2010年4月10日土曜日

『まんがタイムきらら』2010年5月号

『まんがタイムきらら』2010年5月号、昨日の続きです。後半、『境界線上のリンボ』が終わって、広告をはさみ、『かみさまのいうとおり!』から、であります。

Sweet Home』も身体測定回であります。こちらには明快なテーマがあって、それはわか姉なのですが、背の小さいことを悩んでいる。いかに大きくなるか、大きく見せるか、よい数値を記録に残せるかにチャレンジするという試みの数々が、切なくけれどひたむきであるだけに面白かったです。ぎりぎりの直前になってもあきらめない、ごく僅かな、ごくごく僅かな上乗せのためにも全力を尽くし、けれどすべてが通じない。それだけだったらよくあることかも知れないけれど、葉澄さんと同じ環境にあって伸びた人がいる、同じ環境なのに効果のない人がいるという明快なコントラストが、わか姉の努力の通じなかったことを後押しするものですから、本当に面白かったです。そしてわか姉の悩みの解決、価値観の変更が、また違った悩みの種になるという、この宿命めいたラスト、ここにも見えるコントラスト、大変面白かったです。

『アビスライフ』、ゲストです。深海の生物擬人化ものであるのですが、ヒロインがダイオウグソクムシ、おおう、それだけで受け付けない人も出そうな設定でありますが、絵を見るかぎり問題なし、ちょっとデフォルメ可愛い系です。キャラクターは他に、フクロウナギやコウモリダコ、ジュウモンジダコ、そしてシーラカンスと、好きな人にはきっとたまらんものがあるのだろうなと思わされる面々であります。ただ見た目がそれっぽいだけでなく、それぞれ元になった生物の特徴が持たされているのも面白いところで、フクロウナギの一貫したキャラクター付け、こういうのとてもよかったです。自分の気にいったのは、ダイオウイカの件、マッコウクジラに……、っての。ああ、捕食されたんだ。そして、ジュウモンジダコの行方……。見た目は可愛いけれど、結構ブラックでハードだぞ。こういうところ、なかなかに好みなので、この路線でやっていただけるなら、きっと楽しんじゃいそうです。

『Clover Bear』、ゲストです。伯母が理事長をやっている女学に編入してきたヒロイン。メイド科があるなどという、なかなかに面白い設定でありますが、そのメイド科設立の経緯がちゃんと語られるっていうところ、こういうのいいなって思いました。しかし、校内の労働によって、奨学金の一部を返済するというシステム、面白いなあと思って、現実的には難しいでしょうけど、探したら似たようなのあったりするかもと思わせるような感じがあるのが好感触でした。それでもって、ヒロイン有栖川奏が友達を求めているというところ、そしてその候補が現れたところ、第1回はそれが提示されたところで終わりでしたが、うまくころがっていけば面白そうかも、そう思わせてくれるところ、よかったです。

PONG PONG PONG!』、祐太の置かれている状況の、ぱっと見には理想的で、けれど実際には全然そうではないというギャップ、うまく表現されていていい感じであります。しかし、祐太にとって、高坂先輩は身近にあって嬉しい女子ではないんですね。まあ、気持ちはわかる気がします。さて、今回は、というか今回も江上さんの奇行が目立つけれど、それ以上に祐太のネガティブに振れる自己評価が切なく、そして面白かったです。結構、というかかなり、祐太は酷い目にあってるけれど、それがあわれでありながら面白いのは、なにか同情なり共感のようなものがあるからなのかも知れないですね。ええ、祐太、今回もいい味出していました。でも、一番の立役者は真由のような気がします。

うぃずりず』のおじーさん、入院。おおう、えらいことになったぞ、と思ったのだけど、決して楽観はできないものの、まあ大丈夫らしいという雰囲気、ああよかった。扉絵に見る爺さんとリズ、こういう関係がいいなと思うものですから、どうか悲しい話には振れないで欲しい。そう願ってしまいます。今回は、爺さんとリズのこと心配してお見舞いにいった連中の、無事とわかったら結構酷い態度っていうの、一見ろくでもないんだけど、心配して、大丈夫と知ったらいつもどおり、いい関係なんだな、そんな感じもしたものでした。リズがお師匠さんのお宅に泊まる、これは次の展開へのステップになるんでしょう。なにが語られるのか、それは直接には描かれないかも知れないけれど、なかなかに楽しみです。

『相沢家のえとせとら』は、キャラクターの個性を前面に押し出した展開ではないため、少々大人しく、けれどキャラクターを把握していなくても面白いと思える、そんな回でした。私は、休載明け以来、どうにも踏み込みにくいと感じるところもあったため、今回はその関係修復というか、キャラクターに親しんでいくきっかけになるという感じがして、実によかったです。あのドレープ、ドルマンの流れなど、大変によかったです。

『さかさましすたーず』、姉が小さく妹が大きい、ゲストです。姉は見た目に小学生、天真爛漫なところもまるで小学生というの、ちょっとやりすぎとも感じつつ、全体には妹のしっかりものであるというところを過剰に描きながら、実際には中学生で、姉は高校生でという様子描いて落ち着かせる。このへん、よかったです。設定なんかは実際よくあるものなんだけれど、そこにキャラクターの特徴うまく絡めて違いを出せれば、面白くなったりしそうなんじゃないのかな、なんて思いました。

そして、My Private D☆V、『あっちこっち』の異識登場です。萌えがよくわからないという告白にはじまって、自分の好きなシチュエーションが語られるというの、確かに視覚に訴えるというよりも、その関係を思い、いいなと思わせる、そういった感じ、わかるなと思いました。思えば、こうした傾向は『あっちこっち』にもあるなあ、そう感じられたものですから、なかなかの説得力でありました。

  • 『まんがタイムきらら』第8巻第5号(2010年5月号)

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