『まんがタイムスペシャル』2011年2月号、発売です。表紙は『恋愛ラボ』、百人一首をモチーフにしているのですが、取り札がエノ、サヨ、スズになっていて、しかし札に書かれた文言が微妙に残念な本音になってる。でも、その残念さこそが彼女らの持ち味である、そんな風にも思うのですね。読み札読みあげるマキ、札をとるのはリコ。リコがこちらがわに手を伸ばしている、動きのあるイラスト、いい絵です。
さて、今号から『ラブリー』移籍組の連載が始まります、ということで表紙にもその旨記載がありました。『放課後のピアニスト』、『だんつま』、『少女カフェ』がそうですね。新しい雑誌を舞台に連載開始、ということは初見の人も多いだろう。といったことからでしょうか、どれもキャラクターや状況を紹介する工夫がされていて、けれどそれでもこれまでに描いてきたこと、それをちゃんと引き継いで、既存の読者も自然に楽しめるようになってるのがすごいなと思ったのでした。
『少女カフェ』は、みお、つくしとお父さん、三人の家族状況説明しながら、双子のしっかりしているところ、ふたりの性格の違いを見せて、そしてお父さんのちょっとたよりないところもわかるようになってる。そして常連ふたり、葉月さん、宮嶋さん、ふたりもちゃんと紹介されている。宮嶋さんはほんと調子いいなあ。葉月さんは相変わらず、どこかちょっと詰めが甘いし、こういう人となり、それがよく見えて、とても面白かったです。
『シュガービーチ』って、ずっと夏じゃなかったのか。こないだまで、普通に水着で練習してて、今回はとたんに真冬。うわあ、寒い! 叙述トリックではないけれど、冒頭の一本、ボールが落ちた絵、あれが雪の積もった海岸って、次のコマに入るまで気付かなかったわけですよ。あれれ? ザクザクって? あ、マフラーしてるよ! これは軽くショックを受けましたよ。うまいなあ、やられました。って、冬に水着って無茶すぎだ。今回は部活の状況を導入に持ってきて、けれどメインは初詣って感じですね。どえらい金持ちなこちゃん、この人はオチにボケに、大活躍ですね。ちょっと無茶なネタなんかもふりつつ、みなとの地味な駄洒落が出てきたりもして、でもって私、こういうのが好きだったりするんです。最後の、部活バカの部長もいい感じ。楽しい回でありました。
『おすすめ!看板娘あんちょこ』、こちらもお正月風景。父と娘、家族の関係が、というか父の人となりが描かれて、面白いなあ。父の破魔矢のエピソードでうまくひっぱって、最後にちょっとがっかりさせながらも、ふたりのなれそめ語られるというね、いや、子は聞いてないんだけどさ、このあたりも面白かったです。杏の家族だけでなく、千代子の家族の様子も描かれて、いつもとはちょっと違った『あんちょこ』。けど、こういうのも面白かったです。
『放課後のピアニスト』、登場人物紹介、プロをめざすレミ、ソラ、シド、状況説明する中で、シドとレミのポジションが語られる。これが、なかなかにシビアな話、ソラの進路に関する迷いに繋げられるんですね。先生の調子よさ、これもいい感じ。結構真面目で重めの展開にもなりうるところを、うまくコメディとしています。しかし、この漫画において、ピアノ弾くために生まれてきたようなシド、ピアノが好きで好きでしかたのないレミ、他の選択肢なんてまったく考慮していないふたりに対し、進路に迷い、自分にとってピアノってなんなのか、思い続けているソラの存在はすごく大きいと思うんです。好きなことには違いないんだろうけれど、シド、レミを見ていると、自分には足りないものがあるのではないか。そうした迷いが、この漫画に少しの苦味を添えて、ソラともども、魅力を増さしめている、そう思うのです。
- 『まんがタイムスペシャル』第20巻第2号(2011年2月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿