2009年8月20日木曜日

「けいおん!」第2巻

 先日もちょこっといっていましたが、アニメ『けいおん!』Blu-ray Discの第2巻、しかと受け取っております。第2巻は、アニメ第3話第4話が収録されて、「特訓!」と「合宿!」ですね。前半の最初の山がここにあると思っているのですが、ほら、あの「合宿!」の花火のシーン。あれはちょっと感動的で、一種このアニメの色を確定させたものであろうなあ、そんな風に思っています。あくまでも彼女らは彼女らの日常を送るのだけれども、時に幻想的な一瞬があるよという、そんなことを思わされました。それは誰かと一緒になにかを成し遂げるということの意味なのかも知れない。ステージで、音楽室で、彼女らはそんな特別な一瞬を見付けていくのだろうなあ、そんなことを伺わせる名シーンであったと思っています。

さて、第2巻にも、第1巻同様にオリジナルB面劇場「うらおん!」、そしてキャスト及びスタッフによるオーディオコメンタリーが収録されています。「うらおん!」は、写真撮る律のエピソード。キャストコメンタリーは、メインの4人による解説。スタッフコメンタリーは、京都アニメーションのスタッフによる解説。今回は楽器作監の高橋博行氏、3話作画監督の高橋真梨子氏、そして撮影の友藤慎也氏の3名によるものでありました。

さて、キャストコメンタリーの感想から。これ、いつくらいの時期に収録されたものなのかわかりませんが、第1巻時点よりもさらに打ち解けたといった感じがあって、和気藹藹といった雰囲気はさらに強くなっているように思います。ともない、会話も弾んで、第3話ではテスト勉強の話題だったり、第4話では合宿や海の話題だったり、収録時の舞台裏のような話は少なくなったけれど、反面、出演されている方の人となりに興味のある人にはきっと楽しい、そんな風になっていました。

しかし、笑ったのは、テスト勉強は前日派? みたいな会話で、あんまりいうとネタばれみたいになっちゃうのであれですが、内心、自分はこうだったなあと思っていたものが最後にどんと落ちみたいにして登場して、思わず笑ってしまいました。いや、その生き方は駄目だよ、ってもっと駄目そうな人がいうんですから世話ありません。

第3話は試験勉強における数式、これの話は面白かったです。ずっと触れていなかった数式を読むのが大変っていう人があれば、実際に計算してみたら間違ってたという話もあって、当日になって正しいものに差し替えられたものだから、さらに大変になったという話。計算したのは寿さんだそうですが、真面目な人だ! 驚いて、私は、数学に強い人なら、あれ聞きながらどういう式か計算したり理解できたりするのかなって思いながら、しっかり聞き流したという怠惰な人間でありますから、その真面目に仕事に取り組まれる姿勢に感服しました。立派な人です。

惜しかったのは、和ちゃんがサンドイッチを差し入れにきてくれるシーンでの昔話。澪が律の話をしようとするところ、エピソードはちゃんと収録されてたらしいのですが、カットされたんだそうです。おお、してそのエピソードとはいったい!? と思ったら、それはあかされませんでした。ちょっと残念。けど、こうした視聴者からは見てとれない、制作に関わっている人ならではの話は面白いです。アドリブについてとか、振りに対してつきあってくれてありがとうといったような話。また、演出からの要請や、演技やシーンについて考えたことなど、そうしたことごとがちらほらと語られて、すごく面白かったです。

そして、スタッフコメンタリーでありますが、人が変われば語られることも変わります。最初は、皆なんだか遠慮気味だったのですが、段々に説明は増えてきて、楽器作監の高橋氏による楽器解説、引きと寄りで違えているところ、引きでも違わないところなど、表現上の説明があったかと思えば、具体的な機種名みたいなのも出ましてね、私、こういうのは具体的に出さないものだと思っていましたから、背景のモデルとなった土地とか、小物のモデルとかですね、でも楽器に関してはちゃんと諒解を取ったってことなんでしょうね、しっかりとモデル名まで出まして、これまでJazz BassがFender本家なのかFender Japanなのか、はっきりとしなかったことにもやもやしてた人もあったみたいですが、よかったですね、JB62ですってよ。

楽器の説明については、残念ながらあまりマニアックな方向には進まず、でもそれは仕方がない。圧倒的多数の楽器に触らないファンを置いてきぼりにしてもしかたない。そういえば、作画についての高橋真梨子さんの話。コードを押さえる指を描く時、ギターに触ったことがないものだから、難しくって大変だったというのは、ああー、かもなあって思いました。コードのダイアグラム(押さえ方を示した図。ほら、澪が唯に渡した本の見開き、あの図です)を見ても、え? こんなの無理じゃない? みたいに思ったりしたっていうのが面白くて、ええ、そう思うのは当然だと思います。たまに、本当に厳しいのがあって、そういう時、私は代理で使えるコードを探すか、あるいはオミットできる音を探して押さえやすくするとか、姑息な手段で対応するので、一向に押さえられるようになりません。余談でした。

第2巻のスタッフコメンタリーは、撮影に関する話が多かったように思います。撮影時にCGやエフェクトを加えるという話。『けいおん!』では、あまり強くエフェクトはかけていないという話。だから、作画(動画?)の線が結構そのまま出ていることが多いとのことです。また、合宿地に向かう電車も、アイキャッチのカセットテープも、CG使わず手描きであるとのこと。カセットテープは楽器作監の高橋氏の仕事だそうです。半日くらいで描かされた? ともあれ、『けいおん!』では、CGを使うことが少なく、それは手描きの味わい、柔らかさを求めたというような話でした。対して、携帯電話のメールを見る画面とか、あれはCGだそうで、さすがにああいった元がデジタルなものは、手描きすると野暮ったくなってしまう。適材適所で、CG、手描きを使いわけたというような話です。

驚いたのは、冒頭でもいってました合宿の花火のシーン。あれ、ほとんどCGで描かれたものだと思ってたんですが、作画でやってるんだそうです。あの、きらきらと光る、あの手描きっぽい表現、あれ、可愛くって好きなんですが、あの味がこのアニメのファンタジーなんだなって思わされた、あれが作画だって聴いて、そうなのかー。撮影で加えられたものは、海のきらめきとか水面の波打ちとか、そういうものが多かったようで、そういえば潮溜まりの魚の話。あれは、申し訳ないけれど、気付きませんでしたわ。いわれなかったら、一生気付かなかったのではないかと思います。

このコメンタリー、アニメの仕事の分業っていうのがどうなってるのか、すごくわかりやすく説明されていたと思います。作画があって、動画があって、仕上げがあって、そして撮影があって、その各行程で作業者の個性が出てくるっていうんですね。作画についてはよくわかりますが、後の行程になるほどに、意識されにくくなってきて、実際私も撮影とかはある程度機械的にやっちゃうものかと思っていたのですが、例えば合宿のお風呂のシーン、あそこで湯気を重ねるかどうかの判断は撮影のスタッフによって違ってくる。ともない、できあがる絵も違ってくる。いわれてみれば当然ですね。でも、これまではそんなこと意識せずに見てきた。けど、これからはそうした仕事も意識しながら見るようになるんじゃないかな、そんな風に思ったコメンタリーでありました。

あ、そうだ。スタッフコメンタリーで面白かったのは、肉。あれは面白かった。各セクションの頑張りが、あの肉に結晶しているみたいな話。確かに、あれは見た瞬間に、すげえ、って思ったものなあ。ええ、手のかかった仕事というものは、その説得力もまた並々ならぬものになるんだっていう好例であると思いましたよ。

Blu-ray Disc

DVD

CD

原作

  • かきふらい『けいおん!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • かきふらい『けいおん!』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2009年。
  • 以下続刊

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