2010年1月31日日曜日

ろりーた絶対王政

 ふと今朝、手にした『ろりーた絶対王政』。以前、『まんがタイムきららフォワード』に連載されていた漫画であります。主人公鷹彦の家に住むこととなった双子の姉妹、るるとりり。しかし、あまりにも似ていないふたり。妹があまりにも幼なすぎて、これはなにか秘密があるのではないかと、周囲の人たちならずとも思ってしまうのは作者からしたらしてやったりというところでしょう。そして実際、るるとりりは秘密を抱えていたのでした。その秘密を知り、関わっていく中で鷹彦は妹のりりにひかれていくのですが、このふたりの関係がとにもかくにもよくて、それは真摯でストイックなラブストーリー。ほのぼのとして、時に胸を打つ、そんな展開も見せて、そしてあのラストにいきつくところなど、実によかったのでした。

妹りりの秘密、それは端的にいえば、小学生だっていうことでした。高校生の姉、るると双子であると嘘をついて高校に通うりりは、高校の授業についていくばかりか、トップクラスの成績を記録して、しかしそれはなにもただ天才だからというような話ではなくて、影には相当の努力があってという健気な話なのです。そこまでして、無理をして、るると一緒にいようとするりりの心情。そのためにはらわれる労力。それらを身近に見て、接して、感じて、鷹彦はりりに心を寄せるようになるのですが、実際、無茶無理無謀と思えることを必死でなそうとしている女の子を見て心を揺らさないなんてことがあるでしょうか。いや、あるはずがない。しかもそれがあんなに可愛い女の子であるのですから、なおさらでしょうよ!

鷹彦が、りりの秘密を知りながらもひかれていく。鷹彦の気持ちが確かめられるような機会は何度かあったのだけれど、鷹彦は常に真摯であって、そして一線をわきまえるべく心を砕いている、その態度に好感を持ってしまったというのも、この漫画を好きになった理由のひとつであるかも知れません。小学生らしいというべきか、あるいは小学生にしてもそれはあんまりというべきか、無防備なりりに心を乱されっぱなしの鷹彦。女の子が苦手で、ずっと警戒意識いっぱいであったがために、女の子の気持ちがわからない。それで付け焼刃的に学習して、なんとかしてりりを喜ばそうと頑張るんだけど、そうしたら今度はりりが誤解して、鷹彦に嫌われた? なんて思っちゃう。このジレンマ。はたから見てる分には、危機的というよりもむしろ微笑ましさばかりが目立ってしまうのですが、この微笑ましく見守っていられる年の差カップルもの。高校生男子と小学生女子という、一種ぎりぎりの関係が、いじらしくてしかたがなかったのでした。

これはひとつの美しい夢なんだ。そんな気がします。男からの夢というよりも、少女からの夢といったほうがよりらしいかな。同年代の子供っぽい男子じゃなくて、年上の男の人に憧れる。けれどその男の人も恋愛には慣れてなくて、だからちょっと主導的に振舞えちゃう。そしてここが重要なんですけど、恋愛の対象として見てくれるけれど、性的対象として欲望をぶつけられるという心配がないというところ。アンファン・テリブルな女の子の、安全の確保されている恋愛的冒険ですよ。このアンバランスともいえる状況が成立するには、鷹彦という朴念仁が必要だった。恋愛そして女の子に不慣れであるために、子供っぽさ残すりりとも対等な位置にまで降りてきてくれる。りりに翻弄され、戸惑いを見せながらも、りりという恋人のいることを素朴に喜んでくれる。そしてなにより、りりを大切にしてくれている。そうした鷹彦とりりの初々しい恋愛の状況が、読んでいて罪のないものと思われて、すごくよかった。恋愛の、一番甘い部分をすくいとったような漫画でありました。

そういえば、りりの父親ですけど、りりに好きな人がいるって聞いて、最初はものすごく反対していたのに、なんだか最後には認めてくれている? そんな変化があったように感じられたのですけど、これって鷹彦を実際に見て、知って、ああこいつならいいや、ってなったのかな。真面目な少年。鷹彦の信頼性の高さは、この漫画においては実に大きな要素であったのかも知れません。

  • 三嶋くるみ『ろりーた絶対王政』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 三嶋くるみ『ろりーた絶対王政』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 三嶋くるみ『ろりーた絶対王政』第3巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。

2010年1月30日土曜日

ぽすから

 『ぽすから』を読んでいると、なんだか昔が思い出されます。『ぽすから』は、美術系大学を受験しようという人たちが予備校で学んでいる、その様子が描かれた漫画。なんだかね、懐かしい感じがしてくるのですよ。まだ海のものとも山のものともつかない、自分の可能性を夢見ながら、不安とともに明日に向かおうという時期の少年少女たち。ああ、こうした節目は人生には何度もあって、思い返せば私にもあったんだろうなって。大学の実施するスクーリングに参加して、そこで知り合った人たちと、大学で一緒に学べるといいねなんていいあって、再会できた人もあれば、それっきりの人もあって、そうした思い出、なんだかありありとまぶたに浮かびます。

昔を思い出してしまう — 、それは、『ぽすから』に受験生時代の雰囲気が感じられるからでしょうか。受験というのは不安込みのいやなものではあるけれど、仲間と一緒に同じ困難に立ち向かう。そうしたイベントがみんなの気持ちをまとめてくれる? いや、けれど『ぽすから』は受験を強く意識させるような漫画ではありません。むしろボーイ・ミーツ・ガールといいたい、そんな雰囲気のある漫画です。

主人公千谷白樹、ヒロイン門見茜。素朴なふたり。なんだかね、一目惚れ的にとでもいったらいいのかなあ、自然とひかれるところがあって、なんだか自然と気になって、それでお互いに好きなんだけれど、それでも付き合うとかまでいかないっていう関係がくすぐったくって、不器用なんでしょうかね。なんだかいいなって思います。それで、自分にも、こんな感じに気になっていた人もいたっけかなあ、こんな風に私のこと思ってくれる人があったらよかったろうになあと、そんなことまで思い出したりしたんです。

誰しもあるのか、それはわかりません。けれど、受験、恋愛、気になるあの子、少年期思春期青年期の心情がよくあらわされていて、なんだかすごく心にひっかかってくるものがあるのです。こんな時代が自分にもあった、あっただろうか、あったらよかった。愛おしさとともに眺めてしまう、そんな風景がきらきらと輝いています。その時、あの場にいた頃にはわからなかった。青春という、うっとうしくって、けれど瑞々しさにあふれている季節の色が、鮮かに躍動して描かれている。ああ、好きだなって思う。ああ、これって年とった証拠なのかな? などと思いながら、彼彼女らの青春に胸ぐるしさ感じるほどであるのです。

蛇足

茜が好きだ! じゃなくって、名前のつけかた、うまいですね。美術ものだから色に由来している。白樹は白、茜は赤。ってレベルを超えて、姓にも注目ですよ。千谷白樹、チタニウムホワイト。門見茜、カドミウムレッド。茜の姉、萠は萌黄色、そしてカドミウムイエロー? あとは、群上晴、群青とスカイブルー? 滝美鳥、ターコイズグリーン。根津利久、利休鼠。村崎ゆかり、紫。と、なかなかに凝って、けれど割と無理のない、そんなところがいいですね。

  • 中村哲也『ぽすから』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2010年。
  • 以下続刊

2010年1月29日金曜日

シュガーコートフリークス

 Littlewitchの新作、『シュガーコートフリークス』が発売されましたよ。これだけを見ればめでたいこと、喜ばしいことであるのですが、このリリースをもってLittlewitchはブランドを休止するとのこと。だから、ちょっと心中複雑なのですね。Littlewitch、好きなブランドでした。思い返せば、Quartett!が発端でした。絵を見て、『北へ。』の人だ! って思って、それからはWindowsマシンを確保するべく、いろいろ段取りして、そしてWindowsノートごと買ったっていうんだから、今思えば、ずいぶん思い切ったものだなあ。

『Quartett!』買って、しばらくしてから『リトルウィッチファンディスク — ちいさな魔女の贈りもの』に手を出して、そうしたら収録されていたミニゲーム「魔女っ娘クライシス2006」が面白かったものだから、その勢いで『白詰草話』を購入。その後はもう、雪崩のごとくでした。『少女魔法学リトルウィッチロマネスク』を購入、『ロンド・リーフレット』を購入、『ピリオド』を購入、『リトルウィッチロマネスク』のプレイ開始してないのに『少女魔法学リトルウィッチロマネスク editio perfecta』が出た! 購入、『ピリオド sweet drops』購入、『聖剣のフェアリース』購入。で、『シュガーコートフリークス』。まだ『聖剣』クリアしてないのに、『シュガーコートフリークス』購入。実に私らしい状況が発生しています。

ゲームをクリアできなくなったのは、そのための時間を充分にとれなくなってしまったということも大きいのですが、キャラクターに声がついたのも原因であったりします。昔の、声がつく前のゲームでは、メッセージの表示速度を最高にして、びゅんびゅん飛ばすようにして進めていたから、そりゃクリアもはやかったわけですよ。ところが、声がつくようになると、ちゃんと聴かないといけなくなります。いや、飛ばしちゃえばいいんですけど、でも好きなブランドのゲームこそちゃんと聴こうという気になるから、とりわけLittlewitchもののクリアが遅れるようになってしまって、現在攻略途中のゲームは3本。『ロンド』と『ロマネスクep』、『聖剣』。もうクリアする気ないだろっていわれそうですが、思い出したようにプレイしたくなることがあるんです。間欠的にプレイして、『ロマネスクep』はラストまで辿りついてるんだけど、まだ全員クリアしてない。『ロンド』と『聖剣』は途中で中断してる。『ピリオド』はまだ開封してない。

だから、ゆっくりブランド再開まで待てるというものです。これからどういう風に展開していかれるのか、それはわかりませんが、復活なのか新生なのか、いつか帰ってこられる日を楽しみに、ゲームを少しずつ進めながら待ちたいと思います。

ところでさ、『シュガーコートフリークス』、一番好みのキャラクターはフィオなんですが、なんで攻略対象じゃないのん!? ああう、ショックだ。ゲームといわず、現実といわず、私の好きになる人は、攻略対象外と決まっているみたいです。

2010年1月28日木曜日

『まんがタイムきららキャラット』2010年3月号

Appleの新端末が発表されましたね。って、なんで『まんがタイムきららキャラット』2010年3月号のこと書こうという記事の冒頭でAppleの端末? 名前ですよ、名前。iPad。そう、『とらぶるクリック!!』にて風紀委員のお嬢さんがお使いの端末がiPad。門瀬粗はAppleの新端末を『とらぶるクリック!!』中で予言してたんだよ! てのはいいとして、期待の端末です。これ、雑誌や単行本が電子出版されるようになったらいいなって思って、Amazon Kindleなどとともに期待しているのであります。これからいよいよ電子書籍時代が本格的にはじまる、そういう予感にわくわくしながら、はたしてどの端末が勝利をおさめるというのでしょう。鍵は、四コマ誌の出版に漕ぎ着けられるかどうかにある! などと思っている次第です。

ひだまりスケッチ』は、皆でお買いもの。女の子らしい服を宮ちゃんに、という趣旨ですが、いや実際この人は美人さんだ。で、袖ナシTシャツ、羽織りもの、チャック、ちょうちん袖、別にいいじゃないか。最近も誰かがいってたけど、とっくりがタートルネック、スパッツがレギンス、オーバーオールがサロペット、名前が変わって、そうなると古い名前使うと駄目みたいになるって変だよな、って、いやまさしくそのとおりだと思います。ブロントサウルスがアパトサウルスになったりするのはしかたないと思うけど、呼び方が違うだけで同じものなら、別にそれでいいと思う。ちょうちん袖っていってるお嬢さんとか可愛いよ。いや、実際宮ちゃんは可愛いのであります。

今回はちょっとしたイメージチェンジを楽しめる、そんな回で、いつもとちょっと違う、そんな表情、雰囲気は思いがけない魅力をはっと感じさせてくれるようで、すごく新鮮、素敵です。でもさ、試着する時の宮ちゃんはよかった。ちゃんと買えるか、その可能性のあることを確認するというの、あけすけだけど誠実です。いい娘さんだなって思いましたよ。

ねこみみぴんぐす』、動き出しましたね。前回からの続き。花の気持ちがはっきりとした。彼女が怖れていたこと、それはなんだったのだろうかって。警戒していた蜂谷先生に対する態度もやわらいで、しかし相手の懸命さ、その気持ちに気付いて、自分の考えをあらためられる花はいい子だと思う。そして、一歩を踏み出した。ああ、なんかいいなって思ったですよ。子供の頃を思い出してのモノローグ、しみました。大切な友達だから、その関係の変わってしまうかも知れない可能性が怖かった。花の不安は、いつも一緒にいるうさたん、ああしたところにもあらわれているのかも知れませんね。今回、こうして不安を乗り越えた花、そしてひよりも、ふたりはどんな風に変化していくのだろう、これからどうなっていくんだろう、すごく楽しみになる、そんな瞬間がありました。

『お世話します!』、ゲストです。大家一三のもとにやってきた、子供? なんかわからんのだけど、朝起きたらいた。ご飯用意してくれた。けど、誰? わからんままにスタートして、受け入れてるわけじゃないんだけど、なんとなく許容している風にも見える。なんだか不思議な感じだな。押し掛け型同居ものかと思ったんだけど、押し掛けイベントは発生しているのに誰何がなされない。自分の中で、誰なんだろうって思ってるだけ。すごく変な感じのまま状況が流れていって、最後の最後に、ああ、そういうこと! って判明させられる。この最後まで引っぱる見せ方はちょっとよかったです。押し掛け世話ものも、人違いっていうのも、典型的といえばそうなんだけど、状況の説明を保留し続けることで、なんか変な緊張感を生み出していました。これって異世界からうんぬんとか、魔法使いとか天使と悪魔とか死神とかどうこう、いろいろ考えてもやもやしてたのがすっと晴れる。その感触、面白かったです。けど、二回はできないから、次回あるなら、キャラクター性押し出してくるのかな。どうなるんだろう。ちょっと面白い見せ方してくれるならって、期待しちゃいますね。

うらバン!』、土曜日も練習です。うん、吹奏楽部って土日ないよね。そしてお弁当と間違えて姉様の書道道具持ってきた萌葱、いいねえ。さて、セクション練習。けど、この人数だったら、セクション練習する意味ってあんまりないような……。だって、金管3人、木管ひとり、パーカッションひとりだもんなあ、人数少ないことは最初から折り込みずみだからいいとして、譜面の書き込みでもめたり、演奏の駄目出しでもめたり、こういうわいわいとしたところなんか活気があっていいですね。でも、どんどん主人公が目立たなく……。今回は、というか今回も酷い目にあってる先生ですが、あの衝撃のコマ、笑わずにはおられませんでした。そして合奏。音楽が立ちのぼっていく、そうした様子が感じられる表現には、なにか胸が熱くなるような思いがします。

『アクアリウム』、よかった。いや、漫画で学ぶアクアリウム入門って雰囲気だったからじゃありません。この漫画は、登場人物がわりと多くて、その登場人物がまちまちに動いているような印象があって、ちょっと追いにくいなんて思っていたのですが、今回、そのまちまちだったものが縒り合わされるように関わりあっていく様子が見えて、それがよかったのでした。ヒロインのゆうと、なんだか人付き合いの苦手そうなさおり。ふたりがアクアリウムをきっかけとして近付いていく。ゆうの興味津々な様、さおりの素直になれない様、対照的で、けれどこれ、もっと打ち解けていくのかなって思うと楽しくなってくる。面白くなりそうだな。そんな気持ち。いい感じです。

『Girls f/2.8』、先月に引き続いてゲストです。一眼レフ使ってるしおん。めちゃくちゃマイペース。なんか写真やってる人って、マイペースな人が多いような気がします。さっきまで一緒に歩いていたのに、雲待ちとか晴れ待ちでカメラかまえたまま固まって放っておかれたり。逆に放っていってしまったり。普通普通。で、新しいカメラ持つと気持ちが浮きたって、いつも以上に写真撮ったるするのも普通。うん、新しいカメラ、欲しいな。

今回は写真部もの、カメラものというよりも、キャラクターの紹介に注力されていた、そんな感じが濃厚でした。私としてはもうちょっとカメラ、写真ものの色が出るといいなって思ったりするのですが、けどこの意見は自分でも写真撮るような人間の意見でしょうね。漫画で読む写真入門みたいになる必要はないんです。部員たちが楽しそうにやっている様子、それもまた楽しみのうちであります。

『3イコール1』、ゲストです。これもちょっと情報を出し惜しむ感じで引っぱってくれて、3人っていうのは友人? 同居してる? 寮かなにか? ルームシェア? などと思わせてくれる、結構好きな感じの出だしです。帰り道、食べ物を買って帰る。最初にひとつといって、すぐにみっつと訂正する。自分が食べたいと思った、その気持ちをほかのふたりと分け合いたいんだなってわかって、で三人目でその流れがストップさせられる。おおう、三人目も同じ流れでいくのだと思ったよ。で、この三人というのは姉妹でありまして、一緒においしいもの食べようよ。我慢してるみたいだけど、痩せ我慢はよくないよ、ほら、おいしいよ、ってな感じに誘惑するのはいいなって思いました。で、間食したから夕食で調整しようとして失敗する。その失敗の理由が、最初の流れから繋がってくるのがいい。ああ、いい家族じゃんと思うのでした。食べ物メインでいくなら、それは結構いいテーマかななどと思います。

ラジオでGO!』、おお成立した。ふたりの思惑、そう書こうと思ったら、まんま「二人の思惑」というサブタイトルがつけられていてちょっとびっくりしたんですが、藤田さんと沙絵さんの気持ち、ちょっとずつ違っているところ、こういうの知れるっていうのは、まさしく読者の特権ですね。終わりを意識している、背水の陣といった心持ちの人あれば、最初を意識している、これからを思っている人あって、この違い。面白い。で、クライマックス、ああ、本当にクライマックスだよ。ページを繰った瞬間、あ! と思った。きた、はじまった、そう思って、意識がぴりっとして、読んで、ああ、いいねと、藤田さんよかったじゃんと思って、いや、本当によかったです。このふたりの関係は、これまでにもちょこちょこと匂わされてきて、一波乱感じさせたりもしましたが、それでもこの決着を唐突と感じさせない、それだけの積み重ねがありました。よかったと、そう思わせるだけの準備が整ってたんですね。しかし、ミキサー、技術者、かっこいいなあ。藤田さん、かっこいいですよ。

  • 『まんがタイムきららキャラット』第6巻第3号(2010年3月号)

2010年1月27日水曜日

『まんがタイムオリジナル』2010年3月号

『まんがタイムオリジナル』2010年3月号、出ています。節分表紙ですね。恵方巻き食べる山下。堂々の食べっぷりですが、あの口の大きさ、ひと口でいけそうな気もするな……。脇には赤鬼師長に豆の入った升をとられた正装榊があって、らいかにやられたか、赤鬼竹田がいて、そして金棒をバットのごとく構えたカナさんが。それと告知。『ハルコの晴れの日』、星里もちるの新連載だそうです。

『球場のシンデレラ』、小坂俊史の新作です。女子プロ野球ものなんですが、この人らしいというべきでしょうか、その新球団東京メルヘンズが実にろくでもない。球団がろくでもなければ、当然メンバーもろくでもない。まともなチームにはならんだろうなといった感じがプンプンとします。女子野球ものといったら『メイプル戦記』とか『赤毛のサウスポー』とか思い出してしまうわけですが、きっとあんな風にはならんだろうなって感じ。けどこれはこれできっと面白そうだなって思います。

『ふたりぽっぽ』、今回はお母さん回であります。しかし、くるりの母まるりも、こばとの母和も、どちらもいいなあ。見た目は和さんがいいけど、キャラクターとしてはまるりさんかもなって思って、ほんで、豆ぞー。いかすな、この猫。

『ハルコの晴れの日』、新作連載です。で、読んでみて思ったんだけど、これは最後にはのみくい処ムジナの大将と結ばれるんだろうなって感じがしてきて、しかし気があるっぽいと思わせて違うのか? もし大将が晴子のこと好きなんだったら、好いた女がろくでもない男にひっかかっている様子を見続けるってのはどんな気分なんだろう。どう考えても不健全、あるいは高度なプレイなのか? なんて思ったりしたのでした。いや、そういう趣味の人も多いっていいますから。けど、そういう趣旨の漫画ではないでしょうから、なんともいえんところです。星里もちるは、昔、学校の先輩に借りた漫画が面白くて、だからちょっと期待したいところです。

そこぬけRPG』はバレンタイン回であるのですが、それ以上に寅屋ですよ寅屋。なんと進展! おおう、なんて可愛い藤崎さんであることか。私にもプリントして欲しいくらいです。といったわけで、ヒトミさんの明日はどっちだろう。

『明日もひまわり荘!』、いい感じにこなれてきたと思えます。面白い。節分回というよりも、冬の日常といった風であるのですが、キャラクターの個性、ヒロインのちゃっかりであるとか、誠さんの親切? なところとか、いや、あれは熟女好きだったんだっけっか、うまくまわってきてるなって思えて、すごく面白かったです。

『恋は地獄車』。相変わらずだけど、面白いなあ。ヒロインが重い。ちょっと怖くなるほど。でも、こういう人、いるもんなあ。何人も見てきたよ、端から。しかしこの、現実に存在し得る恐怖というものをコミカルに誇張して見せて、しかし怖いながらも仕合せそうにまとまるところなど、なんかちょっといいなあ、なんて思ってしまいます。ところで、タカハシ君。彼も相変わらずいいな。猫と一緒に写真撮って送るとか、行為だけ見たら恐怖だけど、その気持ちはちょっと可愛い。ちょっと気にいってしまっています。

『(仮)アイドル!』。まさか…ロリコン!? だなんて、精神医学では『ロリコン』ではなく『ペドフィリア』(小児性愛)というんです! しかし、このアイドルの兄さんになりたいものがあったというの、ちょっとよかったなって思って、それを悪用する社長の酷さ。これもなかなか。面白かったです。

『マチルダ! — 異文化交流記』。マチルダというと、これまではなんだか酷い人という印象だったけど、今回はちょっといい奴だぞ。変わらず無茶なキャラクターではあるのだけど、ただ無茶ってだけではない、そんな風になっていくといいなって思ってきた、そうした動きが見えてきました。なんて感じたものですから、すごくよかったです。

『今日から寺バイト』、京都ですよ、京都。西本願寺? いや、本願寺なら京都駅からすぐだから、迷いやしないよなあ。しかし、夫婦仲もぐっと深まるじゃろって、勘弁してください。以前から、奥さんが可愛い可愛いといい続けてましたけど、そこにこんな台詞がくれば、あらぬこと思ってしまうじゃないですか。しかし、今回はちょっとあっさり目でした。来月は京都旅行の本編であるそうですが、これはちょいと楽しみです。京都のどこらへんにスポットがあたるんだろう。楽しみであります。

  • 『まんがタイムオリジナル』第29巻第3号(2010年3月号)

引用

2010年1月26日火曜日

『月刊アフタヌーン』2010年3月号

 『月刊アフタヌーン』2010年3月号、発売しています。で、発売はいいのですが、今回は『百舌谷さん逆上する』がお休みで、だから買おうかどうしようかちょっと迷ったりもしたのですが、けれど『百舌谷さん』しか読んでないってわけでもない。他にも読んでる漫画はあるのですから、ここは買っておこうと思ったのですね。『アフタヌーン』購入も習慣化しておるという話であります。

『ヴィンランド・サガ』は、しばらく続いたトルフィンのエピソードが一段落して、今回からはクヌートの周辺を描こうというようですね。しかし、これ、ショック。あの美しかったクヌート陛下が、なんかおっさんになってるよ。しかも髭生えてるよ。沈着冷静、理性的なクヌートに、情念で動いているトルケルの対比面白く、これからどうなるんだろう、ちょっと楽しみです。トルフィンが合流するようなことがあるのかどうなのか。そのあたりも気になります。

『BUTTER!!!』、先月はじまった社交ダンスの漫画ですが、なかなかに面白そうです。ヒップホップダンスやりたくてダンス部に入ったら、社交ダンス部だったというヒロインに、悪友というか敵にはめられて社交ダンス部に入ることになってしまったうざい男、このふたりがメインみたいなんですが、全身を使って踊るということの楽しさというのが見えてきているヒロインに対して、全然そんなことのないうざい少年。しかし、彼はきっと変わっていくんだろうなって思えて、ヒロインにぐいぐい引っぱられることで変わるのかな、いいように変わってくれればそれはちょっとよさそうだぞと思うのでありました。今はまだ序盤。けれど小さな波乱の種は撒かれているから、次号、どんな芽を出すのか、それが楽しみです。

『もえタイ』。ボクシングの漫画なんですが、読み切りかと思ったら、以前に連載? されていた漫画の続編、というか後日譚みたいですね。けど、その前提となるストーリーを知らなくとも充分に読める、楽しめる、そんなつくりになっていて、面白く読めました。兄貴に厳しい妹が、同い年の女の子に刺激されて、ボクシングで張り合うという話なんですが、なにがいいかっていうと、意地の張り合いみたいなところもあれば、兄貴を馬鹿にされて悔しいみたいな思いもあって、この入り組んだ感情のぶつかり。面白い。この読み切りは今度出る単行本の販促という意図からの掲載なんでしょうけど、興味持たせるだけの力は充分に発揮してるななんて思える出来。見事でした。

2010年1月25日月曜日

Visit to a shrine on New Year's Day, taken with GR DIGITAL

KotobukiGR Blog恒例のトラックバック企画、2010年最初のテーマは年賀です。年賀。けれど、私は正月元日といえど平時とまったく変わらない生活しているもので、あんまり年賀、新年の気分を表すような写真は撮ってないんですね。でも、まったく正月がなかったわけでもありません。家のすぐそばに神社があるので、年が明けようというタイミングで初詣にいって、そしてその暗い神社、そのままではちゃんと撮れないだろうって思ったから、モノクロにして、ISO上げて、マイナス補正をして、フリーハンドで撮ってきた写真がありました。今回はこれで、トラックバック企画 年賀 に参加にしようと思います。

神社といっても小さな神社。けれど、それでもそれなりに人は集まってきて、主にはこの町内の人たちでしょう。去年の福笹持ってきて、お参りして、お酒いただいて、福笹お返しして、新しいのいただいて、福引して帰るのですね。私の住んでいるところは竹が名産だからか、お酒は竹の筒に入っていて、また竹で作った猪口でいただくんですね。

さっきもいいましたが、神社は暗く、白熱灯の灯りがたより。とうてい手ぶれなしで撮れるような環境ではありません。けれど、こうした手ぶれ、被写体ぶれの写真でもいいかな、なんて思うのはお酒が入るからだけではないと思います。どこかゆったりとしてる、そんな昔ながらの新年の風景です。

Visit to a shrine on New Year's Day

Visit to a shrine on New Year's Day

Visit to a shrine on New Year's Day

Visit to a shrine on New Year's Day

2010年1月24日日曜日

Lの季節ダブルポケット

 以前から買おうかどうか迷っていた『Lの季節ダブルポケット』。ついに購入しました。迷っていたというのはほかでもない、遊べる環境がないから、なのですが、もうひとつ理由はあって、それはあんまりに頻繁に出されても嫌だなあ、というもの。『Lの季節』はかなり息の長いタイトルで、オリジナルの『Lの季節 -A piece of memories-』のリリースは1999年。もう十年も前のことです。それが一昨年続編が出まして『Lの季節2 -invisible memories-』、もちろん買って遊んだのですが、それから一年でPSPに移植ときましたよ。いや、いいんですよ、多様に展開してくださっても。けどさ、正直な話、それについていくべきだろうかって疑問に思うところがあったんです。

私にとって『Lの季節』は大切な思い出のゲームなんです。商用インターネットの黎明期とでもいったらいいのかな。まだパソコン通信があって、そしてインターネットが成長しようとしている、そんな時期に、ちょっとずつ攻略して、そしていろいろ思ったところをサイトに公開していったりなどしたのでした。それがきっかけで知り合いも増えたりしましたっけ。懐かしい。本当に懐かしい、そんな思いにひたれるゲームなんです。

だから、こうやってちょこっとずつ後付けで設定付け加えながら続編がリリースされるっていうの、ちょっと嫌かもなあって思ったりするところもあったんですよ。きれいな思い出はきれいなままで残しておきたいっていったらいいでしょうか。だって、『Lの季節2』の時点で、そっとしておいて欲しかったかもな、なんていう思いもあったんですよ。それがこうやって別ハードで出る。しかも、いかにも買えといわんばかりの初回限定版がある。いや、オリジナルの時点で限定版はあったんですけどね。だから、別にここ数年が酷いとかいうつもりはないんだけど、でもさあ、って思うのよ。

というようなことをぐだぐだいってたら、PSPを譲ってもらえることになりまして、ええ、いいの!? 驚いて、感謝して、となればもう買うしかないよなと思いまして、かくして今手元には『Lの季節ダブルポケット』が!

My first PSP software

かつては、夏になって暇ができると『Lの季節』を最初っから攻略するのがならいでした。今プレイしても、ルート100%は可能かなあ。なんて思います。全選択肢100%は困難でも、ルート100%ならなんとかなるかな? なんて思えるくらいには遊んだつもりです。でも、2はまだ100%に達していません。かなり進めはしたんですが、やっぱり時間が足りなくてですね、だからこれを機会と思って、取り組んでみるのもいいかななんて思っています。なんのかんのいって、好きなんですよね。ええ、好きなんですよ。

CD

書籍

2010年1月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年3月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年3月号、発売です。今月は『空色スクエア』が表紙であります。ヒロイン深雪が缶コーヒーをこちらに差し出している。そんなイラストにはちょいとドキドキさせられます。というか、私は『空色スクエア』のヒロインは、そりゃもう深雪だろうと思い込んでいたのですが、本編読み進めてみれば、やっぱり文香なのか。もろもろ混乱しながら冬景色の表紙めくれば、舞台は夏。堂々の水着回であります。

S線上のテナ』、素晴しいな。デュオンがオスティナートを連れて逃げた。その説得から事態の収集まで描かれて、しかし緊迫感はたっぷり。そして恭介の言葉。彼のこれまでに思ってきたことが、そのまま言葉に乗せられてデュオン、オスティナートのふたりに届く。これはちょっと感動的だった。恭介、最初は巻き込まれ型主人公だったわけだけれど、今となっては、見事に場を主導する主人公にまで育ってる。彼は結局は普通の人ではなかったわけだけれど、今回の彼の言葉は、その生い立ちが育んだひとりの人としての心情があふれて、力強い。素晴しかったです。

『わたしたちは皆おっぱい』、連載になったですよ。しかも、これまで巨乳巨乳といっていたのが、ここにきて微乳派も取り込もうという策略でしょうか。アホすぎる。変態的すぎる。見事すぎる。いちいち駄目すぎる妄想も見事。そして新登場キャラクターも見事。生卵はさすがに陰湿だけれど、その後の展開、美少女マニアという理由で簡単に転向してしまうという、その身軽さ。で、ヒロインがおっぱいマニアであるという理由で簡単に許してしまうという、その軽快さ。素晴しい。ちょっと感動的。でもって、さすがにヘコんだ貴子が気に入りました。めちゃくちゃ可愛いです。

『となりの柏木さん』は、意外に狭い世界。知らないうちに気になる女の子のイラストSNSのページを見付けてしまった主人公が、それと知らないうちにその女の子に関わっていくという構造が確立したようです。主人公は気付いていない。けれどヒロインは、生身の主人公と会話し、また自分がイラストの主であることを知らずにいる主人公、その両方を知っているという優位な立場にいて、その状況のアンバランスがとてもいいと思います。いい感じに主人公が翻弄されていくといいなって思っています。

『少女素数』はクリスマスを目前とした時期、お兄さんはフィギュアだけじゃなくて、雑貨屋の商品も作ってたりするのか。まめな人だ。でもって、髭そったからなのか、娘ふたりが兄貴のことを意識してるっていうの面白く、そしていつまでもお兄ちゃんお兄ちゃんだけでもないっていうのが、変化を感じさせていいなって思って読みました。それはそうと、街に出た時の描写、ふたりを振り返る男性、女性、こうしたちょっとした表現が、ふたりの美少女度合いを雄弁に保証してます。

『7時間目の音符』、ゲストです。ついに『フォワード』でも音楽漫画が登場です。て、『テナ』も音楽がらみではあるのか。ともあれ、吹奏楽部で送る青春。部の皆の前では付き合ってること隠してる、なんていうほのぼのカップルが主役です。クラリネットですね。リードくわえてるところだけじゃなく、スワブ通してるところなど、作者は経験者か。とはいっても、そんなに吹奏楽であるという特色は出てないんですけどね。しかし、男の子の部活やめようと思った理由、それがなんだかすごく可愛くていいですね。あるいは、そうしたふたりを見守ってる周囲の状況に気付いていないヒロインが面白いのか。いずれにしても、初々しい恋愛の状況。くすぐったくてよかったです。

2010年1月22日金曜日

『まんがタイムスペシャル』2010年3月号

『まんがタイムスペシャル』2010年3月号が発売です。表紙は『ミッドナイトレストラン7to7』の織作がフィギュアスケートやっているイラスト。もうじき開催の冬季オリンピックがモチーフなんでしょうね。脇には、スケートで転んだちるみさんやスノーボードしている『おすすめ!看板娘あんちょこ』のヒロインふたりがあって、そしてこれはオリンピックとは関係ないのだけれど、『スーパー探偵!』のヒロインのカットも掲載されています。

『スーパー探偵!』、前回に続いてゲストです。スーパーの店員やってるお嬢さん。彼女が、警察官の姉と一緒に探偵の真似事なんかやってみるという話。前回は推理ものみたいになるのかななんて思ったけれど、今回はというとそういう気配はなくて、万引き対策に乗り出すヒロインさくらとその姉かすみ。しかし、全然駄目じゃんかという、そのどたばたぶりを楽しむ、そんな漫画であるようです。しかし今回は冒頭から、全開の店長が素敵です。しかしこの店長は、どんな人に盗まれたいっていうんでしょう。なんか、きゅんきゅんしますね!

『キミ待ち!』、蕎麦屋にやってきた女の子の話。作中にもありますが、あしながおじさん思わせる展開、けれど肝心のおじさんがどんな人かわからない。その人に会いたい、会ってお金をお返ししたい。そうしたお嬢さんが健気で、ちょっと人情ものっぽい雰囲気です。なかなか悪くないなって印象に、これからどうなるか期待してしまいます。

『おんたま娘』、引き続きのゲストです。雪深い温泉旅館の仲居さんふたりをヒロインに、ちょっとどんくさいお嬢さんと、しっかりものの先輩と。しかし、長靴をパックリと壊してしまう、そのスコップ技は只者ではありません。そして、若女将が登場。ちょっと古めの絵柄かも知れないなんて思ったりすることもあるけれど、でも可愛さは充分以上にあって、そこにスラップスティック風味効かせたコメディが展開されるとなれば、読まないわけにはいかないなといった気分になってきます。

『いとしのフェルナンド』、ゲスト登場です。『ラブリー』から移動してくるのでしょうか。ロマンティック、メルヘンティックな展開に、なんだかちょっと切なさや無情を感じさせる展開が一味添えて、この作者はこうした仕合せとその裏にある不幸の綱を引かせる構図が得意ですね。いいことばかりではない。けれど、そんな人生、世界においてもいいことは間違いなくあるっていう、ちょっとほろ苦い甘さ、それがとてもいいと思います。

『早乙女寮別館ものがたり』は、寮母のあきらさんが寮母にして男性。けれど心は女性。最近はトランスセクシュアル、トランスジェンダーも普通に漫画に登場するようになりましたね。けれどそこに偏見のようなものがないのなら、私は大歓迎、結構好きな表現であったりします。そして、お手伝いのちかちゃんが登場。小さな子供? ロップイヤー? 謎の女の子。可愛いのはいいんだど、ブクブクはちょっといやだな……。そして、なんだかトラブルメーカーになりそうなお姉さんが登場して、はたしてどんな活躍がありますことか。

『笑って!外村さん』。誤解されている外村さん。その誤解されてる状況はなおも変わることなく継続して、しかしよく途切れなく誤解のネタが出てくるものだと感心します。シンプルな笑いだけど、新しいネタ、意外な勘違いが用意されることで飽きさせない。むしろ、見るごとによいなと思えてくる漫画です。しかし「服装検査」とかいい感じ。あれ、ファンになっちゃうでしょうよ。それに、絵もうまくなっているというか、可愛さ増してると思います。

『ひとりごと』、『ハモニカ文庫』の山川直人の読み切りです。しかし、この人の版画思わせるような絵柄はいいですね。それに内容も、素朴で、けれど登場人物が生きてるなって思わせるような表情の豊かさが魅力です。知らないうちにひとりごというようになってしまってた。そんな男性が、同じような女性と出会ってという話。その仲介したのがひとりごとという仕組みも面白く、どこか寂しい、人との交流の少なくなった生活を送るうちにひとりごとが出るようになった。そんなひとりごとが縁となって、そしてひとりごとがなくなるという、ちょっと考えさせられるところもある、よい話でありました。ほんと、いい漫画を描かれる方だと思います。

『ココロノミカタ』、先月のココロさんが出なかった回の、もうひとつの側面。前回がミカタさんサイドだとしたら、今回はココロさんサイド。ミカタさんが導いた奇跡、それはココロさんもちょっと関係してたんですよ、っていうような話に、面白いなって、それに華やかでにぎやかで、いいなって思ったんですね。

『瞬け!シャイン』、最終回です。おおう。最終回だけに、最終回らしい話。ゴノレゴ譚にもちょっとした決着があって、そして齢800歳の不老不死OLビクニさんも完結。まさか30年後が見られるとは思いもしませんでした。岩井ちゃんと清水ちゃん、このふたりの仲良かったところ、そのつきあいの長く続いているというところ、ちょっと嬉しくなりました。他のネタも面白く、最終回にしてちっとも衰えなど感じさせない、そんな魅力に惜しいなどと思ってしまうのでした。この人の漫画、好きなんですよね。ほんと、惜しいと思います。

『千秋ツーフェイス』、こちらも最終回。結構好きでした。最後に弟妹が登場して、うわあすごく懐しい。そして父母が初登場。地味だったかも知れない。同一パターンの反復。そのマンネリという面白さが好きでした。しかし、11年描いてらしたんですね。その間、外づら千秋が2度イメージチェンジしたんでしたっけ。そうした変化も楽しみながら、面白く読んでいました。長らくお疲れさまでした。

  • 『まんがタイムスペシャル』第19巻第3号(2010年3月号)

2010年1月21日木曜日

日本の信号ラッパ

 買っちゃった、『日本の信号ラッパ』。いやね、こないだまで3点在庫ありになってたのが、1週間から3週間以内にお届けに変わりまして、おおっと、やっぱり買うやついるんだ。おそらくは『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』の効果でしょう。軍隊でラッパ吹く女の子の話。それが呼び水になって、ラッパはじめる人とか出てるらしいって聞いてます。それで、まんま信号ラッパを収録したこのCDも売れるというわけで、やっぱりメディアの力はすごいんだなあって感心させられる話です。とかひとごとみたいにいってるけど、私も買っちゃったっていうんだから、もうどうしようもありません。

いやね、買おうかどうしようかと思ってたら在庫なしになっちゃって、驚いて注文したんですよ。そしたら1週間たたずに届いてまたも驚きであります。さて『日本の信号ラッパ』、これ旧陸軍、旧海軍、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そして消防のらっぱ譜が収録されています。しかし淡々と演奏される、そんなラッパの響きは素朴ながらも暖かみのあるもので、けたたましいというイメージはとりあえず払拭されますね。実際の現場では、特に突撃なんてのになると、もっとエキサイトして速度も上がって、けたたましく、勇ましく、なんてことになるのでしょうけど、このCDに収録されているものでは、そういう勇壮さよりも、朴訥として真面目な響きがいたします。

信号ラッパといえば思い出されるのは突撃ラッパでしょうが、なんと食事の号令がラッパのマークの正露丸のあれでして、いや、そうらしいとは聞いて知ってたんですけど、あんなにもまんまだとは思っていませんでした。また、起床ラッパは『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』に聴いたものと同じ。それと、なんでか知らないけど、速歩行進とか知ってるっぽい。なんかの折に聴いたりしてるのかなあ。不思議と耳に馴染みのある、そんな響きであるのですね。

しかし、これは音楽として楽しむというよりも、資料としての需要の方が多いんじゃないかなっていう印象です。あるいは、独習する際の手本でしょうか。楽譜読めない人には、こうして音から覚える方がきっといいでしょう。けど、私は採譜しようかと思い中。いや、まだラッパは買ってない。まだ? いや、買うかどうかわからんけど、一応覚悟は決めました。

買うなら、最初に信号ラッパで練習して、続きそうならトランペットにステップアップすればいいかなって感じです。ぐずぐずしてるうちに、欲しい気持ちが薄れるかも知れないし、買うかどうかは本当に未定。薄れなければ買う。薄れる程度の興味なら、買っても飽きますでしょうしね。

2010年1月20日水曜日

「けいおん!」第7巻

 アニメ『けいおん!』の最終巻、第7巻が届きました。ああ、これで一段落ですね。もちろん、バンドスコアなど関連商品はまだまだ出ますし、第2期も決定しているしで、これで終わりってわけじゃないってことは重々承知しているのですが、けれどこれでひとまずは終わり。うん、ちょっと寂しいですね。でも一番寂しく思ったのは、あの、オープニングを見た時の感覚がもう違ってしまっているってことであったりします。『けいおん!』のオープニング、あれを見る時はいつだって、さあはじまるぞっていうわくわく感にあふれていたものだのに、今はもうそんなには盛り上がれなくて、ああ『けいおん!』は私の中で過去の思い出になろうとしているのだなって思わないではおられず、その過ぎ去っていくという感覚がもう本当に寂しいのでありました。

『けいおん!』、番外編である「冬の日!」については書いたことがあるので割愛するとして、「ライブハウス!」、BD/DVDではじめて公開された回ですが、これさすが番外編とでもいうべきでしょうか、「冬の日!」とはまた違った異質さがあって、すごく面白かったです。これまで学校やクラブ、友人たちといった、ある種内輪の世界に限定されていた展開が、決定的な外部に関わるという実にアウェイ感ただよう回でありますよ。年末のライブイベントに出演することになった放課後ティータイム。ライブハウスにいけば、受け付けのお姉さんがいる。ライブ当日となれば、対バンの面々とも出会う。なんだか彼女らが借りてきた猫のようですよ。とはいえ、なんだか唯だけは終始マイペースで、物怖じしない娘です。それが彼女の魅力なんだっていうのはコメンタリーでも語られたわけですが、いや実際、慣れない場所、自分たちの場ではない、そんなところで戸惑ってあたふたして失敗するみたいな話はよくあることで、けれど唯や紬のマイペースさが不要な緊張をほぐしてくれたり、また失敗したとしても対バンの人たちが励ましてくれたりで、こういう本編ではちょっと見られなかった交流とかね、すごくよかったですよ。

特別な話、だから番外編、なんでしょうけれど、限定空間において大活躍してきた彼女らの、ある意味等身大の魅力を伝える、そんな意味ある回でもあったように感じています。本編において特別であり続けた彼女らは、実は特別でもなんでもない、たくさんいるバンドをやってる人たちの末端であるってことがわかる。けれど、そんな彼女らは、音楽をやっている人という層を構成する一部であり、ひとつの典型でもある。バンド活動に対して一生懸命、常に全力投球なんていうのは彼女らのらしさではないのだけれど、そうしたあり方もバンド、音楽の世界のひとつの相であるんです。音楽は、音楽で身を立てようという人があれば、楽しみとしてやる人もある。そのどれもがいいんだよ。ラヴ・クライシス、デス・バンバンジーといった、今回関わりを持ったバンド、彼女らのようなあり方も、放課後ティータイムのようなあり方も、どれも音楽の世界においては正解なんだよ。そうした世界の広がり、多様さを感じさせて、そして『けいおん!』は、唯、澪、律、紬、梓、彼女らの、音楽を仲立ちとした青春を肯定して、ゆえにこんなにも魅力的であったのでしょうね。

オーディオコメンタリー、キャストコメンタリーはメインの5人を演じられた方々によるもので、今回は前回からちょっと時期があいたっておっしゃってましたか? そのためか、ちょっとだけ落ち着いた感じでありまして、けれど皆さんわいわいと楽しそうである様子は変わりありません。仔猫の声の話、新宿の朝になってしまうって、ええー、それはちょっとっていうような面白裏話があれば、律っちゃんのおかしーしに対するおかしくねーしの一斉つっこみも楽しくて、ああ面白いなって。そして「ライブハウス!」においては、対バンのお姉さんに対するコメントが面白かったし、そして、5人がステージを下見したときのコメント、「らじおん!」の企画でステージにのった時の思い出話なんかもあって、ちょっと感慨深い。そして鼻血ですよ。事前に渡されたビデオではなかったのにってやつ。そのどよめきについてはスタッフコメンタリーでも触れられていて、よっぽどだったんでしょうね。いや、しかしあれはしびれましたよ。うわ、鼻水に留まらず鼻血まで! って私も思いました。

そして、スタッフコメンタリー。山田尚子さん、堀口悠紀子さん、竹田明代さんの御三方。山田さん、堀口さんは第1巻ぶり、竹田さんは第6巻に続いて、ですね。いやしかし、しびれます。皆さん、よっぽど仲がよろしいのか、あるいは単にしゃべりなのか、様子見といった雰囲気など皆無にして、最初からスムーズな語りで聴かせてくれます。番外編なので、これまで一緒にいるところがメインだった彼女らの、ひとりの時を描きたかった(「冬の日!」)、外の世界に出させたかった(「ライブハウス!」)、といったことが話されて、いやもうしかし、スタッフの愛というものが実感されますよ。皆から愛されている唯、その理由に迫るとかね、律っちゃんの女の子の顔、思春期の表情を描く、とかさ、その時々の意図、目的が語られて、実によいコメンタリー。背景動画、動背っていうの? セルの暖かみが好きというコメントもあれば、バイト先でタイムカードを押す紬のシーン。脚のアップのカットが好き? とかいうのも面白く、ああそうだよ、はなたれ唯、そんな主人公が好きだ! とかも面白い。冬の海、演歌やなあ、なんてのも面白い。色彩についても、「冬の日!」は彩度がかなり落とされている、「ライブハウス!」も冬の色を使っている、そんなコメントあり、またエンディングの澪の衣装。青緑と決まるまで、いろいろ試行錯誤したっていうようなのね。そういう楽しい裏話がいっぱいでした。

印象に残った話は多いけれど、律の弟、聡に対するコメントの数々。めちゃくちゃ設定があがるのがはやかったとかね。ええい男の話はいい! と思った人も多かったんじゃないかなんて思いますけど、私は本編見た時から、おお、なんか可愛い少年だ、というか友人がかっこよすぎ! とか思ってわくわくした口なので、実に楽しくて、色の指定が赤固定だったとかいうのもすごいなって。ああ、聡に対してはキャストコメンタリーでも盛り上がってましたね。それと、「ライブハウス!」の男性スタッフ。長髪のリクエストが却下されたとかいうくだりは、聞いててめちゃくちゃ面白かったです。

「ライブハウス!」のコメントでは、演出の石立さんに関するものが面白く、丁寧に動かす人ということ。でもって、動画に手を入れて増やしちゃうっていうんですね。だから、動画マンが戦いですよ、っていって、石立さんに手を入れさせてなるものかって、どんどん動画枚数を増やすから、「ライブハウス!」はどんどん膨らんで、過去最高枚数を記録したんですって。 その、戦いっていう表現が面白くて、しかしよく動く「ライブハウス!」と、意図的に止めを多様した「冬の日!」。表現されることも、その手法も対照的なふたつがこうして揃って収録された第7巻は、なかなかに面白いなって思って、ええ、すごく見ていて楽しく、面白かったです。

面白かったです。けど、これでいったんお別れですね。ああ、お別れはいつだって寂しいけれど、だからこそというべきでしょうか。いずれの日にか、またお会いする日を楽しみにしています。

Blu-ray Disc

DVD

CD

  • 「らじおん!」スペシャル! Vol. 1
  • 「らじおん!」スペシャル! Vol. 2

原作、他

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • かきふらい『けいおん!』第3巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

2010年1月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2010年3月号

『まんがタイムきららMAX』2010年3月号が発売です。さて、先月の話ですよ。『きららMAX』を買おうと行きつけのコンビニにいったら1冊しかない。なんでだ、といってましたが、それはたまたま土曜だったから、あるいはもう売れてしまったから、そのどちらかであったようです。今月、3冊入荷していました。うち1冊を購入。表紙は『かなめも』。雪遊びするひなたと代理だけど、代理が微妙に危険です。あの、いっそ塗り潰してくださってもよかったんですが。いや、わかってるわかってる、それをそのように意識する私が悪いんだ。けど、私はこれを、通勤の車内で読むのだよ? ちょっとした罰ゲームだけど、まあ、わりと平気なものですよ。ぱっと見には、まだ若いお父さんお母さんが、娘を遊ばせているイラストに見えたことでしょうし。

かなめも』は、ユメのこととなると見境がなくなるユーキの話。なんだけど、ひなたの常識人ぶりが際立っていました。対照的にユメ、ユーキの駄目っぷりも際立つんですが、でもユメのいう好きな人のいろんな所見たいと思わない? ってのは、確かにそうだわって同意してしまいました。うん、私の悪い癖なんだけど、ある程度以上親しくなると、わざと怒らせるようなことをする習性があって、だからそれ以上親しくならないという罠が……。このふたりは、そのハードルを超えたのだね。偉大だわ。

『ラッキーストライク!』、なんとまだ滑ってるだけなのか。ボウリング漫画だというのに一向に投げるまでにいかないという展開は、なかなかに体育会系、スポーツものの真実味を感じさせてくれて面白いです。確かに、なにをやるにも基礎が大事。しっかりと基礎を作るためには、最初に変な癖をつけない、すなわちレンのやらされてるような地味な反復練習、こういうのが大切だっていうんですけど、まあ嫌だよな。ゲームやりたいよな。でもゲームとなるとスコアを取りにいきたくなるから、無理したりして、変な癖がついたりするんですよね。でも、あの振り子を一日一時間、リンにいたっては三時間とか、すごいな。で、結局投げられないっていう、もうお約束といえばそのとおりなんだけど、その狙いがパカーンと決まる気持ちよさ。素晴しいです。で、すっぽ抜け事故の一本、あの話はよかった。一生懸命やっての失敗に、怖さを感じたり、そしてそれを慰めたりするっていうのね。ああ、いい先輩と後輩じゃないかって、そう思える、すごくいい一本でした。

イチロー!』、ついに受験ですよ。センター試験当日。いやあ、ついこないだセンター試験が実施されたところだから、実にタイムリー。そして私学受験から発表までが語られて、とりあえずは合格、ニローは回避したかと思わせての、まさかの展開。やってくれるじゃん。ここでこんな無駄にダイナミック、無駄にドラマチックな見せ場があろうとは予想もしませんでした。いかします。

『ふわっちょこ』、連載になりました。マイペースすぎるのんちゃんがヒロイン。可愛いのだけれど、そのマイペースあるいは感情思いの趣くままといった様子が、可愛さに加え投げっぱなしのナンセンスを感じさせて、ちょっと面白いです。まわりの友人たちも、お姉さんも、結構な常識人ないし普通の人なんだけれど、そんな中、のんだけが群を抜いて適当。いかします。全然大丈夫そうじゃないところとか、いかします。

『ぽすから』が、単行本発売間近だから? それとも今がその季節だから? 受験を目前にしての小休止とでもいったらいいのでしょうか。神頼みから、これから訪れる受験とその結果に対するひとりひとりの気持ちが確認される、そんな回でした。一段落。さあ、次回は動くぞ、そういう予感をさせる、そんな回でもありました。

『ハッピーステッチ』、連載開始ですってよ。わあ、こいつは嬉しい。ゲスト掲載されたのは昨年12月号でした。被服の漫画。服作りましょう、デザインしてみましょう。その途中の紆余曲折、面白いけどそりゃ駄目だろうっていうデザインあれば、なんかすごくちゃんとしてそうなんて感じられるのもあって、そして開き直りもあって、この考えて、模索しての繰り返し、なかなかによかったです。これ、連載は本当に嬉しいです。

『おしおきっ!』、困ったなあ、すごく面白い。ちとせのそれはわざとか? わざとなのか? ともあれ、最初はどんな無茶展開無茶設定なんだって思ったものでしたけれど、こうして読んでみればすごく面白くて、東雲さんの変貌もそうだけど、白藤さんの倒錯に、私も転倒してしまいそうな勢いです。いや、実際、面白いです。ちょっと変化球だけど、私にはすごくいい球であります。

『はる×どり』、いい感じです。花子は自棄っぱちなのか? このキャラクター、大好きです。そして、京子のいい人っぷりも。ヒロイン、そして彼女を取り巻くキャラクターが魅力的で、その関係もまた魅力的で、読んでると気持ちが嬉しくなってくるようです。

超級龍虎娘』、なんだ、えらいシリアスやぞ。終わるのか? 終わらんよね。しかし実際、こういう感じに、つけられる決着はしっかりつけようとする姿勢。春希はなんだか頼りないけれど、友人に恵まれてるよね。そして龍楼の気持ちはどこにいくんだろう。彼女の健気さ、気丈さに、ええいああ、なんだか貰い泣きですよ。いや、龍楼は泣いてないけど。シリアス気味の回。けれど、シリアス一辺倒でもない。けれど、そうした笑いを誘う要素が逆にシリアスな風を強めていました。ああ、このシリアス、気持ちをいい加減にしないっていうところ、すごくいいですね。大好きです。

『きんいろモザイク』、ゲスト後編です。これ、めちゃくちゃ気にいってるんですが。ヒロイン忍が可愛いボブ娘だったり、アリスが金髪小柄だからとかじゃなくってですね、いや、キャラクターが可愛いというのはやっぱり無視はできないのは確かであるのですが、そのキャラクターたちの会話、やりとりされる気持ちみたいなものがいいんです。アリスを心配する気持ちがあったり、その気持ちに戸惑ったり、そうした心の動いてさざめく様がすごくよいのです。大きな音では響かない、けれどちりんちりんと澄んだ音の静かに沁みわたるような、そんなささやかな響きに心がとらわれるんですね。

ぼくの生徒はヴァンパイア』、カミラの人間を怖れる理由がはっきりと語られるのだけれど、その際の不安であったり、怖れであったりを露にする彼女の表情が可愛くて、しかし切なくて、こういう見せかたはすごくいいなって。私何もしてないのに うん、たしかになんだか泣けてくる。しかし、こんなカミラだからこそ、この漫画は一味違っているのでしょう。いじらしいなって思えてくる。そんなところがいいのでしょう。

表色89X系』、なんと驚いた。いや、子供がどうこうじゃなくって、そうか紅葉はそうだったのか。いや、そうなのか? わからんけれど、一度やったお約束的ネタを重ねながら、違う情報引き出したりっていうのはうまいなって思えるところで、そして香くんが優勢というのもいつもどおりで、またそれがよいと思えるところでした。子供を軸にキャラクターの持ち味を押し出して展開される話に、紅葉の気持ちが浮んでくる。とてもよかったです。

ワンダフルデイズ』は、最近よく出てくるようになった零ですが、彼女の素朴に喜びを表すところなどは、見ていてすごくほのぼのとさせられる。ああ、大家さんがめろめろになってるのもわかるよ、ってなものなんですが、しかし、その大家さんがちょっとシリアスな表情を見せたのには驚きました。でも、いい人だな、いい表情、かっこいいなって思ったのに、やっぱりなんだか残念な落ちが待っていて、いや、けど、大家さんのあの気持ち、とてもあたたかで、やさしくてよかったです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第7巻第3号(2010年3月号)

引用

  • 石見翔子「かなめも」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第3号(2010年3月号),6頁。
  • 玉岡かがり「ぼくの生徒はヴァンパイア」,前掲書,196頁。

2010年1月18日月曜日

雪豆娘

『雪豆娘』を買いました。雪にまつわる恋愛? 出会いをテーマにした短編が収録されておりまして、小さな雪女と出会うお話『ゆきおんなのこ』、雪男を自称する少年と出会うお話『Snowman』の2編。前者はコメディ色が強く、後者は恋愛ものとしての色が濃厚。どちらも面白くて、手にできてよかった、読めてよかったと思っておる次第です。あ、雪男っていうとどうしてもヒマラヤあたりに出没するというUMAを思ってしまいますが、そういうのではなくって、美少年です美少年。ちょっと、おっ、とか思ってしまうような美少年であります。

さて、『ゆきおんなのこ』。雪女の昔話をモチーフに、あの雪女の娘だという女の子が結婚相手を探す話に仕立てています。主人公はこの子というより、この子と出会った男性といったほうがいいのかな。和装の女の子に、なぜそんな格好をしているのかと聞いてしまったのが運の尽き。自分は雪女だ、正体を知ったものは殺さなければならない、しかし夫婦になれば大丈夫、かくして結婚を迫られるというのですが、この男性の反応が面白くってですね、まったくもってリアリスト、雪女だなんて当然信じていない。昨今の世相状況を反映した台詞がすごく面白いのでした。

でも、この話、またちょっとネタばれになるけどごめんなさいね、男性に雪女の真実を気付かせるところ、気付いた瞬間に終わったと自覚させるところ、それでいてハッピーエンドだったりするところ。その急転直下な展開には、もうすっかりやられました。もう、果報ものだなあ、ってこれはちょっと違うか。いや、でもね、こういうことを書くと本来的な漫画のストーリー立ての面白さからは逸脱しちゃうのですけれど、雪女が可愛くってですね、私、以前からこの人の描く絵が、線が好きなんだっていってましたけど、まさにそんな感じ。小さな女の子なんだけれど、ちょっと惚れっぽくって、それでもって挑発的で謎めいてて、かと思えば泣き顔に見せるいじらしさ。最高じゃないか、なんて思って、それであのラスト。その割り切りのよさは面白く、一瞬状況を引き締めてからの反転です。このキャラクターあってこそといってもいいかも知れない。見事でした。

そして『Snowman』。これは、もう普通に普通の恋愛ものと思って読んじゃえる、そんな漫画です。雪男を自称する男の子がヒロインにアタックするというものなんですが、男の子の人懐っこさというか屈託のなさ、これはすごく可愛い。ヒロインはなんかクールな女の子なんですが、この少年の笑顔にほだされてる、そんな描写がなんだかすごくほっとするような、心をゆるませるような感じでありましてね、ああ、最初はドン引きだなんていってたのに、こうして出会って言葉交わしていくうちに、だんだんに気持ちが近付いていって、この不思議なこという男の子のことが気になってしかたなくなっていくんだなっていうことが、しみじみと伝わってきてすごくよかったのでした。

私は、これまでこの人の漫画に強い恋愛の色を感じたことはなかったのですが、それは普段私の読んでいるものにおいてはあえてやっていなかったんだなっていうことがわかる、そんな出来でした。けれど、この漫画における恋愛の色っていうのも、ほのかにそっと色付いた程度の穏かさに抑えられていて、好きという感情が疾走するような、そんな感じではないんです。あくまでも穏やかで、けれどそうした気持ちが、ヒロインの淡々とした感情の描写にあらわれてくる。戸惑いをともに意識される気持ちが、少しずつ大きくなってくる。どうしようもなくふくらんでくる。ああ、すごくいいね。なんか読んでいて、いじらしかったり、切なかったり、けどすごくしあわせと感じられる、そんなくすぐったさもいい。そして、ハッピーエンドですよ。

このふたつのハッピーエンド、仕掛けはまったく逆だったり、またテイストも違ったりするのだけど、どちらも読めばしあわせな気分になれる。ああ、いい漫画だなって思えて、そして私はちょっとしあわせです。

  • チェリオ,ののちき『雪豆娘』ずんだもち姉妹,2009年。

2010年1月17日日曜日

32GIRL_2

『32GIRL_2』を買いました。『32GIRL』の続編、『サーティーガール』から飛び出した32歳の女の子、湯神加奈子を主人公としたお花屋さんの漫画です。加奈子さんは、本業は不動産会社で働く課長さんなんだけれど、ちょっと思うところあって、幼なじみの兄さんが経営している花屋のお手伝いをしてる。そこに職場の後輩、緑川すずめがやってきてはじまる、ちょっとしたドラマ。とてもよかった。思わずほろりとしてしまう、そんな恋愛の機微。とてもよかったです。

緑川すずめの恋愛の行方が描かれた、そんな話でした。幼なじみの男性。そうしたところは、加奈子と花屋の兄さん治久に似ている。だから、応援することになるのだろうなと思ったら、そんなに簡単ではありませんでした。

ただストーリーを追うなら、よくある話といってもいい。これまでに幾度も見てきた、そうしたものではあるのです。けれど、それがこんなにも胸に迫ったのは、できごとの向こうに動いている感情、その見せ方のうまさのためなのでしょう。ちょっとネタばれになるけど、ごめんね。すずめの好意、それがほのめかされて、そしてその後もずっと抑制された描写にとどめられていた。いつくるんだろう、いつ開かれるのだろう。ここだろうか、そう思うポイントはいくつかあって、緊張してページ繰るのだけど、しかしなにごともなく平和裡に過ぎていって、それが最後に一度に開かれるのですからもうたまりません。それまでの緊張と緩和の繰り返しの中で思いは深められていたんですね。すずめの感情を伝えるちょっとした表情や、吹き出しの文字。それらが最後のあのシーンを用意して、それはとても力強い表現となって押し寄せたのでした。

さて、収録された話は第参話「俺たちは天使だ♥」、そして第四話「太陽どっち?」。「太陽どっち」は、32-15GIRL、加奈子さんが17歳だったころの話。喧嘩して、お墓参りで仲直り。小さなエピソード。けれど、人生は小さなエピソードの積み重ねで、それらエピソードの数々がふたりの歴史なんだなって思える、そんな話。これもまたよかったです。『サーティーガール』に見られるような大立ち回りとか、そういう派手さはないんだけど、シンプルなストーリー、静けさの中に描かれる心情、思いの動き、そうしたものもまたよいと思える、そんな素敵な話でありました。

  • 岩崎つばさ,カワイシンゴ『32GIRL_2』32GIRL,2009年。
  • 岩崎つばさ,カワイシンゴ『32GIRL』32GIRL,2009年。