2009年5月19日火曜日

『まんがタイムきららMAX』2009年7月号

なんだか関西はたいへんなことになっている。そう思われているようでありますが、平日ともなれば仕事にもいくわけで、駅前コンビニでは雑誌を購入、通勤の車内で読んで、帰りにはCDを買って、などなど、平常どおりとはさすがにいえないものの、それでも日常が過ぎていくことには違いありません。そして、今日19日は『まんがタイムきららMAX』が発売されて、当然私はそれを買って、読んで、こうして思ったことを書いたりなどして、やはり変わることのない日常を送ろうとしているのであります。

表紙をめくってすぐの第2ページ目、きららMAX読者プレゼント、私は中村哲也サイン色紙を狙います。この人の絵、好きなんです。いや、他の色紙もいいと思いますよ。けど、ここはあえて『ぽすから』を狙いにいこうと思います。

かなめも』、ラストのはるかの叫びは、一般的には、そうだそうだ! となるのかも知れないけれど、この展開、私的にはありだ! 布が多いに越したことはない。というわけで、私は代理さえ可愛ければそれで満足なのです。あの三角の口! 『フィギュ☆モ』は、どこぞの王女様みたいのが出てきて、こういうのがこの人の得意のキャラクターなんでしょうか。どう思う? そう問われれば、面白そう! と答えないではおられない、そんな感じです。しかし、パンツ丸出しのフィギュアが不健全と思われるのは仕方ないとして、女子高生がギーガーばりのフィギュア作ってるってのは健全なのか? と問われたら、健全と答えるしかないんでしょうね。もちろん、パンツ丸出しのフィギュアであっても、健全と強弁しますよ。

ぐーぱん!』は、ひどい目にあわされる赤城さんが、結局可愛さ総取りかと思われたのだけれど、うわーんっ!! って! 泣く子と地頭には勝てずというがごとし。しかしいつもひどい目にあわされてるのに、それでもこうして付き合ってくれる赤城さんは、なんていいお嬢さんなんだろう。『兄妹はじめました!』は、なんて美しい黒ベタでしょう。真っ黒な髪、真っ黒なロングスカート。黒のシャツに、黒のエプロンドレス。おのずと画面はひきしまり、ハイコントラスト! うっとりします。そして、兄のいつになく神妙な顔付きに、なんだか冗談めかした行動に隠した本心のしっかりと見えるようで、真面目ないい兄さんだなあ。私はこの兄さんが好きです。

○本の住人』も若干シリアスを感じさせる話。のりこの子供の頃の話は、切なさがすさまじい。今回も、ほんのわずかであったというのに、その切なさははんぱではなく、妹のりこを安心させるため、それだけで人生における選択肢を狭めた兄さん。いつもはちゃらんぽらんに見せてるけれど、でもやさしいいい兄さんじゃないか。私はこの兄さんが好きです。きっとのりこも好きなんだろうな。そんなことがなんとはなしに伝わってくる回でした。いい話でした。サバインフルについてコメントする兄を見つめる妹の、いつになく不安そうで、けれどそれをどう表現したらよいかわからないという表情。ぐっとくるものがありました。いろんな意味で。それはそうと、サバインフルも渦中数日ともなれば、まあ、日常よ。いうほど怖くないですよ。不安もまた日常でありますよ。あんな妹がいたらなあ。

『くすりのマジョラム』、鈴城芹の新連載、お姉ちゃんは魔女だったのです、というか134センチ、眼鏡、白衣、薬剤師、26歳、最高じゃないですか! しかしごつい帽子だなあ。あれは、じいやだったりはしないのかしら。魔法の薬を調剤する魔法の薬剤師、なんだけれど、魔法だなんてえらくファンシーなものを持ち出してきたわりに、変に現実主義的で、薬事法やら詐欺やらと、こちらの私らの暮らす地平の常識をしっかり持ち込みながら、この物語世界のルールをしっかりと印象づける、いい第1話であったと思います。ところで、ディドゥーンでしいたけの妹さんも眼鏡ですね。気付いてませんでした。あまりにも自然にとけこんでいたからでしょうか。眼鏡は顔の一部とはよくいったものです。

『ぽすから』も眼鏡。そして浴衣。積極的になりきれない少年、そして女の子が、すこしずつ距離を縮めながら、そして気持ちの丈を明らかにする。朴訥で、ちょっとぶっきらぼうで、けれどそれが照れ隠しであることは誰もに容易に知れるから、それがもうなんだか見ていて微笑ましいやら、照れ臭いやら。この感触はいいなと思って、すなわち私はこの漫画が好きです。

はなまるべんと!』は、わあい、近藤副会長の出番が多くて嬉しいなあ! などと馬鹿なこといっちゃいけないんじゃないか、と思うくらいに雰囲気を違えて、それは主にあやめの態度によるもので、ここ数回の流れがいよいよまとまりつつあるのでしょう。あやめは破壊的に元気であってほしいけれど、こうしたしんみりとして、けれど素直な心情を見せてくれたりする、そんなところもよいなと思ったりしたものでした。気になるのはスズがどう関わってくるか、でしょうね。それはまた次回以降の楽しみとして、そうそう、新聞、どこかで見た覚えのある記事でした。

『つかえて!コハル』は、ちょっと『ひろなex.』を思わせる絵柄。キャラクターの可愛さ、魅力を全面に押し出して、そして唐突なコメディに持ち込んで、これから他の漫画とは違うという、この漫画独自のなにかが強く感じられるようになれば、いけそうだという気がします。ほら、切腹します、とかさ、わりといい感じ。あと、急いでパン買ってこいとかも。と、こうしたことを思って、ふと考えたのですが、今のこうしたキャラクターを全面に押すタイプの漫画は、類型的でさえある愛されそうなキャラクターを用いながら、それでどれだけ差別化を図れるかが勝負であるのでしょうね。スタイルで勝負。そう考えると、大変な仕事だと思います。

超級龍虎娘』の魅力は、絶対的に可愛くあらねばならないはずのヒロインが、簡単に可愛くない表情をするところかと思って、龍楼しかり鞠虎しかり、しかしその可愛くないはずの表情さえも愛おしい。自覚のないボスなんて最高じゃないですか。必死で体面つくろおうとするボスも最高じゃないですか。なんて可愛い人だろう。可愛くありたいのさ。けれど、そうでばかりもいられないのさ。ちょっとは格好もつけたいのさ。一面的ではない、そんなところがいいじゃありませんか。お出かけにうきうきとして、目的さえも忘れてしまう。そんなところなんて、最高じゃありませんか。しかしダシマキって名前は、やっぱりちょっとはずかしいのか。いい名前だと思うのだけどなあ。もちろん龍楼だっていい名前です。これが、普通に可愛い女の子女の子した名前だったら、こんなには好きになってなかったろうと思います。

『りくのすてーじ』は、2話連続ゲストなのだそうです。って、最近は3話じゃなくて2話なのか。きびしいなあ。『りくのすてーじ』は、演劇部を舞台とする漫画で、はずかしがりやの自分を変えたいと演劇部に飛び込んだヒロインがどう変わっていくかというのが描かれるのでしょう。彼女がすこしずつ自信を掴んでいくというのが話の中心なら、ちょっとしたことで真っ赤になるヒロインの可愛さというのが、見せ方の肝なのでしょう。なんかふにゃふにゃした絵柄に魅力を感じる人なら、魅力は数倍増になるかも知れません。

『ストロマロジック』って、やっぱりサブタイトルが違ってるんだ。先月は「炭酸飲料一気飲み部」。今月は「押し売り忍者!」。このふたつの話って、関わりあってるのかな? よくわからないけど、この忍者の話は結構気にいっています。ちょっとバイオレンス。けど、このバイオレンスはいいバイオレンスだと思います。『あぶさーどライフ!』はネギ。もちろんネギといったらあれです。

ぼくの生徒はヴァンパイア』はチェスが題材で、ところであの扉ゴマの美しいお姉さまは誰ですか!? ずいぶん前のことですが、一時期チェスに凝ってたことがありました。セットも持ってるんですよ。黄楊でできたの。『鏡の国のアリス』がきっかけでチェスをやるようになって、それでルイス・キャロルの写真の本なんかも持ってるんですが、そこにはふたりの婦人が差向いでチェスをさしている写真があって、キャロルのおばですね、ええと、このページの写真です。ええと、こっちの方が大きいな。今回の『ぼくの生徒はヴァンパイア』に出てきたチェス盤というのが、その写真のチェス盤を彷彿とさせて、さすがはハイソサエティだ、さすがは淑女だ、それだけで嬉しかったのでした。

そして、メイベルの戦略、引き分けに持ち込もうとするあたり、このへんは実にチェスらしいアプローチで、駒はスタントンタイプだし、白のキングは黒のマスにいるし、すごくちゃんとしてる。それでいて話はチェスについて知らなくても楽しめるものになっているのだから、たいへんによかったです。

そして僕らは家族になる』では、なんだかひとりで先行して、ひとりで完結している咲苗さんが、可愛いというかちょっと迷惑というか。でも、この人の優柔不断あるいは一歩退いてしまうという性格、その考えの根拠のようなものはわかるように思います。けれど、それは一見やさしさに見えて、誰にもやさしくないんだよな。逃げちゃ駄目だよ、踏んばるときにはぐっと踏んばるんだ、苗さん!

まん研』、ズブぬれでザンゲは、若い人には通じないんじゃないかと心配しながら、実に『まん研』らしい振りだと思います。話題は雨、コミケにおけるくじけない人たち。しかし、雨だろうと雪だろうと嵐だろうと、本当に並んじゃう彼らの情熱というのはすごいものがあると思います。私に足りないものは、その情熱ですよ、実際。そして雷に怯えるしいな。なんて魅力的なんだ。そして香澄の秘密がひとつあきらかになって、なんとそうでしたか。そいつは気付いていませんでした。ただただ、いい後輩であるってだけなんだと思っていました。

『表色89X系』は、験担ぎをするヒロイン。気にするタイプの人は、際限なく気になるものみたいですね。実際、気にしたところでどうしようもない話ではあるのですが。タロットのやりなおしですが、流派なのか、人なのか、やりなおしをすることはあります。カードがすべて逆位置で出た場合などに、その占いを破棄してやりなおすということもあるそうで、けど私はどんな出方をしても、やりなおしはしなかった。だから占者によるのでしょうね。と、本編はそんな話ではありませんでした。あまりにネガティブであり続ける自分の人生にうちひしがれて、日常にネガティブを探し求めないではいられなくなった、世界一不幸な少女の物語です。でも、ちょっと沈んで、それで安定。いつもにこにこ笑っている。いい娘さんだと思います。

ワンダフルデイズ』、たきびさんもそういうの気にするんですね。いつも圧倒的に優位に立ってるような人なのに、それがこんなにもやられちゃうっていう、その様は逆にその魅力を引き立てるようで、だからこそでしょうか、この人にならこの先一生ずーっとバイキンあつかいされるのも悪くないな……。だから、小川君、君の反応はしごく普通のものです。しっかりとゆるがずそのまま育っていってください。

MAX MAIL BOX。載った! 載るんだ、これって! これまでずっと編集の人が考えてるんだと思ってたよ! しかし、これはまずいことになった。なんだかすごくいたたまれません!

  • 『まんがタイムきららMAX』第6巻第7号(2009年7月号)

引用

  • 中平凱「フィギュ☆モ」,『まんがタイムきららMAX』第6巻第7号(2009年7月号),35頁。
  • 榛名まお「ぐーぱん!」,同前,51頁。
  • ねことうふ「つかえて!コハル」,同前,112頁。
  • 同前,109頁。
  • 荒井チェリー「ワンダフルデイズ」,前掲,215頁。

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