2005年11月6日日曜日

ひまわり

 私は集英社の雑誌『YOU』を年間購読しているのですが、この数年、私の好みとは傾向を違えた漫画が増えてきて、どうにも読むところがなくなってきたものだから、更新はしないでおこうと思ったのです。ですが、そう思った矢先に市川ジュンの『ひまわり』の連載がはじまって、いやなタイミングで好みの漫画を投入してきやがると、一年間の購読延長をしたのです。

こうして私を捕まえた漫画『ひまわり』も、めでたく終了し、先日単行本も発売されて、もちろん私は単行本も押さえました。集英社での連載だからか、近代ものの料理もので、楽しく読んで、けれどこれだけ早く終わってしまったものだから、ちょっと物足りなくもあります。

『ひまわり』の主人公はちょっと勝ち気で前向きな女性で、実に市川ジュンらしいヒロインだと思います。一念発起し、戦後の焼け跡に亡き父の起こした食堂を再建しようと奔走するヒロインの生き生きとした強さにはほれぼれとさせられて、あんまりにとんとん拍子すぎやしないかという展開も気にはなりません。あるいは、若く美しい男性たちに取り巻かれるヒロインという構図。そういった、実においしい状況、お膳立てがあって、それでどうしてここで終わるのかなあ。

と、多分集英社は単行本の売れ行きをはかっているのだと思います。これが売れて、人気のシリーズになりそうならば、また単行本一冊分くらいの展開をしてみせて、それを売れている間だけでも繰り返すというのでしょう。最近はそういうやり方というのが目に見えて、失敗しにくいので出版社としてはやりやすいのかも知れません。

私は『ひまわり』を読んで、まだ続きが出るなら読みたいなあと思って、けど続けば『YOU』の購読をやめるきっかけを失いそうで、だからちょっと危険かなあって思います。でも危険でも、この話が続くなら読んでみたいと、そう思うんですね。好きというのは、本当にしようのないものです。

  • 市川ジュン『ひまわり』(クイーンズコミックス) 東京:集英社,2005年。

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