『まんがタイムスペシャル』2012年3月号、発売されました。ああ、表紙はバレンタイン。あの衝撃の表紙からもう1年がたったんですね。今年の表紙はマキとリコのふたり。ふたりとも顔を赤くして、こちらを見つめるその目が色っぽい。リコが、なんだか素直な感じで可愛いですね。いや、しかし、威力のある表紙ですよ。口元隠してるマキと違って、リコは口元見えてるから、余計にぐっとひきつけられます。ああ、しかし可愛い子たちです。そして他に『趣味じゃない園芸』の新連載、『野菜畑でつかまえて』のコミックス発売中の告知カットがございます。
『趣味じゃない園芸』、連載になりました。扉はこも巻き? 本編にもちょっと関係する扉。春になり花開く稲生さんの冬の努力のお話。なんというか、いいお姉さんだなあ。ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』よろしく美しさを誇示する稲生さんですが、私にとってはオフシーズンこそ本番だなあ、みたいな印象です。さて、植物園の展示・催事についての話がメインなんですけど、元気はあるがおよそ実行できそうにないことばかりいってる稲生さん、対してネガティブ一直線の植村さん。うわ、困った、植村さんみたいな人、やたら好みだわ。しかし、押しの強い稲生さん。ぐいぐい場を動かしてる、そんな感じがあって、かきまわしてるだけかも知れませんけど! 面白かったです。
『トンネルの華子さん』は、いい感じに人間関係ができあがっていて、最初は、悩みごと抱えてる人が華子さんに助けられる、それを繰り返していくばかりなのかと思っていのに、ずいぶん雰囲気が違ってきたように思います。広海が華子さんを探している。そして絵理、その兄と、華子さんと知り合った人たちが顔を揃えて、いや、なかなかに華子さんの周辺はにぎやかです。しかし、こうして華子さんについて調べようという人が出てきたり、また昔の華子さんのことが語られたりと、ちょっとずつ華子さんに近付いていく、そうした感触、すごくいいと思います。それと、やっぱり人間関係。人と人が知り合う、繋がることで、新しい情報も出れば感想、感触も出てくるわけで、実にいい感じ。こうした感触残しつつ、広がって深まる、そんな展開見せたら最高だなって思います。
『どろんきゅー』、やっぱりこれいいなあ。ヒロイン果歩の記念写真。あれ、絵面がすごい。なにか写ってるどころじゃないっていうのがおかしくって、笑って笑ってと声かけるのがいるかと思えば、フレンドリーに近寄ってくるやつもいる。悪いやつらじゃないんだろうなあ。そう思うんだけど、見た目がおどろおどろしくかつ滑稽だから、もうおかしくてしかたないんですね。しかし、ナンパにしてもエレベーターにしても、出てくる霊がことごとくおどろおどろしい。可愛げなんて皆無で、けどそいつらが不思議と善良なもんだから、妙に愛らしい、やたらと面白いんですね。これ、果歩が本気で怖がってる、って、いや、そりゃ怖いよな。その怖がってる描写がしっかりしてるのもよいのだと思います。しかし、足ツボ幽霊はなんかいいなあ。健康増進しそう。実際に足つかまれたら、そんなこといってられないと思いますけど!
エッセー企画は「私のまわりのすごい友達」、って、ほんとにすごいな。っていうか、いきなり死ぬ時のこと考えんとなとかいいだす人もすごいと思うんですが、ええと、執筆者、師走冬子、松田円、下村トモヒロ、沼江蛙、おおた綾乃、渡辺志保梨であります。冒頭の死ぬ時云々は師走冬子の発言。そのいきなりの発言に、小学生の頃、骨つぼに憧れてたとかいう答が返ってくるというのが衝撃的です。しかし、面白い。なんというんだろう、そういう友達があるのは、その本人も同じくすごい人だから、そんな気がさせられるんですね。類は友を呼ぶとかじゃなくて、常識を軽く飛び越えていく、そんな人を敬遠するのではなく、友達として受け入れてしまう。そんな包容力。松田円のエピソードがそんな感じ。しかし、面白い。下村トモヒロの描くアシスタント氏。この人も面白いんだけど、あのコマの絵面がもうすでに面白い。で、沼江蛙の話。どういう感想持ったらいいのかわからない、そう思ってたら、漫画の扉でエッセー企画への誘導コメントがあって、なにかこれは自爆ネタとかそういうのなんだろうか。時間差でやたら面白かったです。そして、おおた綾乃の描く友達という関係、これはすごくいい話だと思う。そういうことってあると思う。友達ってそういうことだと思う。ほんと、気持ちのいい漫画でした。
- 『まんがタイムスペシャル』第21巻第3号(2012年3月号)
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