クリスマスシーズンが近づいてきて、というか今まさにクリスマスシーズンであるわけですが、意図せずクリスマスだけ働くシンガーとなってしまったわたくし、今年もまた歌いにいきます。さて、今年は新曲もあるとはいえど、基本的には去年練習した歌を引っ張り出してくればいいという気楽さ。けれど、よせばいいのにむらむらと開拓欲が湧いてしまって、今年のThe Twelve Days of Christmasは昨年とは一味違うぜ、てなことになってしまっております。いやね、昨年やったのはメジャーな版に比べておそらくより古いものでありまして、歌詞が多少違い、かつメロディも違います。そのため、聴いて、あああの曲かあ、とはならないわけです。それじゃまずいだろうということで、巷に知れ渡っている方を練習しようと思ったのでした。
頼りは、ロジャー・マッギンのFolk Denであります。ここに収録されているThe Twelve Days of Christmas、歌詞とコード、そして録音を手がかりに練習して、とりあえずなにも見ずに歌えるようになったのは11月はじめの頃だったでしょうか。とはいっても、とにかく歌詞の長い曲です。クリスマスの初日から毎日届けられるプレゼント、ヤマウズラにはじまり、キジバト、雌鳥、クロウタドリ、金の指輪、卵を抱くガチョウ、泳ぐ白鳥、乳搾りするメイドさん、ドラマー、パイパー、踊る女性、そして飛び跳ねる貴族にいたる。実に幸いな歌であり、クリスマスの楽しみというものを感じさせてくれる内容になっています。
ところで、ロジャーの歌ってる順番と世に流布しているものとにもやっぱり差があって、贈り物の順番が違うんですが、まあこういうところが伝承歌の面白いところかと思います。
この歌詞からわかるのは、クリスマスというのが単に12月25日をではなく、もっと長い期間を指しているということです。Christmastimeという概念があって、12月24日クリスマスイヴから始まり1月1日新年まで続くのだそうですが、イギリスだとさらに長く1月6日の顕現日までであるとか。けど、それだと12日じゃすまないじゃないか。イヴと顕現日は除くのかな? さらにヨーロッパにおけるクリスマスは待降節(アドヴェント)と呼ばれる準備期間(約四週間)をともない、しんしんと深まっていく長い長い行事なんだそうです。待降節のカレンダーがあって、毎日窓を開きながらクリスマス当日を待つという、こういう話を聞きますと、クリスマスっていうのはただのイヴェントではないんだなあとわかります。
The Twelve Days of Christmas歌う時は、こうしたクリスマスの喜び、冬至を過ぎて太陽が再び生命を取り戻していくことを祝う気持ちを表せればよいなあと、そんな風に思います。え? なんで冬至かって? 実は、クリスマスっていうのはヨーロッパの土着の宗教の冬至祭をキリスト教が取り込む(取り込まれる?)ことで成立したのだそうです。長い冬、暗く寒い季節を過ごす中、短くなった日が底を打って再び伸びはじめる冬至というのは、神聖にして特別な日であるのだそうです。これはドイツに留学した人に聞いた話ですが、冬至を過ぎて日が長くなる、その感覚というのは日本ではわからない。あれは本当に特別なものだって。そしてその人は、予備知識なく、クリスマスは冬至に関係する祭であると悟ったっていうんですね。私はその話はじめて聞かされた時、まさかあ、ほんとかよ、なんていってしまいましたが、本当でした。先生、あの時はすみませんでした。
というわけで、私はその特別な感じを込めて歌うことができるでしょうか。さあねえ、こればっかりはわからない。とにかく、その日、その時、その一瞬にかけたいと思います。
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