか、なんだかちょっと色っぽい? 普段着、私服、赤星さん、なんというか、めっちゃくちゃ可愛いなあ。んーっ!! とか、もうどうしたらよろしいの!? ってくらい。馬尿酸で大焦りする、あれもよろしいですね。なんというのだろう、いつもクール、そんな人の本音というか地金が出て、それがなんだか魅力的。ところで、私の握力は赤星さんを下回ってます。正直、いろいろやばいです。

『働け!おねえさん』、実にいいなあ。節分の太巻きの話題。あれもこれも業界の陰謀だ! というんだけど、それにちゃんとのって踊ってあげようという、その理由がよかったです。で、大量の太巻き。来島さんが原価で購入したっていうんですけど、それを事務に売りさばく馬渡の手管。あれはいかします。やり手ならやり手と、しっかり見せてくれる、それが嬉しいじゃありませんか。ほかにも来島さんのアイデアとかもね、それから気遣いとかもね、うまく動いて、いきいきしていて、実によかったです。太巻き食べたくなりますね。

  • 『まんがタイムファミリー』第30巻第3号(2012年3月号)

引用

  • 春日ゆら「博士の白衣女子攻略論」,『まんがタイムファミリー』第30巻第3号(2012年3月号),61頁。