2015年8月27日木曜日

『まんがタイムオリジナル』2015年10月号

『まんがタイムオリジナル』2015年10月号、発売されました。表紙は『ラディカル・ホスピタル』、山下さんが紺の浴衣でしっとりと、『小森さんは断れない!』小森さんも浴衣、『らいか・デイズ』らいかはミニ丈の浴衣と、夏の終わり頃から秋にかけて、そんな雰囲気感じさせる表紙でありますよ。

『北斎のむすめ。』は、身支度、おしゃれがテーマ。お辰はともかく、お栄にはまったくもって不向きなテーマ。けど、浮世絵師として美人画描くとあっては、はやりのおしゃれ、化粧についても知っておかなければならない。版元にそういって駄目を出されたんですね。しかしそれからのもろもろ、おかしくってさ、緑の口紅や目にさす紅、この出所は絵師というんだけど、おしゃれじゃねえのか……。締め切り過ぎて版元から逃げるために変装する面々のおかしさ。美人画のためにおしゃれしてみたお栄見付けて、ぞろぞろぞろぞろ、百鬼夜行かあんたら。ほんと、見た目からして駄目で、最高でした。そしてラストで男装お栄。かっこいいじゃん。吉原に取材にいくってんですが、それでお辰がどえらい誤解をされる。ほんと、最高の展開でした。

『かがやけ!工学女子』、いいじゃないですか。マチナカにいきました。お手軽なレジャー、というんですが、どうしても機械やら技術やらに目がいって、自然勉強になる? いや、マニアなだけかな? そうしたノリのよさ、テンションの高さ、それがこの漫画の持ち味だなあと思わされるんですね。街歩き、それはただの娯楽、暇潰しではなくて、アイデアの源泉でもある。教授たちも、研究のヒントを歩いて見つけたりしてるという。その、いろいろと出会ったり、それで気持ちを刺激されたりする様子、それが見えて楽しいんですね。

『ぎんぶら』、今回いく惑星には宇宙最凶最悪といわれる猛獣が棲息しているそう。多くの種を滅ぼしてきた、そんな生物で、そうした生物から生き延び文明を発達させた種がもちろんいたわけだけど、その理由がマズかったから。微妙でわびしい、そんな理由が泣けますよね。猛獣モーミン。見た目はスライム、なんだか可愛い顔もついていて、しかしこれがあらゆる攻撃に抵抗し、移動も高速、捕えた生物を体内で消化していく。なるほど、スライムというと弱いモンスターみたいに思われがちですが、これこそそもそものスライムの脅威であるな。そんなこと思わせてくれるエピソードでした。顔に見えるのが内臓とか、とにかくがっかりさせてくれるのが見事で、またこの猛獣を観光資源にしようとして失敗してきた歴史とかね、いやいや、駄目だろう、ほんと、どんだけ犠牲出たのだろう。見た目コミカルだけど、想像以上にシビアでハードな話でしたよ。しかし、こうした展開見せながら、そこに生物の進化を語る、そうしたところ実に素敵で、ええ、SFじゃないか、そう思ったんですね。あなどれない漫画なのです。

『みつめるっ!上野さん』、うわあ、きれいな扉絵ですよ。舞台はひき続き旧暮緋宮別邸です。文化財にして美術館。なのだけれど、ここで臨時で働く上野さんは来歴やらさっぱり覚えていなくて、根津から散々怒られる。そんな上野が、ふとしたことから昭和のはじめにタイムスリップしてしまい、宮家の華やかなりし時をしばし体験するというのですね。上野はうえ乃という名でメイドとして働き、根津ならぬ津禰なるメイドもいる、不思議な状況に、けれど皆のしあわせそうにしている様、それをうえ乃が写真に残すこととなって、またこの屋敷にて働いている現在のこと、その価値をかみしめようというのですね。真夏の白昼夢、ファンタジーの色も濃い、そんなエピソードだったけど、すごく魅力的な話であったと思います。

  • 『まんがタイムオリジナル』第34巻第10号(2015年10月号)

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