2013年1月31日木曜日

ネガ→ポジ

 『ネガ→ポジ』、negative to a positive、なんですね。いったいなんのことかといいますと、ヒロイン倉川綾乃でありますよ。人見知り、内気でネガティブ思考に向かいやすい、そんな子なんですが、いや、でもこの子が実に可愛いんですね。学校の寮に暮らしている。綾乃の部屋からは、二年生寮、憧れの黒瀬先輩の部屋が見えまして、ええ、綾乃はどれほどに黒瀬先輩のことが好きなのか。黒瀬先輩と遭遇したら、うろたえながらもコミュニケーションをはかる。その様子がですね、本当に健気で、その好きでいてくれていること、黒瀬先輩にも伝わるんでしょうね。可愛がってもらってる。ほんと、恋するというのとはちょっと違うのかも知れない。けど、こうして好きな人を前にあたふたしてしまう、そうした様子は見ていてほのぼのと心やすらがせるようなよさがあって、ええ、好きなんですよ。

綾乃にはルームメイトがございまして、奥寺知沙と宮古音々。そして友達の高月真白。この子たちとは綾乃打ち解けていて、綾乃の基本形、内気ネガティブ面倒くさがり屋ながらも、結構さばさばとして、自分の意見、気持ちをはっきりいえるという性格がよくわかるのですね。特に音々、この子は綾乃のこと大好きで、綾乃の布団に潜り込んだり、スキンシップをはかったりと、結構アグレッシブ。そんな音々に綾乃はその都度きっちり拒否の意を示すのですが、なぜ他の人たちにはこうしたことができないのか? 寮長さんですよ。寮長さんは綾乃たち寮生のこと大好きで、仲良くなりたいって思ってるんだけど、綾乃が人見知り発動させて、どうしてもよそよそしい態度をとってしまう。気にしちゃって、嫌われてるんじゃないかって、ほんと気に病んでるんです。そんなネガティブ気分の寮長さんも可愛くてですね、ええ、ネガティブでもポジティブでも、彼女らの気持ちの描かれよう、それが実にチャーミング。ほのぼのと楽しく、うまく思いが通じたり、また逆に空振りしたり、勘違いしたりされたりというところ、面白みがじわじわと感じられてよいのです。

知沙、この子も心配性ですよね。面倒見よくて、綾乃たちのことよく見てくれている。ただその心配が一生懸命すぎてですね、たまにやりすぎ? 助けようとしてくれてるのはよくわかるよ! ええ、いい子なんです。やさしい子、ちょっと寂しがり屋。綾乃と音々、皆をうまくまとめる、そういうクッションになってくれているような子でもあります。ここに終始元気でちょっとエキセントリック? 真白が加わって、そして重要人物黒瀬先輩。ええ、楽しさのいっそうにふくらんで、読むごとに愛おしくなるのです。登場人物、皆が可愛い。見た目に愛らしいというだけではなく、その気持ちのありよう、それが心地よいのですね。そんな子たちの漫画、皆の集うそこに喜びも嬉しさも集まってくるのですよ。

  • 森名尚『ネガ→ポジ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

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