『まんがホーム』2015年9月号、昨日の続きです。
『敗者復活戦!』、古書店での仕事が、なぜか古い荒れた家の掃除、片付けすることになって、ああ、なるほど、本の買取で出張してきたんですね。その家というのが、ずっと誰も住んでなかったせいで、すっかり荒れてしまって、肝心の本も傷んではいるんだけど、引き取れるものも結構あったみたい。ともあれ、しっかり片付け、とにかく夕記が頑張っていて、対し月穂サマ、ニーナはなんとか仕事を避けたい模様です。あの帰りの車のこと。古書店店長の車は書籍一号になった、だからお前たちはバスで帰れ。じゃあ依頼者の車は? となると、こちらは書籍二号。このくだり、おかしかったなあ。またここのバスというのが本数少なくて、あと2時間もある、かといってのんびりして乗り遅れでもしたら大変なことになる。そのバスの時間の攻防を巡る三人のやりとり。それがおかしくて、ええ、皆、それぞれに自分の思っているところを包み隠さない。この素直なところ、協調性こそないかも知れないけれど、悪くない、むしろ美点と思うのですよ。気持ちのいい、そんな人たちだと思うんですよ。
『200年の夜と孤独 — おひとりさま吸血鬼』、今回はお盆の話。死んだ人も帰ってくるよ、って、そういう話だったんですが、それがまさかのバイトくんに訪れて、見知らぬ可愛い女の子。浴衣なんか着ちゃってね、そんな彼女がバイトくんに、千太郎くんといって話し掛けてくるわけですよ。違う誰かと勘違いしてる。人じゃないなにかなんだろうなあ。月夜野さんのご同類なのかなあ。何百年と生きてきた、そんな人なのかなあ。いろんなこと思って、けれどヒントは最初に提示されたお盆ってやつ。ああ、左前の彼女。襟がですよ? 左前になっていて、けれどこの子はこれでいいんだっていう、ああ、そういうことだったんですね。ちょっとした、切ない恋の、小エピソード。牡丹灯籠みたいにならなくてよかった! いや、バイトくんには牡丹灯籠でもよかったのかも、なんて思ったりもするんですよね。
『うちの秘書さま』は、はじめ負傷にて、皆で看病の日々ですよ。右腕を折っちゃった。体育祭の当日、朝、登校途中に折っちゃった。この、体育祭で頑張ってってわけじゃないところが、はじめ様だと思います。ええ、七瀬もいうとおりです。メイド連、病院に駆け付けるわ、はたまた御百度を踏むわと、はじめの負傷でおおわらわ。七瀬もいつも以上に世話焼いてくれて、はじめは嬉しい反面、嫌いなものもどんどん食べさせられるとかね、いいことばかりじゃないっていうのが、またらしくてよかったです。ノリのいいメイドたちの死屍累々、あの迫真の演技も面白かった。そして、はじめ全快を素直に喜べなかったメイドたちのとった行動。もうね、この人たち、本当に面白い。表情、押し殺してるように見えて、感情はだだもれなのね。ほんと、楽しい人たちだと思います。
『マチ姉さんの妄想アワー』、マチ姉さんがやらかすのって、物語の捏造だけじゃないんだ……。さて、この漫画の登場人物たち、改変童話の人たちのなにが面白いって、ちょっとね、人が悪いんですよね。泉の女神が、ただただ興味津々だったり、青い鳥がいたずら好きだったり、ほんとおかしいです。天国でのマッチ売りの少女。彼女のやさぐれっぷりも素晴しい。ピーターパンにネバーランドにいこうと誘われたウェンディの決断、あれもおかしい。そうですよね。男の子の国ですよね。もう、そんなカオティックな国、いきたくねえよ! そう思うウェンディ、その判断は実に正しかったと思います。人の駄目さ、というか、あかんところっていった方がらしいかな? そんなのが描かれるのがいいって思うんですね。
- 『まんがホーム』第29巻第9号(2015年9月号)
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