2005年11月22日火曜日

白衣の男子

私の記憶が確かなら、岸香里は漫画家になるまでは看護職にあったはずで、その職歴からか、看護師や医療の現場を題材とした漫画を数多く出していらっしゃいます。私は看護師や医師、病院を扱った漫画が好きで、それは私の病弱だった子供時分を反映してのことだと思いますが、いずれにせよいつかは岸香里の漫画にたどり着くと、これは決まっていたようなものだったのだと思います。

『白衣の男子』は『まんがタイムスペシャル』にて連載されているショートストーリーの漫画で、スペシャルの購読を始める前に、書店で単行本を見つけて買った。確かそんな風に覚えています。なぜこれを買うにいたったかというと、私の友人にまさしく『白衣の男子』をやっているのが一人あるからです。

単行本第1巻の時点では主人公たちはまだ看護学生で、数々の失敗をとおして大切なことを学んで、 — 残念ながらこのあたりの描写は紋切り型に過ぎて、一般のストーリー漫画を読み慣れている人には面白みであるとかを感じるのは難しいかと思います。四コマ誌におけるストーリー漫画ってちょっと微妙な線にあると思っているのですが、王道であるかマンネリであるかの線引きが難しいくらいの位置にあって、ある種作者もこうした微妙な位置を理解しているのだと思います。だから、そういうキャラクターを出して、そういう話の作りをする。

けれど、『白衣の男子』は、たまにぐぐっとくる力を発揮するから侮れなくて、それはこれまでにも何度もあったのですが、今日発売の『まんがタイムスペシャル』。2006年1月号を見て、通勤の車内、すんでのことで涙をこらえることができませんでした。

駄目かも知れないと思いながらも応援を続けるということ。同じく理解しながら、その応援に応えたいという気持ちを発揮して — 。これを見てきれい事だという人もいるかも知れないけれど、私にはそれでもこたえました。人間の無力を思い、けれど無力だということを逃げ道にしない。そういう態度が胸を打ったのだと思います。

『白衣の男子』、私は好きな漫画なので、続刊を待ち続けています。いつか出てくれれば、きっとどんなにか嬉しいことだろうと思います。

  • 岸香里『白衣の男子』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2001年。
  • 以下続刊

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