2009年5月25日月曜日

『月刊アフタヌーン』2009年7月号

 関西では、たいてい雑誌は当日売りなんだと思っていたのですが、『月刊アフタヌーン』に関しては、数日前に入手可能です。公式の発売日は25日のはずなんですが、そこは余裕を持って配本しているのかも知れません。ところで、発売日を何日ごろとかいっていたのは『IKKI』でしたっけ? あれ? 単行本だけだったかな? まあどっちでもいいや。その、ごろという曖昧な表現が面白いなと思ったことがあったのでした。なので、私にとって『アフタヌーン』は毎月25日ごろ発売で、けれどこうしてBlogに書くとなるとちゃんと25日以降になるようにしないといけません。そのへんはちゃんと守っていきたいと思います。

さて、『アフタヌーン』7月号は、剣道着つけて竹刀構えた男女ふたりが表紙。凛々しい眼鏡男子ときれいなお嬢さんかあ、と思ってたら、うわ、なんてこった、ふたりともお嬢さんだよ。『武士道シックスティーン』。剣道に命懸けてるような眼鏡女子、とにかく勝ちに固執している磯山香織と、なんだかマイペースで覇気にかける西荻早苗。ふたりが出会って、そして早苗が一本を取って、そこで第1話はおわり。これ、すごく面白そうです。もとは小説みたいですね。まったく違った対照的な個性をぶつける、そこにいったいどういうドラマが生じるんだろうか。お互いを鏡とすることで、互いに足りていなかったものを見付けていく、そんな話になるんだろうか。先のことはわかんないけど、なんだか面白そうです。

『アストライアの天秤』は、裁判員制度を扱った漫画で、これ二回目です。以前は役者の話。今回は、主人公こそは前回と同じですが舞台を沖縄にして、米軍と沖縄との関わりをまじえながら、話が進んでいきます。その流れの中に確執をいくつか投げ込んで伏線としているのですが、そのまだ明かされていないこと、それがすごく興味をそそりまして、結構読ませるんですね。前回、「さばき、さばかれ」もよかったんですが、今回のもなかなかによさそうです。次号で完結、7月には単行本だそうですが、これは買ってもいいな、そんな風に思っています。

『友だち100人できるかな』、キュートな堅物眼鏡が出てきたかと思ったら、なんとこれはライバル出現か!? っていっても、よくよく考えたら、別のパラレルからきている相手なんだから、共闘はあっても、競争する必要はないんだよな。と、それは置いておいて、今回の友だち候補は(未来の妻を除いては)はじめての女子となって、そこにはなんというか、前青春時代の素朴な感情があって、未熟だったり、それゆえに不器用だったりする様が描かれて、それで決着は直球勝負だからたまらんものがあります。この漫画は、大人になるとごちゃごちゃいろいろ考えてしまうようなことを、もっと直球に、素直に、真っ直ぐに、体当りでやってみようよ、そんなことをいっているようで、その朴訥さと朴訥であるがゆえの強さが魅力だなあと思うのですよ。正論をぶつけてるように見えるところがあっても、杓子定規や型にはまった言説ではなくて、もっとプリミティブななにかが、素直に飛び込んでくるような、そんな気持ちよさがあるから、ああこれは正論じゃないんだ。理屈やなにかじゃないんだ、そんな風に思うんですね。

百舌谷さん逆上する』。夏休みがあけて、新学期。しかし、揚介は兄貴に恵まれてねえなあ。揚介の兄貴はアキバ系のキモオタのロリコンのバーチャル世代で、Tシャツはどう見ても『けいおん!』の秋山澪。壁のポスターもそうだ。この兄貴、恋に悩む弟を面白がって振り回そうとするけど、どう見ても自滅してるよな。しかし、兄貴にアドバイスされるまでもなく、女心のわからない弟は自爆を続けるわけで、その滑稽なことったら。前回までものすごくシリアスだったのに、今回からは竜田揚介の自爆を楽しむ漫画になりました。しかし、こいつは話の流れにうまく重みをつけていくのに、それもわりかしかっこよかったりするというのに、なんでここぞというところでああも見事に引っくり返してしまうのだろう。その素晴しい自滅。あっぱれだな。惚れ惚れするな。きっと、竜田はずっとこの調子なんだろうなと思います。そして、その背後にちょっと影の薄くなった百舌谷さん、彼女の決意が潜伏しているわけで、だからいつまでもこの馬鹿馬鹿しい流れは続かない。思いがけないところで、百舌谷さんの動きが明らかになるに違いない、そう思うからこそ、今のこのコメディの気安さに安心しきって読むような、そんな気分にはなれないんですね。きっと、いつかくる揺り動かし、それを怖れながら、またその時のくるのを待ちながら、わくわくと、うずうずとしながら読む。その時に感情を総動員させられるよう、気持ちをいっぱいに待機させて読んでいます。

無限の住人』。グッバイ尸良さん! けれど、あんなにいやなやつだった尸良だけど、こうして死んでいく、それも最低な死に方をする、そうしたざまを見れば、爽快なんて感情は微塵もなくて、やつはあれで最低なりに魅力的なキャラクターであったのかも知れないなあなどと思うのでした。でも尸良さんの活躍する巻は今でも読みたくないよ!

『いもうとデイズ』。オーナーさんがほわほわとなっているのを見て、なにかよからぬことを考えてしまった私をお許しください。しかし、オーナーさんもおっしゃいますが、この漫画の魅力は、ディアナの純粋さというか、素直さというか、その可愛さ、いじらしさだと思う。そして、兄貴のなんのかんのいってディアナ思いのところかな。うん、この兄さんはいい兄さんです。自分を必死で弁護してくれるディアナに、はいはいといってちょっと微笑むような、諦めのような、その表情はとてもよかった。いい兄さんです。

そして『もっけ』が終了。御機嫌よう。好きな漫画でした。ここに描かれている世界、それが好きでした。終わっちゃうのは残念だけど、御機嫌よう。またお会いできる機会などありましたらよいなと思っています。

引用

  • 篠房六郎「百舌谷さん逆上する」,『月刊アフタヌーン』第23巻第9号(2009年7月号),509頁。

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