2010年12月5日日曜日

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号

『まんがタイムジャンボ』2011年1月号、昨日の続きです。

『輝け☆星の川高校自由形』、3回ゲストの3回目です。水泳部の話。プールサイドに集まって、全然泳いでない部員たち。そうした状況に対し怒る翼ですけれど、そういう態度にやんわりと注意する姉双葉。ああ、いいお姉さんですね。当の部員たちは全然そんなこと思っちゃいなかったっていうのですが、姉の言葉には説得力があって、責めるでもなく、けれどしっかりと翼に届いて、これまでの態度をあらためさせた。いい流れだったと思います。って、その後がまたおかしいのですけどね。乙女の鼻血、いやあの献身的な言葉にはぐっときました。いい子じゃないか。でも、腰洗い槽で3回、って、あれでどうやったら溺れられるんだ! 実にナンセンスであるのです。けれど、そうした中に見せどころが作られている。おのずと話にめりはりができて、面白かったのですね。

クリスマス特別企画「男女逆転!?とりかえばや4コマ」だそうですよ。『レーカン』、『中2限定!?ガールズトーク』、『でり研』、『はなな大増刷!!』、『太陽くんの受難』、『おねがい朝倉さん』、『秘書メロ♪』、『あおいちゃんとヤマトくん』。それぞれの登場人物の男女が逆転しましたという、セルフパロディですね。しかし面白い。『レーカン』はヒロイン天海の性別を転換させた上で、ちゃんと井上で落ちをつけている。意外や、いつもどおりであるのですね。この他の漫画にしても、性別のひっくりかえされたメインキャラたちが、性別変わってなおいつもどおりであったり、あるいは変わったからこそのネタであったり、工夫されてて面白かったです。しかし、どれについても思ったのですが、キャラクターの個性というものがしっかりとできているからでしょうか、仮に男女逆で話を作っていったとしても、どれもきっちり成立しそうと感じさせるんですね。しかし、男の子が女子化することで、えらく可愛くなるものだな、そういったところが気になって、『はなな』オタ子ちゃんとか、『太陽くん』前田陽子とか、かなりいかしていると思います。ああ、道理で男の娘というのがはやるわけだ、なんてとっちらかった感想なども持ったのでした。

『ボクん家の隣の芝生が甘い理由』、ゲストです。勝手な姉、楓、雅、聖にふりまわされる弟浩四朗。強い女性に囲まれて頭のあがらない彼にとって、幼なじみ、隣に住んでいるかのこが癒しであるらしい。なるほど隣の芝生が甘いとはこういうことなのですね。美人の姉3人にかわいい幼なじみ、友人たちからは羨ましがられる。けれど当人としては、ちっともいいもんじゃないよって。いえね、幼なじみにしても、なんでか弁当のおかずがお菓子のような味付けで、なるほど甘いとはこういう意味でもあるのか。女性たちに手を焼いて、困りながらも、それでも嫌ったりなんてありえない。そういったところ、よく飼い馴らされた弟であります。

『9時5時モンスター』、ゲストです。魔物の働く会社に間違って入社してしまった佐倉尚。同僚は雪女と狼人間。社長は鬼、そしてもうひとり謎の社員がいる模様。魔物の会社ということは秘密らしいのだけれど、その秘密を守ってくれるなら新人が人間でも気にしないという、わりとフランクな会社です。魔物やら妖怪やら、そうした人間以外のコミュニティに人間が入り込んでいくというのは、わりと見かけるものでありますね。こういうのは、人間でない登場人物の描写、それがどれだけしっくりくるか、不自然に、ぎこちなくならないか、というのが肝と思うのですが、若干まだうまくまわってない、そんな気がして、けれど4人目の社員が謎であるところから見ても、まだもう少し続くということでしょう。そこでどういう風に展開して、まとめられていくか、それを見守りたいと思います。

『ハニーバニー』、ゲストです。主人公の彼女、桐生コトミは超がつく程の無口。そして無口なだけでなく、結構辛辣。手をつなごうとしてもぴしゃりとはねつけられる。手にしている本のタイトルで、また表情の変化でもって、彼氏を厳しくコントロールしてる。とまあ、こんなにも手強い彼女なのだけれど、好きは好きであるのだな、そうした大事なことは言葉でもってちゃんと伝えて、けどやっぱり態度は厳しくて、このアンバランスさが売りなのでしょう。ツンデレの一種といっていいものか、そういったものに思えます。

『あまぞねす?』、のっけから面白いです。姉の会社で、お手伝いという域を超えてバリバリ仕事している楓。彼女の普段の様子が描かれるのですが、その冒頭にて今まで心のどこかで疑ってる自分がいたんだよねあんな小学生いないだろ。これまで、これは漫画ということで納得させられてきたスーパー小学生の存在が、非常に一般的な常識でもって覆ろうとする、そのひっくり返し、混ぜっ返しが面白かったんですね。本編の、楓追跡から小学生の日常に迫るところ、楓とその友達のスケジュールとかですね、似てるところがあればちょっと違うところがあるとかね、あれはよかったですよ。そして、会社の皆が楓の小学生としての生活について心配しているっていうのがね、よかったのでした。仕事においては部下であり、あるいは先輩である楓だけど、皆、姉として、姉のように、気持ちを注いでいるというのがわかるという、それがすごくよかったのですね

  • 『まんがタイムジャンボ』第17巻第1号(2011年1月号)

引用

  • 早野りんた「あまぞねす?」,『まんがタイムジャンボ』第17巻第1号(2011年1月号),173頁。

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