2009年5月22日金曜日

『まんがタイムスペシャル』2009年7月号

そろそろ、ネタばれ緩衝地帯に書くネタも枯渇してきましたよ! いや、本当に。書くんだったら、ある程度、意味のあることも書きたい。できれば、その日あつかうものに関係したことを書きたい。けれどそうそうなにか気の利いたことがあるわけでもないし、だからといって無理矢理になにかひねり出すというのもおかしいし。といったような、それこそどうでもいいことを書いて、字数稼ぎして、ネタばれ緩衝地帯のできあがりです。今日買ったのは『まんがタイムスペシャル』。ちるみさんが表紙をつとめている四コマ誌です。

『スーパーメイドちるみさん』は、佐々木先生がフィーチャーされて、しかしろくでもない大人です。出てて下さいと放り出されるその無重力感は、小ネタなんだけど、無闇に面白くて、いいキャラクターだなあという思いを新たにしました。『たまのこしかけ』はタロット占いを扱って、けれど占いなんてものは、結果を気にせず、思ったままに突き進むのが吉です。実際、あの係長はそうしてきたんだと思う。占いの結果も意味も、自分の思うところにしたがい、自在に動かしうるという、そういう自由な気風が感じられるのはいいなと思います。

『幼稚園ぼうえい組』は、絵本について。絵本は、実にあなどれないものがあって、大人になった今でも、ふと見入ってしまう、そんなものもたくさんあるんですね。今、うちには小さな子供がいるから、その子をだしにして絵本を買ったりするんですけど、半分以上は自分のためだろうと思います。子供のころに読んだものを選んだり、うん、まさしく、世代がバラバラでも心に残ってて話しあうことができるってやつです。そしてまったく知らないものを選んだりもして、出会いを楽しみにする。絵本の豊かであるということは、すばらしいことであると思います。

『ポンチョ。』は、徹底してカレシと彼女が会えない漫画になっています。これは、漫画に描かれないところでは会えているのか、それとも本当にいつも会えないのか。けれど、こうして会いたいという気持ちが双方にあって、そして実際に会おうとしている、そうしたところがあるから、おかしなすれ違いも楽しく読めるんでしょうね。で、今回はホットケーキ。ちょっと食べたくなりました。今日、健康診断で朝食抜きだったんですよね。酷な漫画でした。しかし、カレシはエプロンがよくお似合いだ!

花の湯へようこそ』は、新常連さんの登場でしょうか? 一癖ある新婚カップル。しかし、こうした人たちが自然に新常連として参加できる銭湯は、漫画の舞台としても、また町内の社交場としても、開かれた場所なのでしょう。

『ココロ君色サクラ色』は、隔月連載。双子の男の子、女の子を扱って、『ふたご最前線』とはまた違った味わい。絵が可愛いのがいいよ。空、太陽の兄弟も、このみ、くるみの姉妹も、それぞれに、ひとりひとりが違った個性。違った個性が、みんなよく、そしてなにげない日常を背景に、素直な交流をしている。そのささやかで気持ちのいい光景がよいなと思う漫画であります。

『ベツ×バラ』、モノ買いまくる時って、愛が枯渇してるんだそーっスよー。げにまっことそのとおり。反省はしない。『ふたご最前線』。新一年生になった子らの、一生懸命に通うんだけど、がんばりきれないっていう、そうしたところ、可愛いなあと思って、うちのちびすけはあと何年で新一年生だろう。こうして、子供の時々の成長の様子を見られるというのは、人の仕合せのうちでも、かなり大きな部類にはいるものであるように感じます。『えすぴー都見参!』は、意外にハイスペックだったSPふたり。すいません、あなどってたわけじゃないんです。しかし、このふたり、味わいのあるキャラクター。あまり目立たない、サブを固める人たちも印象にしっかりと残って好ましいというの、とてもいいと思っています。

『ゆたんぽのとなり』は、今のインフルエンザ渦を前提としてる? けれど、いつもは非常識で楽しませるゆたんぽさんが、今回は思いがけぬ常識的なふるまいをして、その意外性が面白く、そして祐二の回想がちょっとしんみりとして、しかしあの人お母さんですね。最初、お父さんかと思いましたですよ。しかし、祐二さんは果報もの。

『レイさんのお局日和』は、新人がレイさんに負けてないというか、すっかり主役が引き立て役になっているという、不思議な状況。けど、レイさんのような人には、こうした超ストレートで手強い人があっているような気がします。しかし、レイさんは困った人だな。身近にいたら、きっと大変です。

白衣の男子』は、前回の伊達の迷いの続きかと思ったら、意外やそうではなく、スポットライトは花畑に当たって、そして花畑の迷いや悩みが、前回の話、伊達の物語に合流していくんですね。思えば、看護学校時代から、新人看護師になり、そして経験を積んで、少しずつ彼らもステップアップしてきたのでした。そうした時々の節目に思い悩むことがある。そうしたことが描かれるとは予想もしていなかっただけに、意外で、そしてなんだか重みを感じさせて、悪くないです。

『ハニーtheバンドガール』、高校時代の、龍樹の結成のころが描かれて、こうして時間の過ぎてきたことが振り返られるの、面白い。特に、埴谷の、ちょっとあなどってるところ、生意気だったりするところ、今ではそんな表情見せないわけで、意外でした。面白いです。『カンヅメコーポのチリー』は、チリーが帰ってきて、一件落着。前回の時点で、こういう展開になることは予想できたけれど、予想どおりで、それがいい。次回からは、以前どおりなのかな? そんなにドラマチックでなくても、猫のいる日常がこの人独特の筆致で描かれる、それだけで充分に魅力があると思っています。

『おおつぶこつぶ』。いい扉ゴマ。動きがあって、おおつぶとこつぶの個性の違いというのが見てとれて、すごくいい絵だと思います。はじめて見た人には、これが同級生とは思われまい。落ち着きのないこつぶと、落ち着きすぎのおおつぶ、たいていこういうふたりだと、おおつぶがこつぶの世話を焼くのだろうと思いきや、実はこつぶがおおつぶのことをよく見ていたりして、おおつぶはすぐに猫背っぽくなるからなー、さりげなくフォローしている、そうしたところが光っています。ところで、雨ポンチョのふたり、齢800歳の不老不死OLビクニさんを思い出したりしましたよ。

『そこに愛がある限り』。超ドライな彼女は、こういうタイプの方が、結果的に愛が長続きするんじゃないだろうかと思ったり。愛というよりか、そこそこでも好きという感情が、夫婦や家族の情として深まるのかも知れない。いや、どうかなあ。これはきっと、情として深まって欲しいと思っている、そうした願望が書かせた文章ですね。そうあって欲しいんです。愛も情も、なにもかも、枯れ果てちまったんです。

  • 『まんがタイムスペシャル』第18巻第7号(2009年7月号)

引用

  • 師走冬子「スーパーメイドちるみさん」,『まんがタイムスペシャル』第18巻第7号(2009年7月号),6頁。
  • テンヤ「幼稚園ぼうえい組」,同前,21頁。
  • 曙はる「ベツ×バラ」,同前,78頁。
  • ワカマツアツト「おおつぶこつぶ」,同前,165頁。

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