2009年8月4日火曜日

『まんがタイムジャンボ』2009年9月号

『まんがタイムジャンボ』9月号が発売されて、しかし世の中には思いもしないことがあるものだなと、心の底から思いました。その詳細はあとで触れるけれど、過去にこういうパターンってあったかなあというようなことがありまして、ほんと、なんか新しいぞと思わせて、そして私はがっかりとしている。でも、ネガティブなことばっかりいっててもはじまらないから、元気出していきましょう。

ボクの社長サマ』、まだビルで引っ張るんだ! というけれど、これぞあろひろしの真骨頂ではないだろうか、そう思わせる展開に私はもう嬉しくてならなくて、このナンセンス。本当に最高だと思います。

けれど、前回前々回からの流れをこうして引っ張りながらも、新しい動き、展開を用意して、それを次回に繋げていくという見せ方はうまくて、このあたりは作家の力量というものであろうと思うのですね。最近よく見られる、四段ぶちぬきのサービスカットも、それはそれで見せながら、ちゃんと四コマも描いている。こうした手法も、かつての作風を思い起こさせるものであります。

しかし、なにがおかしいといっても、水没オフィスで働く社員、スーツだったり事務服だったり、無理矢理で、しかもお茶配っているOLがいたりして、いや、それ中身水だから。それに、コピー機とか無理だろう。いちいちつっこむのもばからしい、けれど、つっこまないではおられない。で、つっこむほどに面白いのですね。実によいナンセンス、最高です。

『ちょいのり。』、フレッシュ新作4コマ1発目!! であります。今、誌面の刷新をはかっているみたいですね。これ、名前からしたら、毎回車に乗っておでかけ、そんな漫画になるんでしょうか。内容は、免許とりたての、ちょっと危険な新米ドライバーと、少し内気な女子学生の心の交流ものといったところでしょうか。見慣れた日常も、ちょっと視点を変えればなんだか違った発見があるよという、そうしたテーマが少しやさしい、そんな漫画であります。

気分は上々』において、おそらくは最も男前な女性、優さんが大活躍。実家の大工道具扱う商店、デコラティブなインテリアは扱っている商品に実にミスマッチで、しかしここまで乙女全開の優さんってかつて描かれたものでしょうか。ちょっと意外なものが、意外であってそれゆえに面白い、そんな回であったと思います。

Boy’sたいむ』は、意図しない方向へ向かう置島の性癖はとどまるところを知らず、しかしそこに今回明らかとなったひろむの性癖が加われば、置島的にはもう怖れるものはなにもない、ってことにはならんのでしょうか。ひろむの本来あるべき姿を、性癖として誤解して、その誤解のもとに成立する恋心。認めたくない、けれど消し去れないっていうのがね、なんだかとても素敵なので、ぜひ置島にはこのまま突き進んでいっていただきたい。で、ハッピーエンドはなしの方向で。

『あいにゆこう』は驚いた、もう終わるのですか。こうした展開になるのかなとは予想していたのだけれど、この漫画に関しては、展開はある程度読めた上で、そこに生じる人間関係の機微を楽しむというようなものだと諒解していたから、なんだかメインディッシュが出る前に終わった、そんな気分です。ちょっと残念ね。

『秘書メロ♪』、新作2発目です。主任についたちょっとどじな新米秘書がヒロイン。展開こそはオーソドックスだけれど、絵は整って見やすくて、キャラクターの魅力が押し出されれば好きになるかも、といった感じです。『ゆるっ娘きゃっちゃあ』、これは3発目。ゲームセンターの新人店長がヒロイン。ゲーセン舞台とはいうけれど、扱われるのは主にクレーンゲーム、UFOキャッチャーの類ですね、キャラクター紹介では店長とあるけれど、店長らしいところはあまり出てこなくって、店員と読み間違えた? と思ったけど、やっぱり店長。続けば店長としての仕事についても語られるのかも知れませんね。

『笑って!外村さん』、これが4発目。誤解されて怖い人と思われている外村さんだけど、その素顔は実は可愛くて、そうした可愛い外村さんの秘密を知っているのは私たちだけ! といった趣向の漫画であります。けれど、こうした仕掛けのため、外村さんは誤解され続ける運命にあるわけですが、その誤解のさじ加減をしくじると、なんか可哀想な人になってしまいかねない。それに、話が進むうちに、きっと理解者は増えていくはずで、そうなれば彼女の怖い人という誤解も解消されていくわけで……、といった具合に、ちょっと塩梅が難しい漫画のように思います。でも、今は悪くないバランスで落ち着いているように感じます。

ただいま勉強中』は理事の魅力が花開いた回! というか、ただ傍若無人な女性が好きっていいたいだけのような気もしますが、気にしない。部員を増やそうとするオカルト研の野望、果たされたか!? と思わせて、そうはうまく運ばないというところがらしくてよいですね。最初、理事が勧誘されたのか、とか思ったんですが、それはさすがにないですよね。以後、消息を断った新入部員が登場することはあるのでしょうか。どうも、ないような気がします。

ごちゃまぜMy Sister』。存在しないことで、その存在を主張する36番の話であります。このあたりは、もう定番といえるような展開なのだけれど、それでもありきたりとは感じさせない。37番、ふたり目の兄貴の長男との違いが、ちょっとした新鮮味を出しているのだと思って、そして松坂の視線、その立ち位置の微妙さ、絶妙さ、それがよかったです。しかし、松坂、かわいいなあ。兄貴、もう惚れちまいなよ。

先生はお兄ちゃん。』はまた一癖あるキャラクターが登場して、幼いのにろくでなしの匂いをさせる有望株ですが、生意気でちょっと裏表があって、けれど可愛い、そんな男の子は、一定の人気を集めそうな気がします。でも、男受けは悪いかも知れません。

『ちょー!えど幕末伝』は、なんか絵がすごく繊細に美しくなっていて驚き。だんだんに面白さも増してきているし、なかなかに悪くない漫画。気にいっています。今回は西郷さんが出てきて、そしてヒロイン琴乃の出自がちょっとわかって、いや、それがやたら可愛い。ああいう瞬間って、なんかその人の本当が垣間見られたようで、いいものだと思います。そして、最後の落ち、銅像の由来、あれは面白かったです。見ているだけで、笑ってしまう。そんな面白さがあります。

『子うさぎ月暦』、あの男たちが帰ってきた! これまでに出たキャラクター、エピソードをうまくからめて、面白さを出すのに成功している、そんな感じでとてもよかったです。サフォークを巡るふたりの女性の鞘当て、とかいうとなんかサフォークが大人気みたいだけれど、実際のところはどうなんだろう。実際、サフォークに対する扱いは酷く、以前は心配性で子煩悩の有能執事ってキャラクターだったのに、すっかり違ってしまって、最高です。しかし、あの男たち、本来の任務を忘れて楽しんでいるとしか思えない。そして、ホラー。もう、本当に強烈なインパクト残して、もう、ナントカの漫画は面白い。笑わないではおられない、そんな捩じ込まれるような面白さが素晴しかったです。

『ますたぁDOG』、次号最終回。喫茶店の立地も変わって、これからどうなるんだろう。そう思わせて次号で完結というのは、ちょっと残念です。この人の漫画、好きなもので、いい感じに人間関係が見えるようになってきたなって思ったところだから、なおさら残念に感じたのでした。

『アイスボーイズ!』、これが新作5発目。『ぼくらは魔法が使えない』は新作のカウントには入っていないけれど、ゲストであります。あいかわらず面白いのだけど、今回はそこに恐しさが加わって、しかも二段で怖いという。怖さを演出する、あの嫌さ加減がなんともいえず気味悪くて、その味はこの漫画ならではだなって思います。

『ハッピーカムカム』。次号、感動のフィナーレ!! って、おい、えーっ、うそーっ。ついに、最後の砦、陥落かあ。面白いと思うんだけどなあ。可愛い女の子コミュニティもので、けれど可愛いばかりでない。ちょっとビターだったりもする、そんな話が好きだったのに。といった感じに次号最終回なんだそうだけれど、単行本は今月7日発売ですよ。つまり、しあさって? ああ、なんでこのタイミングで終わるんだろう。実際、今回も面白かったし、人生ゲームね。それはこの娘さんたちに将来というものを考えさせる、そういうきっかけとして働いて、つまりは次回への引きなのかな。わからないけど、でも面白かったよ。登場人物が、和気あいあいと楽しみながら過ごしているっていうのが感じられる、そうした感触が確かにある、とてもいい漫画であるのです。

だから、単行本が広く読まれてくれればよい。今はそれを願うばかりでありますね。

  • 『まんがタイムジャンボ』第15巻第9号(2009年9月号)

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