2010年4月24日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2010年6月号

 『まんがタイムきららフォワード』2010年6月号、発売されました。表紙は『トランジスタティーセット』。この人の描く表紙はいいなって思います。前面にキャラクターがいる、その後ろには街が広がっていて、街もまたこの漫画における大切なキャラクターのひとつであるのだというかのようなありかた、それがとてもいいと思うのです。今月の表紙は夕刻でしょうか、あかく染まった、暖かみ感じさせる色合い。悪くないと思います。

『Good Game』、新連載とのことですが、これ、『コミックギア』に掲載されてた漫画ですよね。たしか、2話掲載されたんでしたっけ。だから、新連載とはいうものの、実質第3話目であるはずです。そんなわけで、いまいち状況がわからないっていうのは、ほんとどうしたものでしょう。せめて、これまでのあらすじを用意してくださらんものだろうか。いや、ほんと、そうでないとこれから読む人間、なかなか踏み込んでいけるものではありません。読者にとっても、作者にとっても、不幸な連載開始となった、そのように感じています。

となりの柏木さん』、先日発売の単行本の続きですね。主人公桜庭のいう別に僕が送らなくてもという気持ち、ああ、なんかわかります。と思ったら、彼のこの気持ち、私のものとはちょっと質が違うみたい。とはいっても、根っこには同じものがあると思われて、それがどう意識にのぼるか、そこが違っているのだろうなと、そんなこと思わされました。でもって、柏木さん、泣く。おーまい、なんてこった、謝るから泣きやんでおくれ。私が謝っても意味ないのですけど。これまで、情報を秘匿していたことで、少し優位な立場にあった彼女が、その情報を伏せていたということで、追いつめられることになったのかな? これまでにはなかった、彼女の気持ちの表され方に、なんだかドキドキさせられます。

少女素数』、おかあさんが妙に可愛くておかしかった。今回は、すみれ、あんずのふたりだけでなく、お母さん、そして桐生さんも登場、よく動いて、実にはなやかでした。イチゴ柄のスカート、これ取り出した桐生さん、これは完全にこの人の趣味なんでしょうなあ。ところで、桐生さん、名前は梗子、姓にも名にも植物ですね。搗栗という姓にも植物。ということは、富士夫って名前、富士って藤、もしくはりんごの品種だったり? 物語は、なにごともなく、平和に平和を重ねるかのようで、こういう平穏、よいです。

純真ミラクル100%』、この漫画で一番可愛い人は、絶対に二宮さんです。今回も、あのお姉さんふたりに振り回され気味に、モクソンにやさしさ振り撒いて、いや、もうほんと、いい人だ。この人大好きです。そして、この楽しげな情景、こういうのが描かれる理由というのもわかる気がして、それはつまり、この後に厳しい状況に投げ込まれるということなのでしょう。その変転、ついにはじまった、そんなラストの見せ方、ああ、この人たちの楽しかった状況、どうなるのだろうと、不安になってくるんですね。それはつまり、しっかり引き込まれてるってことです。

『わくてか☆Chu!』、ゲストです。動画サイトにて、歌唱動画を公開してる。そんなヒロインであるのですが、正直なところ、惜しかったなって思っています。ヒロインの動機がいまいち弱くて、またヒロインの相方に対する不信めいた感情、それもいまいち消化されていないって感じがして、それから先輩についてもそう。身近なファンが、もっと見たい、頑張ってっていうのは自由だし、いいと思うよ。けど、その言葉に揺り動かされるヒロインの気持ち、それがきちんと描かれてない、ただ勢いに押し切られてうやむやになっただけ、みたいに感じられて、惜しかったなって思うんです。悪くいえば、再生数が欲しい相方に利用されてたヒロインが、無責任なファンの発言に後に退けなくなった。他人のエゴに振り回されてるだけに見えてしまうんです。

ヒロインに、中傷されてもなお私は歌いたいんだ、動画サイトで歌いたいんだっていう、そんな動機が感じられたらよかったのにと思います。歌うということや、それを公開すること、それらは自分にとってどんな意味があるんだろう、そうしたことに切実に向き合うようなところがあったら、きっとずっと違ったろう。なんて思ったのでした。

引用

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