『まんがタイムきららキャラット』2012年3月号、昨日の続きです。
『平成生まれ』、絶好調ですね。次第にできあがってきた関係性のネットワーク。佐藤は四村、中川は原田、藤井は吉村、そんなペア単位でのやりとりが基本でありながら、中川原田組に佐藤が介入するなど、で、これが非常に面白い。この漫画ではよく、イラっとさせる、みたいなこといってますが、まさにそれですよね。佐藤が中川を煽る。その煽りようが実によくできていて、中川が強がる気持ちもわかれば、悔しいと思う気持ちもよくわかるんですよ。この漫画は、よく人の気持ちを観察して、こう押せば人は嫌がるだとか、悔しい、気分を害する、そういう微妙な勘所をよく掴んで表現してるんだろうなって思います。で、やりすぎて不快にならないように抑えてる。そのバランスの取りようがうまいなって思うんですね。ところで、四村さんの兄貴ネタ、たまらんですね。よく人の気持ちの動く様、掴んでるなって思わされるわけですね。
『IQにとりりおん』、なんにゃか、新作ゲストです。いやあ、待ってました! 新作は天才少女のお話。小達みかんさんはIQ二兆ときたもんだ。いやあ、200とか300とかはちょくちょく見ますけど、二兆とかはじめてだな。ここまでくると、もはやツッコミいれる方が野暮でしょう。で、このみかんちゃんが坂名ぐりるという女の子と仲良くなる。そういうお話になりそうです。しかし、みかんとぐりるのやりとりのぎくしゃく、その時々にみかんが、ぐりるが思っていること、そのひとつひとつが可愛らしいな、そう思えるものでした。頭の回転は速くていろいろこまごま考えてしまうけれど、情緒の面ではむしろ素朴でうぶなみかん。対して、ちょっとどんくさくて要領も悪そうだけど、共感し親身になって接してくれるぐりる。まだ序盤、導入段階だから、キャラクターの動き、その他もろもろ、こなれていくのはこれからだろうけれど、より一般に受け入れられそうな設定や要素を試しつつ、なんにゃかという人の見つめる世界、そのらしさもほのぼのと感じられる。そんな印象。みかんがぐりるとともに、これから知っていく世界のありよう、それがどのようなものになるのだろうか。身近におこる出来事に発見のサーチライトを当てて、楽しく世界を彩ってくれる、そんな楽しさに溢れたものになるのだろうか。期待したいところであります。
『ぱわーおぶすまいる。』は、まゆ、環、観久をメインに描いて、ちょっと変わった娘たち、彼女らのちょっと不思議な行動と、そこに浮かびあがる可愛さ、そいつを見せようといった具合でありますね。観久の奇行が光る、といっちゃあなんですが、中途半端なユニフォーム、まゆも交えて変な体操、できると見せてルールわかってない、などなど、次々いろいろ押し出してきますね。しかし、変ながらも意外とできる観久。対してできそうに見えて意外やできない環。ベタなのかも知れないけど、いい感じ。テンポがいいんでしょうね。楽しい、面白い、微笑ましい、でした。ところで三拍子で振る話。まゆのそれ、実にやばい感じ。で、最後の落ちがこいつか。実にいい感じでした。
『スマイルショット』は雪の日でありますね。雪だよ、シャッターチャンスだよ、っていうのでカメラを持って出るはずが、えまは肝心のカメラを忘れていて、といったところ。写真もちょっとは撮るんですけど、基本は遊びだったり、ですね。遊んで、雪うさぎたくさん作って、で、力作を写真におさめる。カメラを、表現の道具として使うよりも、自分の楽しみや面白かったこと、それらを記録して思い出に残す、そういうものとして使っているみたいですね。写真やカメラというと、写真でもって表現するとか、なにかをスクープ、みたいな方向に向かいがちですが、こういう日常を記録する、そういう付き合い方を押し出してみるのもよいなって思ったんですね。実際、私とカメラの関係がそんな風だったりするもんな、なんて思わされたのですね。
- 『まんがタイムきららキャラット』第8巻第3号(2012年3月号)
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