『まんがタイムきららフォワード』発売です。表紙は里好の『トランジスタティーセット — 電気街路図』。初夏を感じさせるさわやかさが大変によい感じです。ページをめくったところ、読者プレゼントの図書カードを見れば、人物と背景の重ねかたが違うことが確認されて、文字やロゴに対し配慮する必要の少ない図書カードの方がずっと人物を押し出した構図になっているとわかります。背景にある建物は、なにがモデルなんだろう。オメデンと読めますが、なにかのもじりだとしても、私にはちょっとわかりません。あの高架からして、秋葉原の代表的なスポットだと思うんですが、なんせ秋葉原には一度しかいったことないからなあ、わからんとです。で、ちょっともやもやするんです。
『S線上のテナ』が、いったん落ち着いて、これから日常に回帰していくのかなと思っていたら、いやいやとんでもない。まだこれから大きな山がありますよ、それこそこれまで以上のことをやりますよ、そんな雰囲気でありまして、これはちょっと楽しみにしたいところです。しかし、この漫画は意外に恋愛が大きな位置を占めていて、いや、意外でもなんでもないか。あちこちにそういう動きがあって、しかし成就したりしなかったり、最後のピースが足りないからあえて動かなかったり。そうした多様な恋愛模様も見どころなんだなあと思ったのでした。
『トランジスタティーセット — 電気街路図』、面白いなあ。今回は、ロボコン編といってもいいのかな? それともそれがメインストリームになるのかな? わかりませんけど、その導入といった具合で、なんだかそれがすごく面白そうだぞ。それも、ただロボコンにチャレンジしますっていうだけでなく、ヒロインすずのもやもやを押し流して、そして一歩を進ませるような、そんな流れになりそうで、それも今のありかたを捨てさせるというようなことにはならないんじゃないか、そういう期待がされるから、なおさら楽しみにしたく思うのだと思います。それはそうと、背の高い女子、エミ太くんですが、大変に魅力的。ハンサムな女子ってやつですね。素晴しいです。
『執事少女とお嬢様』は、どちらが執事になるのかなと思ったら、やっぱり順当にヒロインが執事でした。なんか、四コマ描くときとタッチを変えてるのでしょうか、輪郭含めて線が強くて、印象が変わったように思います。
『少女素数』の裏表の激しい家ってやつですが、ああいうの初めて見たとき、すごく衝撃でしたよ。うわあ、すごくモダンな建物かと思ってたのに、実態は日本家屋なんだ! そのギャップ。建物の見端ってのは、なんとでもできるものなんだなと感心したものでした。さて、漫画のキャラクターにおいても、見端というものはなんとでもなるわけですが、この漫画に関しては、描かれている特徴はそのままその人の外観を捉えてるみたいですね。ヒロインふたり、金髪茶色の目のあんずと、黒髪青い目のすみれ。ドウナガニンゲンモドキ。けど、そうだからこその魅力というものもあるから、もうなんともかんとも、これ以上はあぶなくなるのでしゃべらない。
金髪や碧眼という設定においては、遺伝の劣性だとか優性だとかいう議論があるみたいだけど、この作者に関しては知らずにやっちゃってるってことはまずありえないと思う。だから、そのへんにつっこむのは危険なように思えます。色素に関しては単純に優性絶対といいきれるのか、これ私は自信を持って、絶対そうなる、このふたりのようなケースは絶対に生じないといい切れるほどに詳しくありません。というか、調べれば調べるほどにわからなくなるといった感じ、だって現実にそうでないというケースがあるみたいなんですもの。やーい、知ったかぶりして間違ってるじゃないか、この頭でっかち野郎めといわれかねない。そして、それ以上に、あえてやっている設定にしたり顔でつっこむという無粋をやらかしてしまうという危険性、こっちのほうが深刻かも知れません。
雨の中でのふたりの探しもの、その所在は176ページで明らかにされているのですが、それがいつぱっクンの袋に入ったのだろう。それはちょっとさだかではない。しかし、今はまだ人物や設定を少しずつ紹介しながらの導入部と感じるのだけれど、この後、こうしたものがどう発展していくんだろう。ただ、この少女らのいる日常が描写される、その表現を楽しむ漫画として落ち着くんだろうか。先のことはわからないけど、どう転んでも自分には問題ないなという気がします。
『温泉惑星』は、温泉で眼鏡を外さなかったら、フレームやレンズが傷む……。などというのは無粋というものです。というか、あえて眼鏡というのがよいのだと思う。というのはさておいて、サンタモニカスタージュースが3箱しかできないのなら、それでこそ幻のジュースとして売りにできるんじゃないか、なんて思ったのだけれど、相当の価格を付けないと労力に対してペイしないのか……。商売って難しいな。そう考えると、今、世界に向けて出荷されているものというのは、すごいのだな。いや、サンタモニカスターの効率が悪いだけなのかな。真面目に考えるというのは、時に面白いけど、たいていは無粋です。
『天秤は花と遊ぶ』は、愁が頭に猫をのせていて、あんなマスコットキャラ、いたっけ? と思ったけど、ああ、猫かぶってるんだよ。これまでにも何度も出てたじゃないか。自分の察しの悪さに絶望です。女学校ものらしいイベント、花愛会のおしらせがあって、みんなでお菓子を作って持ち寄って食べる。いや、メインは花と親睦だそうですが、どうしてもお菓子で親睦がメインになるよな。え、ならない? 意外に作れる謡子と、反対に意外や駄目な愁。その愁が、会に出ざるを得なくなるというその流れ、秘密がばれてという、そこの見せ方、花瓶に花が生けられていないというところなど、そのひっぱりはよかったです。愛華もよかったです。椿を背負って、その自信満々の美しさ。けど、すっかりギャグキャラ。でもいいや。ゼリエースでも問題なしです。
それはそうと、この漫画の制服の、スカートの表現がカラーを思わせて、とにもかくにも素敵だなと。カラーというのはこういう花です。
『メガミのカゴ』の、漫画的展開に持ち込む、そうした仕掛けを排除するとこうなるというのが表現されて、漫画的誇張と対比される、そうした構図、面白かったです。でもってCD! 『空色スクエア』、この漫画、とてもいいな。記憶喪失のヒロイン、深雪の不安や心痛と、彼女に与えられた回答の素敵であること。人は、今が不安であればこそ、それを受け入れて、肯定して欲しいと思うものなんだろう。変えることのできる今ならともかく、そうでないからなおさら、なのだろうと思いました。うん、いい漫画です。主人公がいいやつだなあ。
『乙女王子 — 女子高漫研ホストクラブ』は、今、なんでか知らんけど、ものすごく期待しながら読んでいる漫画で、しかし山は次回、今回はその振りだ。ああ、次号が楽しみです。『銘高祭!』は、問題もとりあえずかたづき、銘高祭のテーマも決まって、一段落ついたという感じ。悪くないです。波乱があって、落ち着いて、そしてまた波乱があるのかな? コミックスは6月12日発売。もちろん買うつもりです。
『ダンナ様と呼ばれても』は、『ろりーた絶対王政』の三嶋くるみの読み切り。この人の短編は面白いなあ。短編集、出してくれないかなあ。なんて思う。以前、『フォワード』に載ったのがよかったんですよね。今回のは、16歳女子高生で妻というのもファンタジーなら、その妻に対して手を出せない夫というのもまたファンタジーで、でもそのファンタジーがいいじゃないか! ええ、この人の、ちょっとファンシーな漫画、それが好きなんだと思っているんですね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第3巻第7号(2009年7月号)
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