『まんがタイム』2010年5月号、発売です。表紙は『おとぼけ課長』が連載350回を達成したことを祝うムードにあふれています。『みそララ』の面々は課長家族のコスプレをして、天子様たちは鏡割り。そして『わさんぼん』は紅白饅頭であります。ページ開けば『おとぼけ課長』第1回目が再録されていまして、ああ、確かに昔はこんな感じの絵だったとちょっと懐しいです。30年続いている。それは本当にものすごいことです。それでもって、今も面白いっていうのが、もっとすごい。350回にまで到達されましたこと、本当におめでとうございます。
『ラディカル・ホスピタル』、なんと瀬尾先生、耳下腺炎ですよ。感染発覚の場面、榊先生が実に頼りになるといった感じにかっこいい。これまで、病院のスタッフが急病っていうのなかったように思うのですが、もし急病ともなればこうなるのか。スタッフ一丸となって、心配すべきところを心配する。その意識が共有されているようなところはいいなと思う、同僚を心配するというところも、それから仕事ものとしても、いいなと思ったのでした。今回は内科のスタッフも結構出てきて、内科の師長、どっしりと落ち着いて素晴しい。いいキャラクターだなあ、本当にそう思います。そしてラスト、瀬尾先生、しっかり腫れ上がってる。ぱんぱんでまるまるです。
『わさんぼん』の京都のことば。あの、いや、っていうやつ。『おこしやす』を読んでる時も思ってたんですけど、このいやっていうの、私もよく使ってるんですよね。けど、この語感、どれだけ通じてるんだろう、よく考えるんです。ほら、25ページで草太のいういや?
とは違うんですよ。否定の意味はなく、どちらかといえば肯定的な驚き表現と思うのですが、こういう京都のことばの文脈で使われた時ならまだしも、私は一応標準のことばっぽく書いてますから、誤解されたりしてるんじゃないかなあ、なんて思ったりするんですね。
さて、今回の『わさんぼん』、草太、実にいい感じです。萩くん相手にしゃべりながら、咲良へのお返しを考えようとしているところ、草太の方向性のはずしっぷり、このへんで駄目な感じを押し出して、しかし実際に作るとなったら器用で優秀、かっこいいとさえ思えてしまう。このあたりのバランス感、よろしいなあ。木型のくだりとか、本当によかったです。そして東さん、いい感じのお姉さん、こういう感じの人、私、大好きです。いや、ほんとうに大好きです。
『マチルダ! — 異文化交流記』は五月の節句、こいのぼりをはじめ、兜かざりやらいろいろ扱って、それに対するマチルダのちょっと外した解釈や、問題行動、面白かったです。マチルダに付き合ってあげるあや、この人は本当にいい娘さんだなあと思います。
『天子様が来る!』、こちらでもこいのぼりですが、吹き流しの説明、たしかにあれよくわからないものでしたが、だからといってああいう解決をするかと。この強引さに感動です。そして和尚様。素晴しい。この人、フォースもなかなかだったりするのかな。いや、もう本当に素晴しいです。そして結婚資金の話。将来の夢がついえるだけでもつらいのに、さらに追い討ちといった感じ。むごい。この感覚、最高です。
『ねじゆるゆる』、だんだん面白くなってきました。面白さの度合いが増してきたのか、自分が馴染んだのか、それはわかりません。扉絵はかわいく、内容はちょっとシニカルでナンセンス。そのナンセンス度合いがいいのです。でも、ねじこってネコ型だったんだ。でしたっけ? 最後の毛玉吐くところ、この奇妙なノリ、いいなあって思います。
『はこいり良品』、ケンジがなんだか前向きだよ、おい。なしくずしになんとなくでいくんじゃなく、戦略考えて動き出してるところ、なかなかやるじゃんと見直し中です。しかしこのふたり。恋愛的関係のどうたらこうたらとか、あんまり似合いそうにない。最初から熟年夫婦っぽくなるのかなあ、と思ったところで、『あかるい夫婦計画』が思い出されました。ああいう感じになるのなら、熟年カップルもよいなあなんて思いました。そして二階は倉庫。これは恐しいです。いつか抜けそうで怖いです。
『ちょうほうケイ!』、袖山リキの新作です。なんと可愛い主人公! と思ったら、わお男なのか。いや、性別なんて小さなことは気にしません。製薬会社のスパイもの、とはいうけれど、シビアさなんて皆無、ゆるく、のんびりと、おかしくほのぼのです。こういう雰囲気、いいなって思いますよ。面白くなりそう、そんな気がするものですから、ちょっと期待しながら読んでいきたいと思います。
『すいーとるーむ?』は会社のルール、ちょっと不思議な修繕に関するルール、ポイント制になってて、ポイント貯めきった人が文句いわれる役になるっていう、ちょっとそれ罰ゲームじゃないですか。そして工事部の人、なかなかにいい感じ、妙に打算的で、けれど仕事はきっちりしてるっぽい。こういう会社の風景描かれるところ、好きなんです。面白かったです。
『アサヒ! — 動物園に行こう』、動物がどんどん増えて、しかしそのどれもが一癖あるっていうのがいい。カンガルーの知世。無邪気に見せて、全然そんなことないっていうところ。太郎が打算をちゃんと見抜いてるっていうのはさすがです。そしてラストの四郎のエピソード。こういうの、少ない説明でしっかりと表現しきってるところとか、漫画として落ちまできちんと成立させながら、そこにプラスアルファされる感情のあるところなど、この作者らしいうまさだなあと思います。いい話。ええ、とてもいい話でした。
『みそララ』、麦田さんが可愛くってしかたない。扉が可愛い、助手席で可愛い、コテージ見て可愛く、パンツ見られて可愛い。いやほんと。今回は麦田さん回だなあと実感しつつ、ちゃんと面白さも保証されているところ、さすがです。梶浦さんとの攻防なんてね、いやもう面白くて、しかし彼の足うんぬんいう発言ね、あれはもう照れ隠しだと思いたい。
『放課後のアインシュタイン』、新部員!? と思ったら、他校の生徒だった。いや、でも、またなんか変わった人登場して、ちょっときつめのお嬢さん、いや、こういう人も魅力的だと思います。しかし、ちゃんと実績出している人。対してこちらのサイエンス部は、むしろ楽しみを追求している感じで、でも部活としてはどちらもありだと思うですよ。そして、最後にはなんとなく仲良くなっている、その感じ、いいです。とてもよかったと思います。
『めもり*ON AIR!』、前回からの続きであります。夕方のニュースの収録、かわりもののおじさんが出てきてどうしようというのだけれど、それが結果的に、身近なもののよさを再発見させるという流れになって、これはちょっとよかった、そう思いました。普段、身近にあって、当たり前と思っているものでも、それが当たり前ではない人にとっては魅力的なものなのだ。こうした気付きのあたえられるところ、ヒロインの気付きが描かれるところ、それがよかったのでした。
『小悪魔ティーチャー』、最終回でした。好きな漫画だったんですよね。って、いや、眼鏡ヒロインだったからじゃない。姉妹三人ともに、みな可愛くて、キャラクターの違いもちゃんと描かれていて、そして長女明理の、ちょっと迷惑で、ちょっと暴走気味で、けれど自信満々に見せながらも決してそうではないところ、それが好きでした。最終回は明理の自信喪失から復活までを描いて、うん、やっぱり魅力的だったなって思って、ええ、やっぱり好きなのであります。もうこれで見納めなのかなあ。
『安堂友子の生きてます日記』。猫がいい味出してるなあ。犬も猫も怖れないっていうところ、まさに部屋飼いならではだなあと思って、しかし猫、ほんとうにいい味出してます。
- 『まんがタイム』第30巻第5号(2010年5月号)
引用
- 佐藤両々「わさんぼん」,『まんがタイム』第30巻第5号(2010年5月号),25頁。
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