2011年10月19日水曜日

『まんがタイムきららMAX』2011年12月号

『まんがタイムきららMAX』2011年12月号、発売されました。表紙は『落花流水』。散った紅葉に横になっているふたり、秋穂と水夏であります。いや、横になってるからといって、そういうのんじゃない。ふたりともに弓道着姿で、腹這いの秋穂はどこかいたずらっぽく、普通に横になっている水夏はなんだか大人しめで、その表情もあいまって、いい対照。きれいな表紙です。

『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』は記録会後半、ついに椿の出番です。3000mを走る。これまで練習してきて、けれどペースが掴めないで、それでついていこうと思った相手が椿にとっては速すぎた。自分を見失ってしまったんですね。ばてて、転んで、散々で、落ち込んで、その悔しさにひとり泣いてしまう椿の姿はしみますね。前回がコミカルだっただけに、シリアスな今回はぴしっと話を引き締めて、ああ、いい陸上ものだ。柘植さんの椿にいった言葉、ベストタイム、胸を張って下さい、これもなんていい言葉だろう。これがベスト。これがはじまり。これから少しずつタイムを縮めていけばいい。ひとしきり泣いてまた走り出す椿は、本当、応援したくなるヒロイン。きっと伸びる、きっと伸びてほしい、そう思えるヒロインであります。

『ご注文はうさぎですか?』、今回もまた素敵な扉。アラビアンナイトですね。ココアが手にしてるのはタロットかな。過剰にならないくらいに色気があって、きれい。あのタイトルの入れ方とか素敵だと思います。さて、今回はコーヒー占いです。カフェ・ド・マンシー。こういうのできると面白そう。実際、ヨーロッパやアラブなど、コーヒーが盛んな地域ではポピュラーだったりするとか? いや、そういう話、聴いたことがあるだけですけどね。

しかし面白かった。よく当たるというチノ、しかもあんなに具体的なのに! それはすごいんだけど、ココアのイマジネーション、それもすごいと思います。そしてティッピーの占い、おじいちゃんのカフェ・ド・マンシーですよね、ああいうのがいい占い、当たる占いといっていいと思います。未来のことは曖昧に、大きくざっくり予言して、現在のことは性格診断でいいから、具体的に、あるいは相手のいわれたいと思ってそうなところをいう。で、痛いところを突かれて怒るリゼがちょっと可愛かったです。で、面白いのがこの翌日からで、どんどん当たっていく予言。いや、ココアがチノやリゼ、ティッピーにいったことも、すべてココアに降り掛かってくるっていうんですね。ナンパ、降ってくるうさぎ、セクシー、水玉、投げ付けられるコイン、こうした冒頭の振りをきれいに回収していく展開、面白かったです。で、そのはしばしに現れる、絵の魅力、キャラの魅力、それがとてもよかったです。魔性千夜、ココアの水玉に気付いて戸惑う千夜、うさぎに怯えるシャロ、実によかったです。

『カレーの王女さま』、カレー部の活動です。というか、王女ヴィッキーの権力発動の話といった方がいいかも知れません。無理に認めさせる、批判が予想されると先回りして対策。怖ろしい現場です。しかし、前回からの流れですが、ちょこちょこ出てくる実在するカレー食品。ラムネ、キャラメル、今回はカレー饅頭ときて、なんでもあるものだなあ。しかしこれが面白いのは、最初は抵抗あった皆が、カレーまんを思い出したら突如平気になるっていうね、これは見事、確かにこういうことあります。そして、平広美、眼鏡でヘッドホン、今回の扉、カレーマニア。なんだかあやしげだったりもしますが、カレー以外だと割と普通の感性の人。素敵だと思います。

『こずみっしょん』は、前回のエイリアンクラフト、臣美の宇宙往還船を見せられた鈴子の気持ちの変化を描いて、これはいい話でしたね。これまで臣美のいってることを、「そういう設定」なんだと思ってた。けれど、それを事実と知って、臣美にどう対したらいいか、ちょっとわからなくなって、けれど最後には、臣美は変わらず臣美のままなんだと納得する。その見せ方は丁寧で、飛躍、唐突さのようなものは感じなかった。自然と受け入れられた、その感覚が、そのまま鈴子の感覚だったのかもなって思います。そして臣美の鈴子への感謝。このふたりの気持ちが繋った、そんなところもとてもよかったです。ところで、ハナ子は臣美の船を見ちゃってるわけですけど、これ、どうなるんだろう。どう動くかわからないところが今後への期待を募らせます。

『▲コンプレックス』、ゲストです。女の子と女の子の恋愛もの? 実にMAX的? そんな風にも思ったのだけど、第1話ではまだわからないですね。下駄箱の手紙、屋上に呼び出された鋼音ですが、先輩を助けたその時の台詞、それで鋼音のこと好きになってしまったらしい。というので、屋上。待ち人はふたり、許婚という鋼太、そしてくだんの女生徒。鋼音は鋼太を退けるために、同居している友人の円と付き合っている、その様子を見せ付けて、というんですね。これは鋼音の嘘なのか、それともふたりの真実なのか。どうも後者っぽいですね。で、鋼太は別にいいんだけど、あの呼び出した女生徒ね、とばっちりでダメージうけてるっていう、それは面白かった。悲しいほどに関われなかった、そんな様子が不憫ながらもおかしかったです。

  • 『まんがタイムきららMAX』第8巻第12号(2011年12月号)

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