『まんがタイムきららフォワード』2013年3月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』、メリーさんです。季節柄、バレンタイン? かと思ったらそういうわけでもなくって、けど、このメリーさん、めちゃくちゃ可愛いな! 冬仕様メリーさんです。コートの袖のヒラヒラ、トレードマークつきのミトン、帽子も冬物になっていて、いやもう可愛いですね。あのマフラーの柄とかもね。加えて表情、はく息の白さ、けぶるその向こうからこちらを見つめる目には魅せられっぱなしですよ。あとですね、頭、頭、すずめが三羽ふくらんで、ちょこちょこって乗って寄り集まってるの。いやもう、なんだろうこれ、ほんと素晴しい。ものすごいインパクトです。
『夢喰いメリー』、本編もものすごいインパクト。エルクレスの攻撃を受け夢路沈黙。その衝撃がメリーにもたらした変化、それがもうね! ジョン曰く、禍々しい鍵束、両の手に黒く変色した鍵をいくつもぶら下げて、エルクレスの攻撃をあっさりとはじきとばし、その腕、脚も胴も、バキバキと破砕していく。しかし、なにがいいといっても、この攻撃、エルクレスをとめるにはいたらない。エルクレスのいうとおり、キレたくらいで俺に勝てるなら苦労はねぇよな
、なんですよね。思いの強さとか、気持ちの強さとか、感情の爆発とか、そういう曖昧なことでは決着しないんです。エルクレスの無敵には理由がある。その条件を崩してやらないといけない。メリーのやっていること、それはむしろエルクレスを利するに過ぎず、そんな絶望的な状況をなんとかできるのは夢路しかいない。夢路にも秘密があるわけですよ。エルクレスが不死身である、それと同じ理由で夢路の不死身も納得される。前提が揃いましたね。エルクレスに対し、メリーと夢路がともに戦う。これまでは前哨戦に過ぎなかったということでもあります。エルクレスという一種特別な夢魔と、やはり特別な存在である門番メリー。そして夢路もまた特別である。これからメリーと夢路は、エルクレスの特別を支えている条件を崩してやらないといけない。奴の特別である理由や秘密、それもまたこれから明かされるのでしょう。こういう、きちんと行為行動、おこっていることに意味を持たせようとする運び、ここにひきつけられるのです。
『きんいろモザイク』、ゲストですよ。巻頭には、シノ部ニュースレター出張版もあって、カレンの設定画が掲載されていますよ。って、これ、『MAX』読者、気付かなかったりしないか!? さてさて本編、四コマじゃなくてコマ割り漫画ですよ。カレンの提案でハイド・アンド・シークをやることになるんですね。かくれぼでありますよ。学校を舞台としたかくれんぼ、四コマという制約から自由になって、大きなコマ、生き生きと描かれるかくれんぼの風景。また違った味わい、これもまたとてもよいものでしたよ。ゲストということもあってでしょうか、それぞれのキャラクター、持ち味、うまく表現して、って、しのがなんかものすごいぞ。陽子曰く、手強いらしい。気配を消せるのか! 前世は忍者なのか! いやもう、あのカレンの背後に降り立つしのの姿、あれは面白かったし、また可愛いこと、素敵でした。烏丸先生までしっかり登場。ほんと、先生も可愛いの。いつもとは違う見せ方、けれどしっかり皆の持ち味表現されて、実によかったです。こういうのもいいなあ、ええ、また見たい、そう思わされるものありましたよ。
『魔カリキュラム!』、新連載ですよ。ヒロインは悪魔のお嬢さん、阿久マヤであります。人の世界に降りて、人間の負のエネルギーを高める、そうした実習をしているっていうんですね。人間世界を侵略するため、一人前の悪魔になるため、まずは通っている学校を混乱に陥れるのだ! といいますが、マヤさん、わりとあかんたれ? 理科の授業、解剖ですっかりびびってしまっています。学校での彼女の友達、瀬名アラタ、胡桃サワ、橘スイ、マヤのこといろいろ面倒見てくれて、主にサワが気にしてくれている。ええ、大事な手帳を落としてしまって落ち込むマヤを見て、探すの手伝ってくれるんですね。授業をサボって、結果的に一緒に怒られることになっても、それでもマヤを助けてくれる。けっこういいやつら。ええ、悪魔としては落ちこぼれなのかも知れない。そんなマヤ、だんだん皆との仲を深めていくのでしょうね。ええ、マヤの心情、よい感じじゃないですか、そう思うわけですよ。
『ブラックラック』、新連載です。こちらは魔女のお嬢さん。この世にただひとりの魔女、最強の魔法使い。けれどいろいろだらしない、自堕落なんですね。なので主人公、でいいのかな、物語を語る役割担ってる人、コタローが世話を焼いている。魔女子さんは、ええと、固有名が出てないな、魔女子さんでいいや、色小瓶、カロンを集めていて、依頼を受けてはその代償として色をいただいていくというんですね。さてこの物語、最初の依頼はシンデレラですよ。美しい娘シンデレラ、しかし家から出てこない。なぜか? まま母、いじわるな姉にいじめられてるから? いや、違うんですね。ゲームの中に理想の男性を見出して、すっかり三次元を見限って、ひきこもってるんですね。そんな彼女を連れ出して、舞踏会の王子に出会わせる、それが依頼の内容。出会いさえすれば王子を好きになることは、最初からわかっていた。ええ、しあわせなシンデレラですね。どこにも悪い人はいませんでした。ちょっとしたおとぎ話。魔女子さんも、しあわせなシンデレラ、彼女の輝く目の色を手にいれることができて満足。きらきらしたお話です。
『少女素数』は、チョコレート作りですね。歌ってるのは、あの有名なCMソング? お揃いのエプロン、シェフの帽子も可愛くて、ええ、チョコレートの温度管理、しっかりしてますよ。素晴しい。さて、この時期にチョコレートということは、バレンタインでありますね。すみれ、ぱっクンにあげるチョコレート、その型がすごく凝っていて、これ、ほんとにあるのかな。あるのかもな。いや、これはほんともらったら面白い、嬉しい、そう思うでしょう。ぱっクンならなおさらです。今回のメインとなるのは、学校での様子でしょう。すみれ、後輩の女の子からチョコレートを貰う。憧れている。そういう気持ちがこもったプレゼントです。ヒロミから敷島へ。ふたりのやり取り、面白いですね。期待しててもよかったのに! さてさて、ヒロミは本命、そこへあえて現れて義理といって去っていくあんず。あんず、天然自然のふりして、決してそうじゃないんですね。そしてぱっクンの家で、すみれと有美ちゃん。チョコレートを渡しにきたんですけど、自分たちをかたどったフィギュア見付けたりして、いやあ、これ可愛いなあ。手にしてるフィギュアがお互い逆になってるのがまたよかった。そして、三人の恋の行方、そのことについても一旦の決着がついたりね、感情動きながらも穏かに落ち着く。そうした子ら。彼、彼女らのらしさなのでしょうね。ところで、驚きましたよ、いつぞやのパンツ、あれがまた出てくるとかまったくの予想外でした。そうして梗子さん、お久しぶりです。で、すみれは兄貴さんへのチョコレート忘れちゃったのね。なるほど、面白い、あんだけお兄ちゃんお兄ちゃんいってた子がね。そしてぱっクン、ちゃんとチョコラモデル組み立ててる。今回、バレンタインデーの風景描いて、楽しい恋のイベント、けれどそこにはこれまで描かれてきたことの結果、変化、そうしたものがしっかりとのせられていたのだな。ちょっと感慨を覚えて、ええ、月日のなかで、少年少女たちは多くを得て、変わり、育っていったのですね。
- 『まんがタイムきららフォワード』第7巻第3号(2013年3月号)
引用
- 牛木義隆「夢喰いメリー」,『まんがタイムきららフォワード』第7巻第3号(2013年3月号),36頁。
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