2015年8月17日月曜日

『まんがタイムきららミラク』2015年10月号

『まんがタイムきららミラク』2015年10月号、発売されました。表紙は『城下町のダンデライオン』。葵様と茜様が水着姿でツーショット。豊かな葵様に対照的な茜様のラインがまた美しくいらっしゃる。ああ、茜様は最高だと思います。余裕のある? 穏かな笑みを浮かべる葵様と、ちょっと緊張して、口元もおずおずと、弱気な表情の茜様、それがまた愛らしいのでありますね。

城下町のダンデライオン』、葵のエピソード、クライマックスですよ。彼女の秘密。相手に命令を強制する能力、絶対遵守。もしかしたら、自分は、自分の友達にも命令を強制してきたのではないか。それを怖れている。そのことを知られることを怖れている。そんな彼女が、国民の前で最後の選挙演説をしようという時に、本当の能力が明かされようというのですね。あたりさわりなく、演説を終えようとした時に介入してきた父王。国民の前で葵の本当の能力をばらしてしまおうという父に、やめてと命令した、その言葉が効かない。その理由が明かされて、ああ、葵の心の重荷がとれたというんですね。この漫画、ひょうひょうとして、なんかいいかげんそうなこの父が、実はよく家族のことを考えている、そうしたところ折りに表現される、それがいいと思う。中でも、今回は屈指だったのではないでしょうか。一番我慢して、一番自分を殺してきた葵が、やっと自分の本音を語ることができるようになった。その堰を切ったかのような感情の奔流は、本当に素直で、それだけに読み手の心にも届くものになっていたように思うのですね。ええ、こんな展開になろうとは思わなかった。選挙戦、そのクライマックスの最序盤にここまでの山があるとは思わなかった。ええ、見事に心打たれました。素晴しかったです。

『ミソニノミコト』、ミソニと出会ってからもう二ヶ月になるのですか。そのせいか、神様や神社のことがわかるようになってきたという瑞穂。それはいいんだけど、肝心の願いである受験、その方面はどうもからっきしっぽいんですね。出会った神社で、朱印帳に朱印を貰って、おみくじひいてと、そうしたら、それに嫉妬するミソニノミコトとかね。ほんと、神様らしくない、というか、日本の神様とはもともとからしてこんな感じか? 人間くさいっていいますかね、けど、それがいい味になってると思ったんですよ。翌日のマイタケの神社でのもろもろも面白く、この漫画は人に神様、皆がチャーミングだな、そう思う。そしてそろそろ秋祭り。皆を誘いましょう。それでネットゲーム中のツクヨミにも声をかける。って、ああ、ネトゲにおはまりなんでしたっけ。これ、ツクヨミ様、ミソニたち、あるいはウカノミタマに出会った時、どうなるんでしょうね。なんか大変なことになりそうな予感ですよ。

アンネッタの散歩道』、うおお、今回はディンクの話。このところの怠惰な日々に疑問を感じて修行の旅に出るというんですが、ディンクの不在に誰も焦ったりしない。これって、ディンクの影が薄いから? それともしっかりものと信頼されてるから? どっちなんだろうなあ。さて、ディンク、靴屋を発見、そこの店主の物言いにいろいろ思うところあって、腰を落ち着けてみるんですね。偏屈な爺さん。その姿に、自分を省みる。変化が怖い、新しいものが怖い、だけど本当は……、というその先には、もうすでに変化を受け入れ、新たな一歩を踏み出しているディンク、彼のその心のありようが広がっているのでしょう。老靴職人とディンクとの共同作業。少しずつ作られていく靴、まるで競争するように、自分の意思を込めるようにして、作っては渡し、また渡されるそのリレーの先に、靴を作るということ、その本質に近付かんという、その描かれかた、素晴しかったと思うんですね。この靴作りはメイヴの手紙と一緒だ。あの、ディンクの笑顔の眩しさ、素晴しくて、そして老靴職人にも光が見えたのでしょうね。ちょっとしたエピソード。小さな出会いと、けれどそれが導いた新しい世界への道筋。とても美しい物語であったと思います。

『櫻学心霊相談部へようこそ!』、ゲストです。学校の噂、心霊相談部を訪れた女の子。相当な勇気を振り絞ったようなんですが、その部活の様子は、バドミントンで遊んだり、だらだらぐーぐー寝てる人がいたりと、どうもしっかりしたものではないみたいなんですね。心霊相談部というだけあって、相談にやってきた子は心霊現象に悩んでいる。とはいえ、その内容は物がよくなくなるというもの。それだけじゃ霊の仕業かわからないというんだけど、ほう、なるほど、この部室に入れるのは心霊の相談がある子だけって設定なのか、って、設定といってるだけか、本当にそうなのかは不明な感じですね。そしてやっぱり現象は霊によるもので、しかし悪い霊ではなかった。昔、少しだけ世話をしたことのある野良の子猫、その子たちの霊がお別れにやってきた。そうした、霊だから怖いという話ではなく、ちょっと人の情、今回は猫ですけどね、そうしたもの感じさせてくれるという感触でありました。

『響ちゃんはほっとけない』、ゲストです。そしてこちらも霊なのですね。日常のあれこれに失敗してしまう、ポンコツ気味の女の子、宮野冬羽には、いろいろ世話を焼いてくれる女の子がついている。それが響。私の親友、なんていうんですが、その姿は誰にも見えない。守護霊だっていうんですね。あー、それはちょっと意外な展開。だって、ずっと、一緒に転校してきたのかなー、なんて思ってた。ええ、そうじゃなかったんですね。これ、ポンコツ冬羽を響が世話する、そんな漫画かと思ったら、意外やもっと動きのある? 広がりを持ったものになりそうな予感です。クラスの皆からも見えるようにした響。そんな彼女が冬羽と一緒に、先生に取り憑いていた悪霊を退治したりする、ええ、結構ダイナミックな展開にちょっと驚いたのでありました。可愛いキャラクター。さらに響は変身したりして、そしてこのクラスの一員として学校に通うことにもなって、学園ものと、そして心霊もの、その両立が期待できそうな感じであります。

  • 『まんがタイムきららミラク』第4巻第10号(2015年10月号)

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