2007年12月2日日曜日

日がな半日ゲーム部暮らし

 今、『電撃PlayStation』誌には『電撃4コマ』なる冊子が付いてきて、ゲーム系四コマ漫画を読めちゃったりするんです。この話をはじめて聞いた時には、正直ちょっと驚きましたね。だって、冊子ってや! 私、てっきり1コーナーだとばっかり思っていて、電撃の奴隷でしたっけ、あの延長で数ページ読めたりする程度の規模だと思っていたら、なんと付録冊子だったのか……。さすが電撃というべきか、昔から我が道をいくゲーム誌だと思っていたけど(付録CD-ROMにテーマ曲がついてくるなど、結構好きだった)、相変わらずであるなあ、ちょっと嬉しくなったですよ。思えば、私の昔買っていたゲーム誌である『ファミコン必勝本』も、晩年はWiz小説、Wiz漫画から、ゲームにどう考えても関係のない小説まで連載されていたものなあ。思い返せば、あれも我が道系の雑誌だったっけ — 。どうも私は、こういうマイペースな雑誌が好きなようでいけません。さすがにゲームもあまりやらなくなった今、『電撃PS』誌を買うということはさすがにしないとは思いますが、けどこうして単行本が出たら買っていくんだろうなあ。ええ、祥人の『日がな半日ゲーム部暮らし』。私、この漫画がめったやたらと好きなんです。

どれくらい好きかというと、ああ、自分もゲーム部みたいな、緩い部活やってればよかった。なんとはなしに集まって、なんか楽しく、意味があろうとなかろうと、みんなで同じ時間を過ごすっていうね、そんな青春を送りたかったなあ、なんて思って、軽く後悔するくらいに好き。いやあ、現実はどうかわからんよ。ちょうど34ページに書かれているように、実際そういう場があっても、意外とドロドロしたりするんかも知れんし。私の所属してた部活は実際そうだったものなあ。吹奏楽部、夏のコンクール、春の定期演奏会が二大イベントでさ、なんだかんだ拘束時間が長くて、うっとうしいのよー。ほんで、やっぱりドロドロした。少なくとも、私にはあんまり過ごしやすい場所じゃなかったよ、って、そんな話をしてもしょうがない。けど、仲のいいやつもあったし、それなりにドラマチックなこともあって、折角立ったフラグを力いっぱいへし折ったこともあったなあ。ああ、苦い。

『ゲーム部暮らし』が心地いいのは、作者もいってるように、こういう苦さが徹底的にぬぐい取られた後の、いわば理想郷ともいえる明るくて前向きなオタクライフであるからかも知れませんね。だから安心して読めて、ノスタルジーに浸ることもできるわけで、もしこれがぬるいと思われるなら、きづきあきらの『ヨイコノミライ』がおすすめです。青春の苦さ、若いということは痛いということなのだと、いやというほど思い知らせてくれますから。だから、もしこの『ゲーム部暮らし』がドロドロで、かーはらがすごいヨゴレを引き受けなければならなかったとしても、私は変わらずかーはらのこと好きだから、っていきなりなにをいいだすんだこの人は。だいたい、なんでだからと続くのかがわからん。ごめんなさい、最近ちょっとおかしくって、いやおかしいのは前からかも。そもそも、まともだった時があったろうか……。

こういう、馬鹿なことをだらだらいいながら過ごせる関係っていうのは、きっと貴重だろうと思うんです。ヒロインのみひろは友人かーはらに、なんだかこんなことばっかりいっているような気がします。「悲しい」と「悔しい」の違いをぶってみたりさ、ゲームと節度について熱弁してみたりして、こうして聞いてもらえるっていうのは嬉しいことだと思うのね。そして、彼女らはゲームという共通の趣味で繋がったわけだけど、いずれはそうした枠をはずれて、普通の友達になっていって、それはすごく仕合せなことだなあ、と思います。そしておそらくはこうしたことも青春なんだろうなって、自分の明日もようとして知れず、漠然とした不安にさいなまれながらも、今を精一杯に楽しく過ごそうじゃないか。ちょっと意志の弱く、ややもすれば低きに流れがちのみひろを見ながら、そんなことを思ってしまうのですね。

ただ、自分の経験上、そうやって問題を先送りにすると、負債が後に重くのしかかったりするわけですが。まあ、後悔は死ぬ間際にすればいいよ。なんていう私は、みひろを自分の内部に見出して、だから自分自身にそういったことをいいたいんだろうなあ。『ゲーム部暮らし』のキャラクターはよくできていて、みんな他人事ではない感じであります。特にみひろの代から下の子ら、あっきーにしても、3巻での新入生雪華にしても、自分の中に彼女らを感じてしまって、だからこそ共感も深く、唐突ともいえるみひろの発言も、あっきーの限度を見失ってまごまごしてしまうところも、そして雪華の妙にストレートすぎる振舞いも、すごくよくわかるように思うのです。

さて、そんな私の目下の(ゲームに関する)悩みはというと、プレイ時間を捻出できないってことにつきるかと思います。Nintendo DSを買って、ソフトもいくつか買って、クリアしていないもの多数。それはPSでもPS2でも同様で、もうクリア目前、後はボスを倒すだけ、という局面で、ストップさせてあるものもいくつかあって、あ、これは違う問題か……。

みひろの思いはよくわかる。これは、ゲームが好きで仕方がない人、好きで仕方がなかった人なら、おそらく同様なんじゃないかと思います。みひろもかーはらも、あっきーも雪華も、ゲームファンの心のうちにはきっと彼女らが住まっている。だから、きっと彼女らの作り出す空間を好きになれるという人は、少なくないと思います。

引用

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