2012年7月8日日曜日

銀河へキックオフ!!

 春夏秋冬、季節があらたまろうとするごとに話題になるのは、次はなんのアニメ見よう。面白そうなのがあったら見逃したくない、その一心からいろいろ情報交換したり、関東と地方の時間差利用して、実際に見た人の評価感想を頼りに試聴決定したりなど、いろいろやるわけです。で、おすすめあったら教えてください、そういっていたら、今年の春、『銀河へキックオフ!!』面白いから見るように、そういう話がありました。でもなあ、もう2話終わっちまってるしなあ、けどNHKだからゴールデンウィークあたりに一挙放送してくれるでしょう。試聴に踏み切りまして、そうしたら、まったく興味なかったはずのサッカーものが面白い。これはいいよと、すすめてくれたこと感謝するわけです。

なにが面白いかというと、ちゃんとサッカーしている、そういうこともあるんですけど、サッカーばかりしてるわけじゃないってところなんじゃないかと思うんです。コーチもいなくなって、メンバーもばらばらになって、解散してしまった少年サッカーチーム。それをまたサッカーやらないかと声をかけて、チームメイト増やし、コーチも見付けて、チームを再興していくんですね。でも、このチーム再興も面白いんですが、メンバーひとりひとりがきちんと描かれてるところ、そこに魅力を感じています。女子ながら男子チームに参加しているエリカは、他のチームにいったら女子だからといって断わられた。呼び掛け人の翔にしても、これまではずっとベンチ要員だったけど、状況判断の目があることを買われ、キャプテンとして声を出しチームをまとめていく。ひとりひとりにテーマがあるんですね。家族との関係、自分の本当にやりたいこと、自分らしさ、そして過去の悔い。チームメイトにテーマがあれば、コーチにもテーマがある。それが、サッカーを通し、明らかになっていく。長い時間をかけて問題を浮き上がらせ、一歩ずつ少しずつでもその解決に向かって進んでいく。そうした息の長い見せ方、さすがは通年のアニメというべきなのかも知れません。じっくりと丁寧に描かれ、ともない少しずつその人柄もわかっていく。この感覚がとてもいいなと思ったのでした。

アニメは全39話。先日第14話 「オウンゴール」が終わったところだから、残すは3分の2ってところですね。物語としては、序盤を過ぎ、チームの問題がひととおり見えて、これからひとつのチームとして育っていく、そうしたところでしょう。しかし、この「オウンゴール」が素晴しかった。それまでのエピソードもよくて、楽しみに見ていたんですけれど、「オウンゴール」の見せ方、声高でなく、静かにけれど深く、重みもあって、けれど目が離せない。コーチの話です。コーチが苦しんできたこと、その重みから自由になれた話。また、自分らしさを否定されてきた少年が、その少年らしくない、小学生らしくない個性を受け入れてもらえて、という話。会話や声の演技、それも非常によかったのですが、絵が多くを語っていた、それが本当に強くって、いやもう、見事でした。これはサッカーものとしてサッカーを描きつつ、サッカーを通して人ひいては社会を描いている。その真面目しんめんもくが発揮された回でありましたよ。

これ、BDじゃなくDVDしか出ないみたいなんですけど、最後にBD BOXとか出るのかなあ。1枚に3話。1枚あたり3000円くらい、安いなって思うんだけど、全13枚かあ、そう思うとちょっと買いにくい。DVDだし……。残念ですが、できればちょっと手元に残したい、そう思わせるようなアニメであります。いやもう、地味ながら良作、NHKらしいアニメでありますよ。

そうそう、今日7月8日はエリカさんの誕生日だそうです。おめでとうございます。

DVD

  • 金巻ともこ『銀河へキックオフ!!』第1巻 川端裕人原作 (集英社みらい文庫) 東京:集英社,2012年。
  • 以下続刊

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