『夜空の王子と朝焼けの姫』を買いにいったその日、その装幀の持つ雰囲気にひかれるままに購入したのが『かわいいあなた』でした。イラストが醸し出す華やかさ、暖かさ、胸に染み入るような感傷も甘くて、これは読みたいと思わせる表紙でありましたよ。それに、かわいいあなたというシンプルにして強い表現。その強さは柔軟でしなやかで、それがちょっとつたない感じの文字でつづられていて、そこがまたうまいと思う。気取らない、心からの、手のひらの上にほのかに生じるような、そんな思いをあなたに伝えたいのよといいたげなるかのようで、これは本当にいい表紙だと思います。
そして読んでみて、またよかった。私は、巻頭の『Maple Love』でもう撃沈。これ、大学生の女子二人の話なんだけど、思われる娘も思う娘も、どっちもが可愛いんですよ。どうですかこれって聞き返したくなるくらいに可愛い。どちらの娘も常識や普通のカテゴリからちょいと外れ気味であるのですが、思われ側が天然でマイペースなら、思い側はしゃっきりとしてしたたかで、けどよ、けどよ、それが最後でああなっちゃうのね。
自分で確かめたいという人は、ここから先は読む必要ないです。つまりちょっとネタバレ。
見た目しゃんとした宮路が抱えていた不安や弱さが一気にあらわにされるラスト、ちょっと泣いちゃったよ。悲しいとかじゃなくてさ、いじらしさに泣いたんです。ああ、この人のちょっと攻撃的とも思える普段の態度は、こうした面を隠すためのものだったんだなって思って、自信なんてないし、そもそも報われない思いだって自分が一番わかってる — 。そんな女の子だったんだなあって、だからあそこでかえちゃんが選んだ回答は、読んでる私にしてもすごく仕合せな気持ちになれるもので、ほだされたね、ほだされましたよ。
この一撃で乙ひよりは全購入対象に決定されたのですが……、この人、これが最初の単行本なんですね。驚きました。ベテランかと思っていたのです。百合的舞台、お約束を充分に踏みながら自分なりの世界を広げている。絵も、テキストも、すべてが過不足なく表現を支えている。そんな感じだものだから、もうほんと。
百合もののフォーマットというべきか、思いが成就するあるいは破れるまでの過程がメインで、うまくいくにせよ駄目にせよ、ラストに向かうまでの心の動きが、すごく細やかで、表に表現されているものと内心のギャップも含めて、すごく素敵なのです。強気な少女は強気の、弱気な少女は弱気の、それぞれの輝きがあるなと思ったんです。凛々しさ、いじらしさ、けなげさ、素直さ、一生懸命な様も嫉妬に苦しむつらさも、そのすべてが心に触れてくるように思えて鮮やか。鮮やかといっても原色のそれでなく、やわらかな光に似た、暖かく心地いいものであったと思うのです。だから、読んでいてとても仕合せ気分。最後に恋の成就するものならなおさら。願わくばこの恋の行く先を、なんて思うんですが、そこがあえて語られないところに、こうしたジャンルのよさがあるのだと思うから、私はこのまま余韻に浸って溶けてしまいたいと思います。
- 乙ひより『かわいいあなた』(Yuri-Hime COMICS) 東京:一迅社,2007年。
ずいぶん前のことになります。Amazonのおすすめにあらわれる漫画を見て、ちょっと面白そうかなというのを見付ければ買うということをしていたことがありました。Amazonのおすすめが、間違いなくお気に入りになるだろう一冊を見付けてくれるものでないことは知ってましたけど、大きく外さないという印象もあったものですから、自分のこれまでの探索範囲からは漏れていたものの、読んでみると結構気に入るかも知れないというような、それこそ興味の周辺域に位置する漫画を拾い上げるのに重宝していたのです。けど、なかなかお気に入りになるようなものを見付けるのは難しいですね。やっぱり、これはいいと思えるようなものは、書店店頭で引っかかってることの方が多いのです。で、今回取り上げます『絶望期の終り』。これは、ちょっと読んで見て、すごいと思いました。
『ようこそ。若葉荘へ』は『まんがタイムきららMAX』に連載されている漫画で、けどこれ四コマではないんです。だからてっきり別の判型で出るもんだと思っていたら、通常の四コマのサイズで出てくれて、芳文社のコミックスって妙に紙質がいいんですよね。ちょっとありがたかった。っていうのは、やっぱりこの漫画は絵の魅力が強いものだと思っていますから。なにしろ、いわゆる複数美少女同居ものとでもいいますか、主人公の少年沢井健太郎が入居した若葉荘は管理人以下住民が皆美少女ときておりまして、けど少年誌にありがちの展開、まわりの皆が自動的に主人公のこと好きになるみたいな展開はないから、残念だったな沢井少年! というか、そもそもからしてこの漫画は沢井少年の片思いからスタートして、しかしゴールはあるのかな。そんなちょっと悲壮な雰囲気漂わせています。
この間、
先月







気になってる漫画があるんだ! それは椎名高志の『
椎名高志というと『
私が山田まりおという漫画家を知ったのは、『まんがタイムラブリー』に彗星のごとく出現した『スーパーOLバカ女の祭典』がはじめであったのですが、しかしこの漫画、すごかったです。こんなの一体誰が求めているんだろうって疑問に思うほどのハイテンション。絵は、よくいえば勢いがあり、悪くいえば荒っぽかった。そんな漫画が気付けば結構なお気に入りになっていて、どこが好きかといえば、その狂気をはらんだテンションでしょうね。最初はすっかり引いてしまっていたのが、慣れというのは怖いですね、いつしかそのテンションでないと満足できない体にされてしまっていたのです。その後、山田まりおは漫画家としての腕を上げて、絵もしっかりとしてきたし、話の構成もちゃんとしてきたのですが、その反面、当初のテンションは失われているから、あの頃を知る人間としてはちょっと寂しいなあ。そんな風に思っています。
イヤホン、買い替えました。今日、仕事が終わってさあ帰ろうかとポケットからiPod取り出してみると、イヤホンの左側がぱっかりと口を開いていまして、ああこれは駄目だな。一目見て思いました。けど、よくよく見ると内側の導線は無事繋がっているようで、もしかしたら聴けるかなと思って装着、そうしたら問題なく音が出たので、壊れたのは外殻だけの模様です。とはいえ、配線が駄目になるのも時間の問題と思われたから、帰りに上新電機によって新しいイヤホンを買ったのでした。購入したのは、以前使っていた

袴田めらはすっかり百合の人として定着してしまったみたいですね。というわけで、『夜空の王子と朝焼けの姫』。これは結構前に買っていたんですが、ちょっと読む余裕がなくて今まで置かれてしまったのでした。けど、ようやっと読んで、私はちょっとびっくりしました。思った以上に踏み込んだ描写があって、そうかあここまで描いちゃうんだと、なんだか感心してしまいました。けど、別に露骨とかいいたいわけじゃないんです。漫画としてはやっぱり袴田めら節とでもいおうか、叙情にほの暗さが混ざり込んだ独特の余韻が後に引いて、そちらがメインであることは間違いないのですから。叙情が強いものならばほっとした気持ちに、ほの暗さの勝ったものであったら、切なさに胸かきむしられるようで — 、で、あんたはどっちが好きなのよといわれたら、ほの暗いのが好きだと答えます。
Amazon.co.jpにてキャンペーンやってまして、五千円だったかな、以上を購入の方にはひげそりを呉れてやろうというのですね。ジレットの新商品で、フュージョンっていうもののようですが、まあ貰って当座困るようなものでもないから、いっちょ頼んでみるかと頼んでみました。この時点でもう相手のペースですが、まあ気にしない。さて、このひげそり、なんと5枚刃です。2枚刃はもう当たり前、3枚刃あたりも珍しくないと認識してましたが、5枚刃というのはさすがにちょっと驚きました。で、到着、早速これを使ってみて、その感想。というか、使いはじめるまでにひと月かそれくらい放っておいたんで、嘘ばっかりですけどね。
今になって聴きたいアニメソングってあると思うんです。ふとなにかのおりに思い出したりして、ああ懐かしいなあ、好きだったなあって、アニメが好きだったこともあれば、歌そのものが好きということもあって、けれど歌の好きなものは総じてアニメも好きだし、逆もまた然り。そう、iTunes Storeのせいで懐かしアニソン聴いちゃってるよ、第三弾です。
先月でしたか、iTunes Storeにて
盆も明けて、街の機能も通常どおりになろうとしていて、こういうときにですね、新刊が出てるんだ、そう思って寄った書店にて『
夏が佳境ですね。連日、暑く暑く暑く、そして今日は十六日。送り火、京都では大文字はじめとする五山に火が点されて、いよいよ夏も終わりにさしかかるかという風情を感じさせてくれます。私なんかは盆に休みがあるわけでなく、別段なんということもない日常を送っているに過ぎないというのに、夏の盛りが過ぎ、晩夏にさしかかろうというこの時期、不思議な胸のざわめきに襲われることがあってたまりません。夏の午後の気だるさ、秋がくるのはむしろ願ったりというはずが、過ぎようとする季節に寂寥を感じているのですね。あるいはこれは、子供の頃、夏休みの終わりを思うたび、かすかに感じた残念の気持ちがよみがえるためかも知れません。
今、少しずつ自室の片づけをしているのですが、そうしたら結構懐かしいものが出てきましてね、今日見付けたのは『電撃大王』。なんでこれが懐かしいかといいますと、『
この間、映画にかこつけて
書店での衝動買い、といいたいところですが、実はちょっと迷ったんです。タイトルに『アーマード・コア』。フロム・ソフトウェアの誇る


友人が日記で『姫ちゃんのリボン』にふれていて、あー、今『姫ちゃんのリボン』読んでんだ、なんて思ってちょっと懐かしくなってしまったのでした。『姫ちゃんのリボン』は集英社の少女向け月刊誌『りぼん』にて連載されていた漫画で、けどその知名度を一気に押し広げたのは、テレビにて展開されたアニメでしょう。ええ、見てましたよ。関西ではテレビ大阪とKBS京都の二局で放送されていて、私のうちでは両方入るから、時間差おきながら両方見ていました。そして、画質がちょっとでもいいほうをと思ってKBSを録画してたのですが……、一度オープニングが二度放送されるという放送事故がありましてね、内容はもうめちゃくちゃ! その後テレビ大阪が朝に前後編にわけて帯放送をしてくれたのでそれで補完したりしましたっけ。そんなわけで、私のうちには『姫ちゃんのリボン』の録画は二系統残っています。
本日『まんがタイムラブリー』、購入いたしました。9月号。先日いっていましたね。私のはじめて購入した四コマ漫画誌は『まんがタイムラブリー』
私と四コマ漫画について語ろうというなら、絶対に外していけない作家がいます。それは誰かといいますと — 、植田まさしなんですね。植田まさしを御存じの方は少なくないと思うのですが、ほら四コマ漫画なんて普段読まないけど、植田まさしなら知ってるっていう人は結構いらっしゃいますから。有名どころは『
『
こんなかわいいおぜうさんが妻ならどんなにか毎日楽しいことだらう。いや、駄目かな? 私は背丈はあるけど(180cm)心が狭いからな、もしかしたら自由奔放なまきちゃんにはたえられないかも知れない……。なんてこと真面目ぶってしゃべるのも馬鹿馬鹿しい限りですが、けれど『だてまき。』に出てくるまきちゃんが可愛いのはもうどうしようもないことで、伊達まき、身長145cm。この人がヒロイン(ってのもなんかしっくりしない感じだけど)。そして登場人物はもう一人いて、まきちゃんの夫の伊達マサムネさん。この人身長185cm。そう、『だてまき。』は四コマにおいて一種ジャンルといってもよい身長差カップルものであります。それも男が長身という素直なタイプ。しかし、特筆すべきは登場人物であろうかと思われます。このふたりしか出てこないのですよ。本当に、このふたりで漫画が展開されていくのです。
『

この土日は『コブラ』を読んで終わったような、そんな気がします。『コブラ』というのは、漫画読みには説明不要でしょう、寺沢武一のデビュー作にして出世作。1977年に週刊少年ジャンプにて連載が開始され、すなわち今年で三十周年。これだけでもう驚きですが、さらに驚くべきは、この漫画がまだ終わっていないということ。今もなお新作が描き続けられているのだそうですね。驚異的な息の長さは、それだけ『コブラ』という作品が愛されているという証拠なのだと思います。作者に、そして読者に愛されて、その結果、判型を変え出版社も変え、膨大な数の単行本がリリース。もちろん、今だって新品で購入可能ときています。本当、これはすごいことだと思います。出版され続けることもそうなら、読者に愛され続けているという、そこが本当にすごいと思います。
