2010年12月16日木曜日

ライアー×ライアー

 まったく知らない作者、もちろんタイトルだって知らなかったのだけど、書店にて一目惚れ。いたずらっぽく、口元に笑みを浮かべたお嬢さんの表紙に、なぜかひかれて足をとめてしまったのでした。『ライアー×ライアー』。帯には弟が私に恋をした。けれど、微妙に「嘘」が含まれているらしい。裏表紙を見れば、なるほど弟は弟だけど、義弟であるというわけか。なるほどね。つまりは、兄嫁さんか! 兄の妻が、ちょいと女子高生に扮してみたら、義弟くんに惚れられちゃったか! これは、これはいかすな! 買ったのでした。ええ、まさしく表紙買いというやつであります。

ええっと、どうも勘違いしてたみたいです。義弟って、夫の弟ではなくて、親の再婚でもって姉弟になった、ええ、連れ子同士だったってわけですね。でもって、この姉ちゃんが可愛いの。高槻湊、はたち、潔癖症。弟とはあんまり仲がよくなくってさ、で、この湊さんが友達ん家で高校時代の制服を借りちゃって、変身しちゃって、いやもうどえらく可愛くて、そしたら渋谷で弟と出会ってしまった。やばい!? と思ったら、なんと弟くん、一目惚れ? これは、なんかいいぞ。すごくいかさないか?

なにがいいか。いえね、この弟くんの好意ですよ。姉に似た女の子だったから好きになったの? いや、それとも姉と知りながらとぼけてアプローチしてるの? いずれにしても、君、お姉ちゃんのこと大好きだよね? わくわくしないではおられない状況出現ですよ。しかも、この男の一途さ、軽くひいてしまうほど。女関係にだらしなく、しかもその上執着もなかった弟くんが、姉ちゃん演じる女子高生野口みなに対しては、もう必死。なんでそこまで!? っていうほどで、やっぱりひいてしまう。今関係してる女と別れて、といわれたら、ぼろぼろになりながら、ひとりひとり別れてくる。合コンいってる、そんなの嫌だからすぐ帰って! ほいほい帰っちゃうの。いや、もうほんと、あまりに真っ直ぐな思いに、きゅんきゅんしちゃったよ。いや、もうほんと。なんで、そんなにお姉ちゃんのこと好きなのさ! ええ、もう、きゅんきゅんきちゃいますね。

これは私が思っているだけのことだけど、きっと弟くんは、はじめてお姉ちゃんと会ったあの時から、ずっと好きだったんだろうね。けれど、お姉ちゃんのこと好きっていえない、お姉ちゃんは自分を弟としてしか見てくれない、そういう絶望があの奔放な、あるいは自暴自棄な女性遍歴にいたらせたんだろうね。そんな彼が、お姉ちゃんに瓜二つの女の子と出会って、ああ、この人こそおれの探していた理想の人だ、好きだ、愛してる! ってなっちゃって、いや、ほんと、君、どんだけお姉ちゃんのこと好きなんだ。で、お姉ちゃんもお姉ちゃんで、一回ついてしまった嘘、いまさら嘘でしたっていえなくなっちゃってて、それで流されるままにおつきあいしちゃったりして、で、それがすごく楽しそうで、後になって、どうしよう、どうやってなかったことにしようって思い悩んで、もうめちゃくちゃ可愛い。弟にしてもさ、この野口みながはじめての本気の恋で、百戦錬磨に見えてすごく純情で、湊は湊で自分はもてないって思っちゃってるから、当然これがはじめてのおつきあいでさ、初々しいんだか、不実なんだか、もう読んでて身悶えしてしまいます。

湊も弟くんのこと、好きなんだろうな。好きになってきちゃってるんだろうな。そう思わせるところがあって、けれど弟とそんな関係にはなりたくないって思いが強い。弟への気持ちを認めまいとするからか、弟以外の気になる男子、心揺らしちゃったりして、しかもこれはつきあっちゃったりなんかする? どう見ても恋愛についてはうとい湊の、あやうい恋愛状況、それが実に面白いのでありますよ。

しかし、この漫画、最後には逆『みゆき』的解決をするのかなあ。そうなるような気がするんだ。でも、そうなのだとしても、もちろん違ったとしても、決着までの紆余曲折、相当に楽しませてくれるだろうこと間違いなさそう。でもさ、もし野口みなに対する弟くんの恋が成就しないラストだったりしたら、ものすごく切ない、それこそ涙なみだの物語になっちゃったりするのかも。ええ、いずれにしても期待のつのる漫画であること、間違いないです。

引用

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