『まんがタイムきららMAX』2010年3月号が発売です。さて、先月の話ですよ。『きららMAX』を買おうと行きつけのコンビニにいったら1冊しかない。なんでだ、といってましたが、それはたまたま土曜だったから、あるいはもう売れてしまったから、そのどちらかであったようです。今月、3冊入荷していました。うち1冊を購入。表紙は『かなめも』。雪遊びするひなたと代理だけど、代理が微妙に危険です。あの、いっそ塗り潰してくださってもよかったんですが。いや、わかってるわかってる、それをそのように意識する私が悪いんだ。けど、私はこれを、通勤の車内で読むのだよ? ちょっとした罰ゲームだけど、まあ、わりと平気なものですよ。ぱっと見には、まだ若いお父さんお母さんが、娘を遊ばせているイラストに見えたことでしょうし。
『かなめも』は、ユメのこととなると見境がなくなるユーキの話。なんだけど、ひなたの常識人ぶりが際立っていました。対照的にユメ、ユーキの駄目っぷりも際立つんですが、でもユメのいう好きな人のいろんな所見たいと思わない?
ってのは、確かにそうだわって同意してしまいました。うん、私の悪い癖なんだけど、ある程度以上親しくなると、わざと怒らせるようなことをする習性があって、だからそれ以上親しくならないという罠が……。このふたりは、そのハードルを超えたのだね。偉大だわ。
『ラッキーストライク!』、なんとまだ滑ってるだけなのか。ボウリング漫画だというのに一向に投げるまでにいかないという展開は、なかなかに体育会系、スポーツものの真実味を感じさせてくれて面白いです。確かに、なにをやるにも基礎が大事。しっかりと基礎を作るためには、最初に変な癖をつけない、すなわちレンのやらされてるような地味な反復練習、こういうのが大切だっていうんですけど、まあ嫌だよな。ゲームやりたいよな。でもゲームとなるとスコアを取りにいきたくなるから、無理したりして、変な癖がついたりするんですよね。でも、あの振り子を一日一時間、リンにいたっては三時間とか、すごいな。で、結局投げられないっていう、もうお約束といえばそのとおりなんだけど、その狙いがパカーンと決まる気持ちよさ。素晴しいです。で、すっぽ抜け事故の一本、あの話はよかった。一生懸命やっての失敗に、怖さを感じたり、そしてそれを慰めたりするっていうのね。ああ、いい先輩と後輩じゃないかって、そう思える、すごくいい一本でした。
『イチロー!』、ついに受験ですよ。センター試験当日。いやあ、ついこないだセンター試験が実施されたところだから、実にタイムリー。そして私学受験から発表までが語られて、とりあえずは合格、ニローは回避したかと思わせての、まさかの展開。やってくれるじゃん。ここでこんな無駄にダイナミック、無駄にドラマチックな見せ場があろうとは予想もしませんでした。いかします。
『ふわっちょこ』、連載になりました。マイペースすぎるのんちゃんがヒロイン。可愛いのだけれど、そのマイペースあるいは感情思いの趣くままといった様子が、可愛さに加え投げっぱなしのナンセンスを感じさせて、ちょっと面白いです。まわりの友人たちも、お姉さんも、結構な常識人ないし普通の人なんだけれど、そんな中、のんだけが群を抜いて適当。いかします。全然大丈夫そうじゃないところとか、いかします。
『ぽすから』が、単行本発売間近だから? それとも今がその季節だから? 受験を目前にしての小休止とでもいったらいいのでしょうか。神頼みから、これから訪れる受験とその結果に対するひとりひとりの気持ちが確認される、そんな回でした。一段落。さあ、次回は動くぞ、そういう予感をさせる、そんな回でもありました。
『ハッピーステッチ』、連載開始ですってよ。わあ、こいつは嬉しい。ゲスト掲載されたのは昨年12月号でした。被服の漫画。服作りましょう、デザインしてみましょう。その途中の紆余曲折、面白いけどそりゃ駄目だろうっていうデザインあれば、なんかすごくちゃんとしてそうなんて感じられるのもあって、そして開き直りもあって、この考えて、模索しての繰り返し、なかなかによかったです。これ、連載は本当に嬉しいです。
『おしおきっ!』、困ったなあ、すごく面白い。ちとせのそれはわざとか? わざとなのか? ともあれ、最初はどんな無茶展開無茶設定なんだって思ったものでしたけれど、こうして読んでみればすごく面白くて、東雲さんの変貌もそうだけど、白藤さんの倒錯に、私も転倒してしまいそうな勢いです。いや、実際、面白いです。ちょっと変化球だけど、私にはすごくいい球であります。
『はる×どり』、いい感じです。花子は自棄っぱちなのか? このキャラクター、大好きです。そして、京子のいい人っぷりも。ヒロイン、そして彼女を取り巻くキャラクターが魅力的で、その関係もまた魅力的で、読んでると気持ちが嬉しくなってくるようです。
『超級龍虎娘』、なんだ、えらいシリアスやぞ。終わるのか? 終わらんよね。しかし実際、こういう感じに、つけられる決着はしっかりつけようとする姿勢。春希はなんだか頼りないけれど、友人に恵まれてるよね。そして龍楼の気持ちはどこにいくんだろう。彼女の健気さ、気丈さに、ええいああ、なんだか貰い泣きですよ。いや、龍楼は泣いてないけど。シリアス気味の回。けれど、シリアス一辺倒でもない。けれど、そうした笑いを誘う要素が逆にシリアスな風を強めていました。ああ、このシリアス、気持ちをいい加減にしないっていうところ、すごくいいですね。大好きです。
『きんいろモザイク』、ゲスト後編です。これ、めちゃくちゃ気にいってるんですが。ヒロイン忍が可愛いボブ娘だったり、アリスが金髪小柄だからとかじゃなくってですね、いや、キャラクターが可愛いというのはやっぱり無視はできないのは確かであるのですが、そのキャラクターたちの会話、やりとりされる気持ちみたいなものがいいんです。アリスを心配する気持ちがあったり、その気持ちに戸惑ったり、そうした心の動いてさざめく様がすごくよいのです。大きな音では響かない、けれどちりんちりんと澄んだ音の静かに沁みわたるような、そんなささやかな響きに心がとらわれるんですね。
『ぼくの生徒はヴァンパイア』、カミラの人間を怖れる理由がはっきりと語られるのだけれど、その際の不安であったり、怖れであったりを露にする彼女の表情が可愛くて、しかし切なくて、こういう見せかたはすごくいいなって。私何もしてないのに
うん、たしかになんだか泣けてくる。しかし、こんなカミラだからこそ、この漫画は一味違っているのでしょう。いじらしいなって思えてくる。そんなところがいいのでしょう。
『表色89X系』、なんと驚いた。いや、子供がどうこうじゃなくって、そうか紅葉はそうだったのか。いや、そうなのか? わからんけれど、一度やったお約束的ネタを重ねながら、違う情報引き出したりっていうのはうまいなって思えるところで、そして香くんが優勢というのもいつもどおりで、またそれがよいと思えるところでした。子供を軸にキャラクターの持ち味を押し出して展開される話に、紅葉の気持ちが浮んでくる。とてもよかったです。
『ワンダフルデイズ』は、最近よく出てくるようになった零ですが、彼女の素朴に喜びを表すところなどは、見ていてすごくほのぼのとさせられる。ああ、大家さんがめろめろになってるのもわかるよ、ってなものなんですが、しかし、その大家さんがちょっとシリアスな表情を見せたのには驚きました。でも、いい人だな、いい表情、かっこいいなって思ったのに、やっぱりなんだか残念な落ちが待っていて、いや、けど、大家さんのあの気持ち、とてもあたたかで、やさしくてよかったです。
- 『まんがタイムきららMAX』第7巻第3号(2010年3月号)
引用
- 石見翔子「かなめも」,『まんがタイムきららMAX』第7巻第3号(2010年3月号),6頁。
- 玉岡かがり「ぼくの生徒はヴァンパイア」,前掲書,196頁。
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