2005年11月3日木曜日

Beethoven : Bagatelles played by Glenn Gould

 最初に一応断っておきますが、私のこのBlogにおいてやたらとグールドが出てくるのは、私が聴いたことがあるのがグールドくらいだからという、非常に薄弱な理由で、グールドこそがお勧めですぞ、といっているわけでは決してないので、あしからずご諒解いただけますとありがたいです。

と、そんなわけでグールドのバガテル。私は、自分の持っているCDをCDのまま聴くというのはほとんどなくて、iTunesに読み込んだものを全曲シャッフルして聴くという、そういうスタイルが普通です。こういう聴き方をして気付くのは、意外と自分の知らない曲が多いということ。買っただけで聴いてなかったというものもありますが、何度も聴いたはずなのに、気付いていなかった側面にはっと光が当たるような体験もありまして、なかなか侮れません。と、そんな具合で、はっと違った側面に光が当たったように感じたのがベートーヴェンのバガテルです。

私が今回気付いたとかいっているのは、バガテルは作品126の4曲目。h mollでPrestoのやつ。これ、ものすごくポップなんですよ。なんか別の作業やっていて、鳴っている曲に全然注意を払っていなくて、そうしたらすごくポップなピアノが聴こえてきて、おや、と思った。てっきりSony ClassicalのGreat Performances, 1903-1998あたりかと思って確認したら大間違いで、修論書くときに何度も何度も聴いていたはずのグールド。あれまあ、全然意識せずに聴いていたのかい!? いや、そんなことはないつもりなんですが……。

バガテルOp. 126 No. 4ですが、これ、全編がポップというわけではないんですよ。どっちかというと重厚な感じではじまって(まあグールドの演奏は、全体にスタッカートがかってますが)、けど途中曲調ががらりと変わってむやみにポップな感じになって、まあまた元の感じに戻るのですが、この変わりようがすごい。好対照というか、ちょっと思いがけない変化があって、実に効果的で、やるじゃん、ベートーヴェンって感じですよ(私、何様?)。

このポップな感じですが、ことさらグールドのせいってわけでもないと思っています。演奏者によって雰囲気はそりゃちょっとは違うでしょうが、この曲のベースにあるコケットリーはきっと変わらないはずです。ちょっと重厚で、真面目ぶった部分があったと思えば、ポップな曲想が飛び出てきたり、メロウで美しいパートがそっとあらわれてきたり、ほんの五分ほどの小品なんですが、やっぱり侮れません。

危ないですね。ここで古典派なんぞにはまりだしたら、また爆発的にCDを増やしかねません。危ないですね。

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