『まんがタイムきららキャラット』2013年3月号、発売されました。表紙は『GA — 芸術科アートデザインクラス』。チョコレート売り場、バレンタインデーのディスプレイの前、ふたり立っている如月とナミコさんでありますよ。望遠で、二人だけを抜いたような密度が画面にあって、寒そうな白い息、先に買い物をすませたふたりが、まだ買い物終わらぬ皆を待ってる、そういう雰囲気であります。チョコレートを贈りたい誰かを思ってる、そんな風には思わないところが、この漫画のらしさなのかなと。しかし、ナミコさん、きりりして素敵なお方。最初、あらその素敵な人は彼氏さん? みたいに思ったり、はしなかったですが、そういう雰囲気もないではない。対照的な雰囲気のふたり、ピンク基調の背景に、派手さ抑えられながら、けれど負けもせず、しっかり調和してるのが見事であります。
『GA — 芸術科アートデザインクラス』、面白いですね。ナミコさんが宮廷画家になる、そんなエピソード。まれにやりますよね、こういう違う役割を演じる話。これ、好きなんですよ。夢なんだろうということははじめからわかってる。ええ、理想的な夢の利用法、いつもとは違ったシチュエーションを展開しながら、後に影響を残さない。ええ、見事であります。さて、ナミコさん、親知らずを抜いて、そのせいで集中できない。痛み止めを飲んだら頭がぼーっとして、そんなところにトモカネたちのしていた馬鹿ばなし、宮廷画家になってみたいなんて話ね、そんなの聞かされたものだから、しっかり影響されて、気づいたら宮廷で雇われ肖像画家になってる自分を発見したというんですね。如月が弟子、雇い主である国王陛下がキョージュ。最初の焦点は画工ナミコさんが描いた肖像画、そこに盛り込まれたアレゴリー、影やマントの折数、月桂樹の模様などなど、面白いなあ。いや、実際この頃の絵画を読み解くには、こうした知識大切だっていいますよね。これら要素をこんなにわかりやすく伝える、実に素晴しく、また面白いです。
そんなナミコさん、国王の娘の肖像を描くことになるんですが、新進気鋭のアーティスト、トモカネと対決することになって、勝敗を分けた要素、これがまた面白い。うん、実際そうですよね。顧客の要望に、うまく応えていかないといけない。機嫌を損ねてはいけない。そうした大変さ、夢からさめて、図書室でいろいろ調べながら語られる。ええ、ナミコさんのワンダーランド。面白くってためになる、いい漫画ですよ。
『ネガ→ポジ』は美術の授業ですよ。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、そして芸術の秋といったお話。校内でスケッチをする。自由に二枚と決められた、その一枚を黒瀬先輩と決めて描く綾乃は、実にいつもどおりであるのですが、しかし絵が実にあれだな! 音々がうまいんですね。綾乃ばっかり描かれたスケッチブック。実に素敵。愛ですねえ。ちーが描くと、ちょっと漫画っぽくなる。音々は相変らずうまくて、憧れの黒瀬先輩の肖像、綾乃、金出しても欲しいんだ。いや、まあ、気持ちはわからんでもないです。提出分を仕上げて、美術室にていろいろ見てるみんな。黒瀬先輩の描いた絵なんかもあって、いい感じに綾乃のネガディブが発揮されてましたよ。シンプルなエピソード、けどその素直さ、すごくよかったです。
『まこころアシスト』、ゲストです。なにかしら部活に入らないといけない、というので入れる部活を探しているまこなんですが、なかなかこれといった部が見付からない。運動は苦手。文化系でも皆とうまくうちとけられない。どこにも決められないと、ともの入っている部に入ることになる。校内活動特別補助部、他の部の手伝いをする。助っ人ですね。運動部に欠員が出ると、その穴を埋めたりする。通称、おたすけ部、であります。そこで、自分は足手まといと落ち込むまこ。この子もなかなかにネガティブっぽいです。さて、部長の佳世、可愛いものが大好き、それでまこのこと気にいっちゃって、よだれをたらしながらアプローチ。けど、その変態的アプローチをまじめにうけとるまこ。ちゃんと友達になるっていうんですね。興奮する先輩、彼女のこと、殴ってでもとめるのがともの役割みたいですよ。変に生真面目なまこ、いいキャラクターだと思います。
『あまゆる。』、新連載ですよ。田舎の学校に通ってる女の子たちの話です。微妙に地元民、ハルと、実家は農家、アヤのふたりをメインに展開していくみたいですね。今回は携帯電話の話。あの、方言で話しているアヤ、素晴しいですね。九州の方ですよね。実によいです。アヤの携帯電話、電話帳は真っ白で、ハルが最初の登録になったというんですね。中学の頃は持ってなかった。同級生いなかったし、実家は電波がはいらない。って、なかなかすごい田舎です。ハルに対して強がりながらも、実は喜んでるっぽいアヤがやたら可愛い漫画です。コンビニにいったりもするんだけど、アヤ、コンビニがすごく楽しみ。ふたりの私服、素朴でとてもよい感じ。最初は手を繋いで、気付けば腕を組んで、アヤを携帯に取られないようになんていっちゃうハル、この子もすごく魅力的です。携帯電話を軸にしたコミュニケーション。わざわざ携帯を使うまでもない、だって同じ部屋に暮らしてるんだもの。でも、そうした近しくありながらも携帯があってこそわかる気持ち、伝わる思い。それはそれは素敵だったのですね。
- 『まんがタイムきららキャラット』第9巻第3号(2013年3月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿