以前、『家族ゲーム』を買ったとき、一緒に『日がな半日ゲーム部暮らし』という漫画も並んでいて、買おうかなあどうしようかなと迷った揚げ句見送ったのですが、結局買ってしまいました。この漫画、『電撃PlayStation』誌に掲載されていた四コマ漫画だそうでして、作者はというと電撃PS誌ではおなじみの祥人。ええと、おなじみですよね。ええと、おなじみだと思ったんですが。ほら、うさぴょん仮面描いてた人ですよね。あと、なんか、読者コーナーみたいなところにちょこっと漫画描いてたりしてた人ですよね。私、この人の漫画結構嫌いじゃなかったから、こうして単行本が出たのはちょっと嬉しいかなあ、って、じゃあなんで見つけたその日に買わなかったんだー。
まあ、理由としては、そもそもこの漫画を知らなかったからというのが妥当なところでしょう。私が最後に電撃PS誌を買ったのは、そもそもいつごろの話だったんだろう。ゲームは嫌いじゃないけれど、なにしろ今だって遊んでますからね、けどなんだか一時のようにはのめり込めなくなってきてしまって、雑誌もなんか読むためというか買うために買ってるみたいになってきたしで、なんか疲れちゃって買うのやめた。そしたら、その後なんだか電撃4コマなんていって面白そうなことやってた! そうなんですよ、私は電撃4コマのはじまった頃を知らないのです。
この漫画をすぐに買わなかった理由、もうひとつ。おんなじ出すなら、うさぴょん仮面が読みたかったな、あとコラム漫画というかエッセイ漫画みたいなのもまとめて欲しいなあって思ったので、買うのに躊躇した模様。躊躇といえば、値段もそうかも知れないですね。本体780円。ちょっと高い。同じ日に、同じくちょっと高いKRコミックス何冊か買ってるから、余裕がなかったんです。
と、以上のような経緯で買いそびれていた漫画でしたが、遅まきながらも買ってみて、読んでみて、ああやっぱり好きかもって感じです。全体に脱力ムードの漂うところとか、堂々巡りっぽい駄目トーク。あんまり、さあ頑張って読むぞおって力込めて読むような漫画じゃなくて、そうですね、ヒロインがいっています、期待していない状態でプレイして、いい意味で期待を裏切られるのがきっとベストだ
。そういう意味において、私は非常にベストな読み方ができたと思います。期待していなかったわけではないんですが、あ、そうだそうだ、買っとこうとついでみたいにして買って、読もう読もうと思いながら時間がなくて置いておいて、で、ちょっとした合間に読みはじめたら面白いんだこれが。あっと、こんな言い方をして期待させてしまったら罪だから、面白い漫画を見つけたら「これイマイチだよ」と言ってすすめてみるのが多分一番いいっていうから。
この漫画なんかイマイチだったよ 買ってみない?
馬鹿トークはさておき、この漫画を面白がれる人っていうのはある種選ばれた人であると思うのです。ゲームにとにかくはまってはまってはまったことのある人。とにかくゲームさえできれば私は仕合せなんだー、みたいに思って、本当に一日十時間以上とかぶっ続けでプレイして知恵熱出したりしたことあるような人。専門誌の紹介記事やらレビューやら読んで、あれ面白そう、これも面白そうと気持ちを高めながらも、全部は買えない、プレイもできないジレンマに悩み、実は積みゲーが何本もあって、いや、プレイしないんじゃないんだ、これは老後の楽しみなんだ、みたいな馬鹿なことを誰にいうともなくいったりするような、そんな人が楽しめる漫画だと思うのです。だから、ある意味選ばれた人。あるいはそういう風に生まれついてしまった人。昔ほどアクション、シューティング系に能力が発揮できなくなっている現実に直面して、本気でへこんだことのある人。そういう人は、ああ自分もこの子らのようなことを思ったことあったわ、と思って懐かしんでみたり、あるいは、そうだそうだ、今なお同じこと考えちゃってるよと共感したり。気の置けないゲーム友達と、だるーく、けど楽しくおしゃべりするような親密感が得られるんじゃないかと思います。
そんな私の最親密ポイントはここだ! 76ページ「人生は儚い」、世の面白いゲームをプレイし尽くすには人生は短すぎる…
、じゃないよ、ええと、119ページ「インドアな」、素うどんで済ませれば300円浮く! 買い食いを我慢しなければ あのソフトが買えなくなる!
、って今でもやってるよ、じゃなくって!
ええとだね、一番最後の見開き128ページ「好きでした」からはじまる四本。ここでいわれているゲーム、あのゲームだと思う。実は私もあのメディアミックスはどうかと思う。CDやらコミックスやらの類いも片っ端から買ったんだけど、正直、どうだろうと思う。ちょうどかーはらがいってるような感じで、げんなりして、いやになって、かーはらがいうようないろいろがなかったらきっと後何周も遊べたと思うのに、それが果たされなかった。けど、多分今再び遊べば、きっとやっぱ…面白いな
と思えるんだろうなと……。
私は、仮にこの最後の2ページのために780円を払ったのだとしても、それはちっとも惜しい額ではなかったと思っています。私の中でいまだに消えないわだかまり、それを同じように感じている人がいたんだと、そう思えて、すごく救われた気がして、私の中のわだかまりも少しは薄らいだように思います。だから、本当に最後のかーはらの台詞は、そのまま私の感想に同じといってよく、そして私はその思うところを、かーはらやみひろをとおして、作者に向かわせているのだと思います。
蛇足
多分、私はみひろタイプだと思います。いや、みひろが好きなタイプといってるんじゃなくて、みひろは私にそっくりだといっています。好きなのは、かーはらとか加寿子先輩とかなんですが、けどみひろも結構好きな感じで、というわけで、トータルではかーはらだと思います。いや、でも、みんな、かわいいよね。
- 祥人『日がな半日ゲーム部暮らし』(電撃コミックス) 東京:メディアワークス,2006年。
- 続刊熱烈希望
引用
- 祥人『日がな半日ゲーム部暮らし』(東京:メディアワークス,2006年),75頁。
- 同前,76頁。
- 同前,119頁。
- 同前,129頁。
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